2024年6月に竣工した新しい建屋。「狭山インテグレーションセンター」と命名されたこの施設は、東亜ディーケーケーが目指す”これから”を、まさに体現するための施設である。
総合計測機器メーカーとして、「水・大気・医療・ガス」の分野における計測機器の製造販売を行なっている同社。2024年は設立80年を迎える。
冒頭の「狭山インテグレーションセンター」のインテグレーションは、統合・融合という意味であり、この名前に込められた思いの一つに『開発と生産の一体化』というものがある。中でも設計部は、開発を担当するのはもちろん、生産にも直結するため、ものづくりにおける重要な役割を担っている。
会社が掲げるインテグレーションという方向性に対して、当時設計部長だった工藤氏は次のように考えていた。
「設計の役割は、開発の中で”いいものを作る”のが中核ですが、ただ作ればいいのではなく、いかに効率的にものづくりをするか、が重要。過去のデータをうまく使っていくことで、設計効率化に繋げることができないかと考えていました。」
同社が取り扱うのは、環境計測機器。産業機器ならではの大変な点もあったという。
「産業機器なので、ライフサイクルが10〜20年と比較的長いのが特徴で、20年前に設計された機器を使っていただいているお客様も多くメンテナンスする必要もあります。しかし、当時の設計者はもう不在で、資料を探すのに時間がかかってしまうことも多々ありました。よって資料や技術をどう継承していくか、は長年の課題でした。」
これまで同社でも、古い手書き図面を電子化し、文書管理システムの中に保存するなどの取り組みは行なっていた。しかし、あくまで意味合いとしては”保管”状態。必要な図面を探すにも、ファイル名を検索する程度では、本当に必要な情報にアクセスすることは簡単ではなかった。
図面を探す以外にも、課題はあった。例えば、顧客仕様の製品を設計する際に、都度都度設計するため、結果似たような部品をたくさん作ってしまっていた。新しいものをイチから設計することは当然時間もかかるし、図面の数も増えて管理が大変になる。また、個々に仕様書は作成しているものの、それが全社的に共有されていなかった。新規に設計して図面を作る前に、同じような図面がないかを検索し、ちゃんと辿り着くことができるようになっていれば、もっと効率的に業務が進められていたはずだ。
「同じような製品のちょっとした仕様違いは検索できても、全然違う製品から似たような部品は検索することはできていませんでした。だから、広範囲で図面の検索性をいかに高めるか、が重要だと考えました。中でもテキストだけでなく、形状で探すことができれば非常に便利だなと思っていました。」