大東精機株式会社は、建物や機械などに使われる鋼材に対して、切断や穴あけなどの加工を行う鋼材加工機を自社開発し、設計から製造、販売まで行っている。高精度、高品質、高寿命な大東精機の鋼材加工機は、国内で高いシェアを持ち、海外でも高い評価を受けてきた。鋼材加工機メーカーのパイオニアとして、国内外の社会インフラ開発に貢献している。大東精機では、購買業務において課題を抱えていた。それは、部品調達にかかるコストの計算が難しい点だ。
製造本部長の松本氏はコスト計算の難しさについてこのように話す。
「購買は、部品の加工をお願いする会社に図面を渡して値段を決めて、部品を調達するのが仕事です。私たちの時代は、色々なものをやりながらノウハウを蓄積していきました。何年かすると、図面を見たら、これならば大体このぐらいの値段だろうと予想できるようになります。しかし、新人を早期に戦力化しようと思うと、コスト算出のスキルがネックになります。新人が適正な価格を予想できるようになるには、簡単な部品の発注から始め、先輩の指導を受けながら数年かけて経験を積まなければなりません。コストテーブルを作って、決まった値段が出せるようにすることも試みましたが、多品種少量生産が多く、部品調達先の会社も大きな会社から小さな会社まで色々あります。試行錯誤を重ねましたが構成要素が複雑で一つの計算式でまとめることができませんでした。」
また、部品の価格を決めるにあたって、過去の類似図面を探し、発注実績を調べて価格を比較することも行っていた。しかし、図面探しには多くの時間が必要だった。過去の記憶を頼りに探すので、探し出すのに半日かかることや、結局見つけられないこともある。なによりも、似た図面があった事を知らなければ探し始められない。
誰でも簡単に過去の図面や発注実績データを活用できる仕組みが求められていた。