パンチ工業株式会社は、パンチやダイ、エジェクタピンなどの金型部品の製造、販売を、半世紀にわたり行ってきた。国内外に複数の製造、販売拠点を持ち、グローバルに事業を展開している。お客様から預かった図面をもとに加工する、オーダーメイドの「特注金型部品」市場において、国内、海外ともに業界トップクラスの売上高を持ち、近年ではFA(ファクトリーオートメーション)領域にも事業を広げ、更なるグローバルネットワークの構築にも取り組んでいる。
パンチ工業では、お客様から図面をお預かりして製造する多種多様な特注品の受注が多数を占めるが、現状の仕事の進め方の非効率さに課題感を持っていた。お客様から注文が入った際には、過去に同じ(リピート)あるいは類似形状の案件が無かったかを探し、内容を確認するようにしていた。
その検索をする際には、受発注の情報が入った社内システムを用いて、それぞれのお客様から過去に注文を受けた全図面を対象に、品名や図番などで絞り込んで図面を探す。リピート品の場合、品名や図番がわかれば、それを用いて検索できるが、類似図面の場合は記憶を頼りに探すことになる。いずれの場合でも、検索でヒットした図面のファイルを開き、注文を受けた図面との違いを比較する必要があったため、時間がかかっていた。また、図面を探し出せないことがあるだけでなく、同一・類似品を受注した記憶が営業担当者に無ければそもそも図面を探すことも無く、一から見積設計を行う必要があった。
ベテランの社員ならば5分程度で探すことが出来たが、新人の場合は倍以上の時間を要し、かつ営業部門では1日に図面を検索する件数は1人あたり20件にも及ぶことがあったため、検索に多くの時間を取られていた。
検査部門においても、既存の検査プログラムを再利用できるか調べるために過去の図面を探しており、同様に検索に課題を持っていた。検査では、過去の受注品目と図面が完全に一致していなければプログラムをそのまま利用することができない。そのため、図面の検索では、工程管理システムで付与されるリピート品の番号を毎回手入力して検索し、該当図面ファイルを開いて確認していた。1件探し出すのに5分程度かかり、リピート品の件数も多かったので、図面検索に割かれる時間は多くなっていた。
他にも、類似図面は主に作業者それぞれの記憶を頼りに探していたことから、「類似図面がない」という判断が個々の作業者に依存していた。どこまで調べれば「類似案件なし」とするのかの基準を定めるのは難しかった。