製造業AIデータプラットフォーム CADDi

資料ダウンロード お問い合わせ

社名
株式会社島精機製作所
設立
1962年2月4日
従業員数
連結 1,762名
売上高
325億2,000万円(連結・2025年3月期)
業界
一般産業機械
事業内容
コンピュータ横編機/デザインシステム/自動裁断機/手袋靴下編機 などの開発、製造、販売
株式会社島精機製作所

事例 CADDi Drawer CADDi Quote

図面関連データと価格情報の可視化で世界市場での競争力を強化。島精機製作所がCADDi導入で目指す「仕入れ先との価値共創」

導入前・導入後

同業他社の台頭による競合環境の激化に対応するため、コストリダクションに取り組んでいたが、類似図面の検索や比較に多くの時間を要した。過去の部品データや調達情報が属人化しており、効率的なコスト分析や根拠のある調達戦略の立案が困難だった。仕入れ先との対話にも十分な時間が確保できず、関係構築の機会が限られていた。

製造業AIデータプラットフォーム「CADDi」を導入し、2つのアプリケーションを活用し、業務改革を進めている。 製造業データ活用クラウドCADDi Drawer(以下、CADDi Drawer)により、類似図面検索の精度と効率向上の見込みが立つ。過去の調達情報や価格データが一元管理され、コストの根拠を明確にする体制作りが始まった。 製造業AI見積クラウド CADDi Quote(以下、CADDi Quote)により見積業務が効率化され、特定のスキルや知識を持つ人材に依存せず業務を進められる基盤が整った。生み出された時間を仕入れ先との対話や価値創造に活用することで、共にグローバル市場での競争力強化を目指す関係構築に向けて取り組みを進めている。

インタビュー

世界のニット製造機器をリードする島精機製作所の挑戦

株式会社島精機製作所は和歌山県に本社を置く、ニット製造機器のグローバルリーディングカンパニーだ。創業者の島正博氏が開発した全自動手袋編み機を祖業とし、その後、コンピュータ横編機やホールガーメント®横編機(無縫製横編機)など、ニット業界の革新的な製品を次々と生み出してきた。特にホールガーメント®は、セーターを1着丸ごと縫い目なしで編み上げることができる画期的な技術で、資源の無駄を省き、労働集約型産業とされるニット製造の地産地消を可能にするサステナブルな製品として知られている。

 

 

田村彰智氏(資材部 課長)は島精機の事業について次のように語る。

 

田村氏「弊社は元々手袋編み機を祖業としており、その技術を発展させてセーターを編む横編機へと展開し、世界市場を席巻してきました。編機だけでなく、自動裁断機やデザインシステムも手がけており、ハードとソフトの両面でさまざまな製品やソリューションを提供しています。最も革新的な製品の一つであるホールガーメント®は、セーターが1着丸ごと編み上がるもので、資源を無駄にせず地産地消で対応できるという点で、非常にサステナブルな編み機となっています。また大手アパレル企業様にも多数ご採用いただいております。」

世界のニット製造機器をリードする島精機製作所の挑戦

変化する市場環境とコスト可視化の必要性

業界のパイオニアとして市場をリードしてきた島精機だが、近年は同業他社、特に中国メーカーの台頭による競争環境の変化に直面している。高品質・高耐久性を強みとしてきた同社だが、市場ニーズの変化により過剰品質と捉えられることが増え、コスト面での競争が激化している。

 

田村氏「ここ数年、ライバル企業が急速に力をつけてきました。我々の考える枠を超えて低価格且つ品質も平均水準まで改善された機械が市場に流通し始めました。我々が大事にしてきた品質が、市場や顧客のニーズとそれに見合うコストのバランスの面で、徐々に受け入れられないことが多くなってきたのです。そこで、コストがどこにかかっているのか、何を大切にしてどういう機械を作るべきかを考え直す必要が出てきました」

 

この状況に対応するため、島精機では約1年前からコストリダクションに取り組んできた。しかし、既存の社内システムでは類似図面の検索精度が低く、過去の調達情報を効率的に活用することが難しかった。

田村氏「図面検索システム自体はあるのですが、特定の部品とそれに類似した部品はどれかと聞かれると、設計した人間や調達を専門でやってきた人の頭の中にはあるかもしれませんが、それが全てではありません。そういう関連情報を一元的に見るシステムがなかったのが実情です」

変化する市場環境とコスト可視化の必要性

CADDi導入の決め手となった「伴走型サポート」と「開発の速度」

島精機がCADDiの導入を決めた背景には、プロダクトの完成度の高さと同時に、伴走型のサポート体制があった。

田村氏「他社でも似た製品は出されていますが、CADDiを選んだ最大の理由は、一緒に伴走してくれるというところと改善の速度が早いことでした。ソフトウェアはよくあることですが、要望から実装までに何ヶ月もかかり、できあがったものが想定と違っていたということが多い印象を持っています。キャディさんは伴走者として一緒に走っていただき、フィードバックへの対応が早い。プロダクトの完成度も高いというところで選ばせていただきました」

 

 

また、以前はクラウドに図面をアップロードすることへの抵抗感があったが、情報システム部との対話を重ね、クラウドの安全性への理解が深まったことも導入を後押しした。

田村氏「最初は図面データをクラウド上に上げることに対して非常に懸念がありました。ただ、社会環境の変化により、クラウドに上げた方が逆に安全かもしれないという考え方も一般的になってきています。そこに見積の高度化を実現できるCADDi Quoteがリリースされたことで、『これなら使える』と考えるようになりました」

CADDi導入の決め手となった「伴走型サポート」と「開発の速度」

「類似図面検索」の精度向上がもたらす業務効率化と気づき

CADDi Drawerにより、島精機では類似図面の検索精度が向上し、これまで見えなかった調達情報の関連性の可視化に向けた取り組みが始まった。この変化は業務効率化だけでなく、コストリダクションの新たな視点をもたらしている。

 

田村氏「CADDi Drawerの完成度は非常に高く、類似図面検索の精度は素晴らしいです。CADDi Drawerは似たような図面をランク付けして引っ張ってきてくれるので、『この加工のこの部分は使える』とか『ここの仕入れ先にアプローチしてみたら面白いな』というヒントになります。それが見えないとずっと見えないのですが、並べてくれると『そうか』という気づきになるのです」

また、CADDi Quoteによる見積業務の効率化・属人化していた知識の共有にも期待を寄せる。

 

田村氏「CADDi Quoteでは、一つの図面に対して過去にどの仕入れ先にアプローチしたかという情報が出てきます。その情報をもとに、経験の少ない人でも判断の基準を得ることで、見積業務の効率化に期待しています。また、仕入先様にとっても、図面と見積書が同一のプラットフォーム上で閲覧できることで、これまで煩雑な作業をお願いしていた部分が大きく改善されると考えています。仕入先様と共に競争力を獲得することがCADDi Quote導入の目的の一つです。」

コスト理解から生まれる「対話の時間」と仕入れ先との価値共創

島精機では、CADDiの導入によって生み出された時間を仕入れ先との対話に活用し、互いの強みを理解した上での「価値共創」を目指している。

 

田村氏「コストには全て理屈があります。なぜ安いのか、その理由を知るには仕入れ先様に行って実際に話をすることが基本です。CADDi Drawerや、CADDi Quoteを使うことで業務が効率化され、余った時間を仕入れ先様と膝を突き合わせた対話に充てることができます。100回行って1回しか成果が得られないかもしれませんが、そういう関係を構築することが非常に重要で、資材部の財産になるのではないかと思っています」

嶋本修氏(資材部 部長)は、仕入れ先との関係について次のように述べる。

嶋本氏「仕入れ先様と島精機が一丸となって、ライバルメーカーに対抗していくことが重要です。お互いの強みと弱みを同じテーブルの上に出して話し合いができるようにしたい。そのためには情報を可視化することが非常に重要です」

コスト理解から生まれる「対話の時間」と仕入れ先との価値共創

今後の展望:発注プロセスの統合とデータに基づく価値創造

島精機では今後、CADDiのアプリケーションの拡充や機能拡張により発注プロセスまでを一貫して管理できるようになることを期待している。また、データの可視化によって仕入れ先との対話をさらに促進し、共に成長する関係を構築していきたいと考えている。

田村氏「CADDi Quoteの発展系として非常に望むのは、発注までをひとつのソフトで完結できるようになることです。そこにコミュニケーションツールがあり、仕入れ先様とより緊密なやり取りができるようになれば理想的です」

南出善和氏(営業統括部 企画業務グループ 課長代理)は、部品関連情報の共有化がもたらす効果に期待を寄せる。

 

 

南出氏「例えば、原材料・人件費や輸送費の高騰により、ある部品の仕入れ値が、数か月後に上がる話があると、まず現行価格で購入可能な期限はいつであるかをCADDiと他のツールをデータ連携することで社内共有できますし、さらにCADDi の類似図面検索等で得た情報によって、他の仕入先様での現行価格の確認や検討がスムーズになり、適正な調達ができるようになります。結果、資材部と仕入先様との関係構築だけではなく、社内の部署間においても情報が共有されるので、お互いにより良い関係を築く上で、CADDiとのデータ連携が非常に重要になってくると思います」

嶋本氏はこうした取り組みの先にある理想像をこう語る。

 

嶋本氏「見積業務自体が、特別なスキルを持った限られた人材のみができる仕事ではなくなれば、より付加価値の高い仕事に社内の人材をシフトできます。そして、我々だけが良くなっても意味がありません。仕入れ先様にとっても価値あるソリューションにしていきたい。私たちもモノづくり産業のポテンシャルを解放したいのです」

同業他社との競争が激化する中、島精機製作所はCADDiの導入を通じて図面関連データと価格情報の可視化を進め、仕入れ先との対話を深めることで新たな価値創造に挑戦している。この取り組みは、日本の製造業が直面する課題に対する一つの解答となるかもしれない。

顧客事例一覧に戻る