ホーニング加工とは?必要要因やホーニング加工機について解説!
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ホーニング加工は円筒状の工作物の内面を仕上げる加工技術です。足を使って砥石の回転数や張力を調整するので、とても熟練の腕が必要とされます。
ホーニング加工とは一体どんなものなのか、ホーニング加工機の仕組みは?ホーニング加工を必要とする部品など、ホーニング加工についての知識を深めるための解説をいたします。
ホーニング加工について知っておくべきポイント
- ホーニング加工は工作物の内面を仕上げる加工
- ホーニング加工にはホーニング油などの必要要因がある
- ホーニング加工を行う機械をホーニング盤という
- ホーニング加工は主に自動車産業に必要とされる
ホーニング加工は工作物の内面を仕上げる加工
ホーニング加工とは、複数個の砥石(ホーン)がついた円筒状の主軸が回転し、往復運動をすることで円筒状工作物の内面を磨いて精密仕上げを行う加工のことを指します。内面研削と違い、工作物内面に対する砥石の接触面積は大きくなります。ホーニング加工された工作物の内面には細かい網上の筋、「クロスハッチ」ができ、エンジンのシリンダーなど、摺動する部品では潤滑溝になります。
ホーニング加工の特徴は荒い面から鏡面と、広範囲の加工が可能であること、作業性がよく、能率的であることです。
ホーニング加工に必要な要因はホーニング油、砥石、切削方向角、圧力、速度
ホーニング加工をするときに必要となってくる要因には以下の5つがあります。
- ホーニング油
- 砥石
- 切削方向角
- 圧力
- 速度
それではそれぞれの要因がホーニング加工になぜ必要か、どんな影響を与えるかをご説明します。
ホーニング油
ホーニング油は基本的に灯油または軽油が使われ、それに潤滑性を与えるために硫黄系または塩素系の極圧剤または油脂を配合します。ホーニング油が用いられる理由は切削粉などを洗い流したり、発生する熱を除去したりするためであり、多量のホーニング油が必要です。
砥石
砥石の材質は、工作物の材質や加工条件などにより違うものを選定します。
主に使われる砥石の種類を表にまとめました。
CBN(ボラゾン) |
最も一般的に使われる砥石。
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ダイヤモンド |
硬さはCBNより優れるが、高温下ではCBNの硬さのほうが優れるため、使い分けされる。
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WA(ホワイトアランダム) |
ダイヤモンドに比べると安価で、使い勝手の良い砥石。
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GC(グリーンカーボナイト) |
ダイヤモンドが主流になる前はよく使われていた。
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レジノイド |
レジン砥石と呼ぶこともある。他のボンドに比べるとクッション性がありワークに当たるときに砥粒があまり深く食い込まない。
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切削方向角
冒頭の動画でもお見せした通り、砥石のついたホーニングヘッドが、縦型であれば上下の往復運動をすることにより内面を磨くホーニング加工。下に動く際に砥石が内面に付ける傷と上に向かって動くとき付ける傷の角度が違うことから、網目状のクロスハッチができます。
ホーニング加工において出来るクロスハッチは摺動する部品では潤滑溝になり、とても重要です。
圧力
ホーニング加工の際の圧力は砥石の接触面あたりの圧力が3~7kg/㎠が一般的です。ただし、レジノイド砥石を用いた精密仕上げでは更に低圧力になります。
速度
標準的な速度は以下の通りです。
- 円筒方向:30~60cm/min
- 軸方向:円筒方向速度の1/3の速度
ホーニング加工を行う機械をホーニング盤という
ホーニング盤とは、ホーニング加工を行う機械のことで、角型の棒状砥石数個を放射状に取り付けたもの(ホーンという)を回転させながら軸方向に上下往復運動をさせ工作物の内面を仕上げる機械のこと。
縦に往復運動するものが主流ですが、下の動画のように、横に往復運動するものもあります。
ホーニング盤は熱を発生させることなく、超精密に仕上げることができる
ホーニング盤の特徴として、研削加工と違い、砥石がついたホーンの回転速度が遅く、工作物に大きな圧力もかけないため、熱が発生しにくく、火花も散らないという点が挙げられます。
また、内面研削よりも穴精度は高いため、エンジンシリンダーなどの高い精度が要求される部品の加工に用いられます。
芯だしによって穴位置の精度が変わる内面研削と違い、穴位置については前加工に依存するため、前加工段階での精密さも重要になってきます。
自動車産業など、ホーニング加工が必要とされる産業とは
ホーニング加工によって施されるクロスハッチは、摺動する部品において潤滑溝となり、油だまりとなることによってピストンの焼き付けを防ぐことができます。
以上の理由からホーニング加工は自動車のエンジンシリンダーに用いられることはすでに説明しましたが、自動車産業だけでなく農業機械部品、医療機器部品などにも必要とされる加工です。
まとめ
工作物の内面を仕上げる、砥石を使う、など、内面研削と似ている加工技術ですが、穴精度は内面研削よりもすぐれており、さらにクロスハッチを施すことができることから、ピストン運動などを行う部品にはホーニング加工のほうが適しているということがわかりました。
自動車のエンジンシリンダーなど、自動車産業に主に利用されているホーニング加工ですが、現在では自動車産業以外の産業にも用いられ、今後もその分野は広がると考えられます。