フジキカイは、多岐にわたる機種展開と顧客ごとのさまざまなカスタマイズ要望に応え続けてきた、確かな開発力を誇る自動包装機メーカーである。
新規開発案件やカスタマイズ受注が急増する状況下において、日々大量の新しい図面を描き起こすことは日常であり、同時に業績向上に直結する「正義」でもあった。しかし、技術本部 執行役員 技術本部長の大山氏は、長年その裏に隠された本質的な矛盾に疑問を抱いていた。
大山氏
「なぜ、こんなにたくさんの図面を描き続けなければいけないのか、どこかで描いたようなデータが絶対に過去にあるはずです。しかし、それを探す術(すべ)がありませんでした。このままでは、設計者の負担が増大してしまう。それでも、設計の現場を潰さないぞという想いは強くありました。」
描けば描くほど仕事は進み、会社の数字は上がる。そのため、この無駄による負担は経営数字の表面には現れてこない。しかし、新図が増えれば増えるほど、設計だけでなく、不具合や手戻りが増えるほか、調達の見積業務や生産現場の段取りや工程が複雑化するなど、あらゆる後工程が雪だるま式に忙しくなり、現場の負担は増大していくという深い葛藤を抱えていた。
この課題に対する投資判断を下す段階では、実は明確な定量効果を試算する術がなかったという。大山氏は当時の状況を「経営判断の材料も持たずに、手ぶらで戦いに行く(上申をする)感じだった」と振り返る。それでも導入を決定づけたのは、「現場を潰さないぞ」という大山氏の言葉が示すように、まっすぐで素直な意欲であった。数字ではなく、日常の業務に潜む「見えない無駄」を排除し現場を守るという強い意志が、この挑戦の起点となっている。








