株式会社フジキカイ

描けば描くほど売上が上がる葛藤を越えて。現場目線を大事にする変革と全社データ基盤の構築

インタビュイー

技術本部
大山 健二 氏、堀田 倫人 氏、大村 浩彰 氏

「描くほどに売上が上がる」という、表面化しない課題

フジキカイは、多岐にわたる機種展開と顧客ごとのさまざまなカスタマイズ要望に応え続けてきた、確かな開発力を誇る自動包装機メーカーである。

 

新規開発案件やカスタマイズ受注が急増する状況下において、日々大量の新しい図面を描き起こすことは日常であり、同時に業績向上に直結する「正義」でもあった。しかし、技術本部 執行役員 技術本部長の大山氏は、長年その裏に隠された本質的な矛盾に疑問を抱いていた。

 

大山氏

「なぜ、こんなにたくさんの図面を描き続けなければいけないのか、どこかで描いたようなデータが絶対に過去にあるはずです。しかし、それを探す術(すべ)がありませんでした。このままでは、設計者の負担が増大してしまう。それでも、設計の現場を潰さないぞという想いは強くありました。」

 

描けば描くほど仕事は進み、会社の数字は上がる。そのため、この無駄による負担は経営数字の表面には現れてこない。しかし、新図が増えれば増えるほど、設計だけでなく、不具合や手戻りが増えるほか、調達の見積業務や生産現場の段取りや工程が複雑化するなど、あらゆる後工程が雪だるま式に忙しくなり、現場の負担は増大していくという深い葛藤を抱えていた。

 

この課題に対する投資判断を下す段階では、実は明確な定量効果を試算する術がなかったという。大山氏は当時の状況を「経営判断の材料も持たずに、手ぶらで戦いに行く(上申をする)感じだった」と振り返る。それでも導入を決定づけたのは、「現場を潰さないぞ」という大山氏の言葉が示すように、まっすぐで素直な意欲であった。数字ではなく、日常の業務に潜む「見えない無駄」を排除し現場を守るという強い意志が、この挑戦の起点となっている。

技術本部 執行役員 技術本部長 大山 健二 氏

すべてを標準化できない事情と、新図抑制への挑戦

この葛藤を解消するための王道は「設計の標準化」と言われている。フジキカイでも当然、標準化への取り組みは熱心に行われてきた。しかし、ここには同社ならではの越えられない高い壁があった。顧客からの多種多様なカスタマイズ要件に対して、いかに短いリードタイムでモノづくりをするかという「スピード」と「膨大な種類の開発機」こそが、同社の市場における最大の強みであり生命線だったからだ。技術本部 第一設計部 次長の堀田氏は標準化に対しての実情を以下のように語る。

 

堀田氏

「標準化は品質・コスト・納期を改善する上で有効な手段ですが、変化とスピードが求められるカスタマイズ商品がどんどん増えている中で、すべてを一律に標準化しようとすると、逆に手間ばかりがかかってしまい現場が回らなくなります。」

 

そこで同社は、標準化する機種と、あえて標準化しない機種を明確に分ける戦略をとっている。標準化しない機種については、機能ごとの単位(ユニット)をあらかじめ組み上げておくなど、部署ごとに方針を分けてそれらを組み合わせることで、強みであるカスタマイズへの高速対応を両立させている。

 

この「すべてを標準化しきれない環境」だからこそ、過去のデータ資産を再利用するアプローチが不可欠であった。同社は、製造業AIデータプラットフォームCADDi(以下「CADDi」)を導入・活用することで、過去の類似形状・表現方法・材料などの参考情報に紐づいた設計情報や技術資料、さまざまな社内情報をすぐに参照できるようになり、長年の課題であった新図の抑制にも着手し、確かな成果を積み上げるべく歩みを進めている。

技術本部 第一設計部 次長 堀田 倫人 氏


過去の失敗から猛省した「現場目線」の選定と、人を想う思想

フジキカイがデータ活用へと舵を切るにあたり、最も慎重になったのは「現場の納得感」だった。技術本部 第一設計部 グループリーダーの大村氏は、過去に立ち上げた様々な業務管理システムの多くが、結果として現場に大量の入力を依頼されるなどの「設計者の作業負担」を招いてしまい、運用が形骸化したという苦い経験と反省を語る。また、大山氏自身も「心の底ではシステムを信用していない」と語るように、人を巻き込む前に自分たちが責任を持って使いこなせるかを徹底的に突き詰めるスタンスにしている。

そのような状況でも、技術的な検討段階において導入の決定打となったのは、データ登録の「圧倒的な簡単さ」だったという。

 

大山氏

「立ち上げのための労力が大きすぎたら、絶対に導入の判断に至りませんでした。当社にある膨大な過去のデータを、すんなり登録できるというところが非常に大きかったです。」

 

同社は、実際の導入判断を下す前に、3回にわたるテストを段階的に実施している。最初のテストは管理職レベルで、2回目は実務のオペレーターを巻き込み、3回目はさらに若手のメンバーレベルまで広げ、「本当に現場の操作性に耐えうるか」「日常の運用に溶け込むか」を厳格に確認していった。その背景にあるのは、「働いている人たちがいかに無駄な苦労をせずに済むか」という、どこまでも「人」を主役におく現場目線の思想だった。

 

大山氏

「仕事の中には、つまらない調整業務や、誰かに聞かないと出てこない探し物や作業の手戻りといった非効率的な仕事がたくさんあります。そこから現場を解放し、もっとクリエイティブな仕事に集中できる環境を作りたいですね。」

 

この現場の人間を想う泥臭い情熱こそが、過去の失敗を乗り越え、全社で活用できるデータ基盤としての命を吹き込む鍵となっている。

技術本部 第一設計部 グループリーダー 大村 浩彰 氏

生産本部への広がり。点在する「年間数千件の見積」を資産へ

技術本部における新図抑制やデータ活用から始まったこの変革は、現在、生産本部へと力強く伝播している。生産本部では、多品種少量対応ゆえに、年間数千件にも及ぶ見積業務が発生していた。生産本部 生産管理部 資材管理1グループ チームリーダーの木島氏はその時の課題をこう語る。

 

木島氏

「一番の課題はリードタイムが短いことです。多品種少量とカスタマイズ受注の強みの裏で、調達でもリードタイムの短さが求められます。そもそも見積を取る時間がほとんどなく、適正価格も精査できない、そういう問題が広がっていました。」

生産本部 生産管理部 資材管理1グループ チームリーダー 木島 幸太郎 氏

情報分断を解消する、全社共有基盤の構築

その貴重な見積情報は、営業、設計、生産管理、サービスといった各部門が個別に取得しており、さらには、個人のローカルPCや社内の共有フォルダ、基幹システムの中に完全に散在し、ブラックボックス化している状態であった。生産本部 生産管理部 原価管理グループ グループリーダーの猪飼氏は振り返る。

 

猪飼氏

「営業の手元には見積があるのに、設計が詳細設計をする場面ですぐにアクセスできません。日常的にメールで送ってくれといった、部署をまたいだ非効率なやり取りが会社中で発生していました。」

 

このリードタイムと情報分断の課題を解消するため、同社は見積りプラットフォームCADDi Quote(以下、CADDi Quote)の本格活用を開始した。各部に散在していた見積データをCADDi Quoteに集約し、誰もがアクセスできる全社共有基盤の構築を進めている。

目指すところは、特定の社員が常に忙殺されていた業務を、チーム全体で共有・分担しても持続可能なレベルにまで高め、安定した運用体制を築き上げることだ。マンパワーの限界によるコスト査定の遅れを防ぎ、適正なターゲットコストをタイムリーに協力工場へ提示するという、本来必要とされる業務へ時間を割り当てられる「攻めの調達」への変革が見え始めている。

生産本部 生産管理部 原価管理グループ グループリーダー 猪飼 是尋 氏

数字を超えた「インフラ」としての真価と、未来への展望

フジキカイが挑む業界は、市場の需要変動やカスタマイズ案件の波が非常に大きいという特性を持っている。そのため、単純に「前年比でどれだけコストが下がったか」といった表面的な過去比較だけで成果を測ることは容易ではない。しかし、同社においてCADDiは、もはや単なる「データ活用の仕組み」ではなく、業務を回すためになくてはならないインフラであり、「全社のデータ基盤」となっているという。

 

すでに現場では、蓄積されたデータをもとにした、さらなる成果に向けた次のステップが始まっている。これまで数値化が難しかった流用設計や製造原価削減効果の可視化、さらには検図業務等の効率化やアフターサービス業務の迅速化といった、より業務に深く入り込んだ活用を進め始めている。

 

大山氏

「将来的には、AIが様々な情報を紐付け、意味を持たせることで、私たちが考えるアイデアがすぐに形になって現れるような、そんな未来の業務フローを実現したいですね。過去のデータの統合はもちろんですが、これからの新しい業務においては、課題が消え、現場の社員が前向きに創造的に作業できる状態を実現したいです。そんな明るい未来を、キャディと共に作っていけたらと考えています。」

 

企業の歴史と現場の「人」を想う強い意志が、データの力を借りて組織を繋ぎ、多品種少量製造業の新しいスタンダードを創り出そうとしている。フジキカイの人を中心とした変革と挑戦はまだまだ始まったばかりだ。

より詳細な事例、貴社の課題に近い事例にご興味はありますか?

貴社の課題に合わせた事例のご紹介が可能です

導入から1年弱で、業務に欠かせないプロダクトに。設計効率UP、工場改革の第一歩
株式会社明電舎
一般産業機械

/

従業員数:1000名以上

事例一覧へ

プロダクト

ワークフロー・プロダクト

  • CADDi Composer

  • CADDi Process Review

  • CADDi Cost Review

  • CADDi Quote

  • CADDi ALM

顧客事例

  • 変革のストーリー

その他

  • 導入に関するお問い合わせ

  • 利用規約

製造業AIデータプラットフォーム「AIDP」は、当社のAI Data Platform Technology「AIDPT」に基づき提供されています

© CADDi, Inc.