株式会社アサヒの強みは、顧客のこだわりに応えきる柔軟な設計力にある。しかし、その裏側では「一品一様」ゆえの深刻な課題が横たわっていた。
同社の設計業務は、一人の担当者が打ち合わせから図面作成、部品発注、現地立ち上げまでを一貫して担うスタイルが基本だ。この体制は高い専門性を生む一方で、情報は個人のハードディスクや記憶の中に「暗黙知」として蓄積されていった。
設計課の佐藤氏は、当時のもどかしさをこう振り返る。「サーバー内のフォルダ構造は人それぞれで、どこに何があるか、その人の『癖』を知らないと見つけられない。10分探して見つからなければ、もうゼロから描いたほうが早いと諦めていました。熟練者は自分の型で描いてしまい、新人は過去の資産があることすら知らずに、同じ図面をまた一から考える『車輪の再発明』が起きていたんです」
さらに、同設計課の秋山氏は「案件の波」によるパンク状態を危惧していた。「特定の担当者に負荷が偏った際、他の人に仕事を振りたくても、過去の資料が見つからず、結局引き継ぎサポートが必要になる。それでは分担の意味がありません。上流の設計が詰まれば、最終的に現場(製造)に無理を押し付けることになってしまう」




