株式会社タイツウ(以下、タイツウ)は、フィルムコンデンサの開発・製造を主軸とし、特にカスタム品への対応力で高い評価を得ている企業である。同社開発技術部の岡本氏、経営管理部の林氏に、製造業データ活用クラウドCADDi Drawer(以下、CADDi Drawer)導入の背景と効果について話を伺った。
同社では長年、技術文書や関連資料の管理に課題を抱えていた。特に技術部では、設計業務や顧客対応において、過去の類似製品の仕様書や製造指示書、品質関連情報などを参照する機会が多かった。しかし、これらの情報は複雑なフォルダ構成の中に点在し、必要な情報を探し出すのに多くの時間を費やしていたという。
岡本氏「一つの製品に対して複数の製造指示書がある場合もあり、確認のためにいくつものファイルを開いたり、異なるフォルダを行き来したりする必要がありました。ファイル名だけでは中身がわからず、一つ一つ開いて確認する作業は非効率でしたね。古い品質管理情報などは、担当者以外にどこに保管されているか分からず、探すことが困難な状況もありました。」
こうした状況は、業務の属人化も招いていた。
林氏「特定の担当者でなければ情報にたどり着けない、あるいは他の人が探すと膨大な時間がかかってしまう、といった問題は製造業共通の課題だと思います。弊社でも、ノウハウだけでなく、単純なファイルのありかですら属人化してしまっている部分がありました。」
過去には、こうした課題解決のためにシステム導入を試みたこともあったが、十分なサポートが得られず、社内に定着しなかった経験もあるという。
岡本氏「(システムを)導入したものの、結局誰も使わなくなり、放置されてしまうというケースが過去にありました。ですので、新しいシステムを導入する際には、サポート体制も非常に重要だと感じていました。」