製造業AIデータプラットフォーム CADDi

資料ダウンロード お問い合わせ

社名
仲精機株式会社
設立
1952年3月
所在地
大阪府守口市
従業員数
131名
売上高
12-15億円
業界
一般産業機械
事業内容
精密金属部品加工及び、エアチャック、ハンドプレス 、ラジアルかしめ機、振れ測定器、エアハンマー、超硬工具等の製造販売
仲精機株式会社

事例 CADDi Drawer

導入わずか1年でマインドシフトと脱属人化を実現、売上アップにも貢献

代表取締役

後藤 勝一

大阪工場長兼製造部長

中野 憲一

営業本部長

古川 寿美雄

営業部係長

後藤 拓弥

導入前・導入後

大阪・岡山・富士の3工場間、また各工場の部署間で図面やノウハウを一元管理できておらず、情報共有が難航。各部署ごとにデータを蓄積していたが、情報が十分に共有されない状況で、電話では相手の意図を理解することが困難な場面も多々あった。新規案件で見積や工程設計をする際は、担当者の記憶に依存して非効率な作業が発生。加工ノウハウやトラブル情報も個人・自部署内に留まり、知見が蓄積されず同じミスを繰り返すケースも多かった。

製造業AIデータプラットフォームCADDiのアプリケーションである製造業データ活用クラウドCADDi Drawer(以下、CADDi Drawer)導入により、図面と関連文書やCAD、ERPデータなどを紐付け、後工程情報(製造日報や過去トラブル情報)を前工程で活用することが可能に。効率化・脱属人化が進むことで、営業が商談数を増やせ、引合い図面が増加。それにより、売上増や大阪工場における収支の大幅改善などに部分的に貢献する形になった。

インタビュー

「共通言語」の不在が招いた、拠点間の壁と業務の属人化 〜「営業一本化」の号令と、製造業AIデータプラットフォームCADDiがつないだ三つの工場

CADDi Drawer導入による変化について語る 代表取締役社長 後藤勝一氏CADDi Drawer導入による変化について語る 代表取締役社長 後藤勝一氏(最左)

 

仲精機株式会社は、精密加工技術を活かした自社ブランドのプレス機や省力化機器の開発・製造・販売を手掛けるメーカーとしての顔と、顧客の要望に応じた金属精密加工を担う加工会社としての顔を併せ持つ。特にエアチャックやハンドプレス/エアプレス/油圧プレス、ラジアルかしめ機のほか、医療分野で用いられる特殊な注射針を組み立てる機械など少量多品種生産に対応するニッチな省力化機器において、独自の強みを発揮している。また、スイスの有力メーカーBalTec社のラジアルかしめ機や、ドイツのSCHMIDT®社のプレス機の国内総代理店も務め、単に機械を販売するだけでなく、顧客の課題解決につながるプラスアルファの技術提案力を強みとしてきた。

 

同社は大阪本社工場、岡山工場、富士サテライト工場(山梨)と国内に三つの主要拠点を構えるが、これらの拠点間の情報共有は長年の課題だった。代表取締役社長の後藤勝一氏は当時の状況をこう振り返る。

 

後藤氏
「以前は各工場がそれぞれのやり方で業務を進めており、共有するものが少ない状況でした。電話で話しても、図面が手元になければ全く話が通じない、ということも日常茶飯事だったのです」

 

後藤社長代表取締役社長 後藤勝一氏

 

こうしたノウハウやデータのサイロ化は様々な業務非効率を生んでいた。例えば、スピンドル製品のように類似品が多いものでも、過去の見積や設計データが個人の経験の中に埋もれてしまい、その都度ゼロから検討し直すケースも少なくなかった。

 

後藤氏
「技術者の頭の中だけで設計するので、どうしても似たような部品がたくさんできてしまう。本来であれば、基本となる形状を一つ作っておけば、それを応用して様々なバリエーションに対応できるはずなのに、その『標準』がなかったのです」

 

さらに深刻だったのは、加工ノウハウや過去のトラブルといった重要な情報が、担当者個人に属人化してしまっていたことだ。

 

「従来、こまめにものを書いて残すということが不得手な企業風土で、せっかくの知見が共有されず、同じようなミスを繰り返してしまうこともありました。これでは、仕事の質もなかなか向上しません」

 

このような状況下、後藤社長は就任以来の懸案だった「営業の一本化」に着手していた。各拠点でバラバラだった営業体制を統括し、情報集約と工場への適切な案件配分を目指す改革だ。この改革を推進する上で、拠点間の情報共有プラットフォームの確立が急務だった。

 

後藤氏
「CADDiは、まさにこの営業改革を後押しする『共通言語』としての役割を果たしてくれました」

 

導入当初は、新しいシステムに対する戸惑いもあったが、キャディ社の担当CSによる手厚いサポートと、興味を持った一部社員の自発的な活用が起爆剤となった。

 

製造業AIデータプラットフォームCADDiが社内の「共通言語」に製造業AIデータプラットフォームCADDiが社内の「共通言語」に

 

後藤氏
「大阪、岡山、富士の3拠点で、同じ『CADDi Drawer』というアプリケーションの情報を見られるようになったことで、コミュニケーションは劇的に改善しました。以前は電話口で『どの図面のこと?』となっていたのが、今は画面でデータを見ながら具体的な品番で話せるようになった。これは目に見える大きな進歩です」

 

特に、図面に付随する加工上の注意点などもCADDi Drawer上で共有できるようになったことで、確認ミスによるトラブルも大幅に削減されたという。

CADDi Drawerの活用が脱属人化や業務改善、売上増に貢献 〜「情報を残す文化」の醸成が、全社の情報資産を呼び覚ます

CADDi Drawerが導入されたのは大阪本社の部品営業部を筆頭に、少量多品種生産を担う大阪、各200坪の4工場で量産型製造を行う岡山、そして組立のみ行うサテライト的位置付けである富士の各工場それぞれの資材、生産管理、製造、品質管理部門だ。

 

活用データの構成は図面+ドキュメント、3D CADのほか、受発注実績や各工程マシンタイム(見積段階での予想&実加工時の日報データ)を含むなど多岐に渡った。具体的には受発注実績、不適合情報、ブランク図、工程情報、マシンタイムを図面に紐付け、拠点/部署横断で共有を進めることで、工数削減や脱属人化における活用を狙った。

 

後藤係長が上述したように、CADDi Drawerを導入することで、過去には営業担当が一から対応していた見積等の業務で、類似品の実績情報をもとに作成・積算が可能に。これにより見積、外注対応、工程設計の工数が大幅に軽減された。

 

また、営業担当者が外勤業務や商談を増やすことが可能になり、結果として引き合い図面数が増加。売上が増加する中でも、全体の業務量は横ばいか微減に留まり、他の業務に割ける時間が増える好循環が生まれた。こうして、案件管理も含めた営業の脱属人化と業務改善が進んだことは、工場収支が大きく改善する一因となった。

 

CADDi Drawerの導入は、単なる業務効率化に留まらず、同社に「自分で図面や関連情報を探し、考える」という新たな「文化」をもたらした。これについて、営業部係長の後藤拓弥氏はこう話す。

 

後藤(拓)氏
「以前は『過去に似たような案件を扱ったはずだが、品番は何だったか?』といった問い合わせが現場から頻繁にありましたが、CADDi Drawer導入後は『自分で類似検索して』と言えるようになり、そのような問い合わせ自体がなくなりました。その分、他の業務に時間を割けるようになったのはとても大きいです」

 

後藤営業部係長営業部係長 後藤拓弥氏

 

また、調達部門においても、協力会社の情報や過去の取引実績を「CADDi」に集約することで、新規案件の際に類似案件の担当者に確認することなく、適切な協力会社を選定できるようになったという。

データが拓いた「コア業務への集中」、社員の主体性が生んだ好循環

情報の属人化が解消され、必要なデータに誰もがアクセスできるようになったことは、社員の働き方にも変化をもたらした。特にアシスタントスタッフでも、CADDi Drawerで検索すれば顧客からの支給品の状況確認や、過去の類似案件のコスト情報を参照できるようになったことは、営業担当者の負担軽減と業務の平準化に大きく貢献している。まさに、社員がより本質的な業務に取り組むための第一歩であり、これについて後藤係長は次のように話す。

 

後藤(拓)氏
「今までは私自身が対応していた業務の一部を、アシスタントに任せられるようになりました。これにより、より付加価値の高い業務に集中できるようになりました」

 

こうした傾向は、数字の上でも良い流れを生んでいる。不況の影響で部品事業の受注高が全体的に落ち込んだ中でも、後藤係長の案件は前年比受注高15%増加を達成。その後もさらに成長傾向にあるという。

 

上述のコア業務への集中の流れは、社員の意識にもポジティブな影響を与えている。営業本部長の古川氏は、社員の主体的な変化への手応えを次のように語る。

 

古川氏
「ここ1年の変化のスピードは、それ以前とは比べ物になりません。社員のマインドシフトのきっかけになったと感じています。以前は自分で考えたり決めたりしようとせず、指示待ちの姿勢が顕著だった社員にも、CADDi Drawerというアプリケーションを通じて自ら情報を探し、活用しようとする動きが出てきました」

 

古川営業本部長営業本部長 古川寿美雄氏

 

このほか、大阪工場長兼製造部長の中野氏は「情報を残すことで自分も楽になる」という成功体験も徐々に社内に浸透し、従来、同社が不得手としていた情報共有が、CADDiというプラットフォームを得て活性化したと指摘する。

 

中野氏
「メーカーなので、お客様からの機械の故障などに関する問い合わせが多いのですが、以前は担当者が一人で対応し、同じような質問にもその都度答えていました。それが、CADDi Drawer導入を機にQ&Aとして蓄積できるようになったのです。これにより、担当者の負担が減っただけでなく、他の社員もその情報を活用できるようになりました。また、公式サイトにもQ&Aを掲載したことで、簡単な問い合わせ電話は半分以下に減るなど、具体的な効果も出ています」

CADDiは部署・拠点横断で社員やデータを「つなぐアイコン」

このような成果をもたらしたベースにあるのが、社内に点在するデータ・経験を「資産化」し、新たな価値を創出する製造業AIデータプラットフォームCADDiだ。そのメリットは、単にCADDi Drawerを通じ図面の検索・管理が容易に行えるようになることや、業務を効率化できることのみにとどまらない。後藤社長はCADDiの特徴をこのように話す。

 

後藤氏
「後藤係長が話した通り、以前は図面に関する現場への問い合わせが多く発生していましたが、CADDi Drawerで日報データや工程表を紐付けた図面の類似検索ができるようになって『図面は自分で見られるでしょう?』ということで、そうした問い合わせがなくなりました。その結果、皆が自分の頭で構想し、考え始めるようになったことがとても大きいと思います。従来は自社製品の納期を問われても『今作っています。納期はできたときですよ』といった感覚の者もいましたが、今では『納期・工数の短縮は重要だ』という常識が自然と社内に浸透するなど、皆の意識が変わってきていると実感しています。また、一人が変われば『おお、私も変わらねば』と周囲も影響を受けますし、そして、大阪工場がやれば岡山工場や富士工場もと、拠点スケールで見ても互いに良い影響を与え合う波及効果が生まれています」

 

このようにCADDiが、AIによるデータ統合機能を通じ、社内コミュニケーションのプラットフォームや、意識変革ドライバとしての役割を果たしている様子を、後藤社長は次のように印象的な言葉で表現する。

 

後藤氏
「CADDiは社員皆が集まり、つながる象徴的な『アイコン』です。日々、何かあればまず『この図面を見てくれ』などと、CADDi Drawerを開いて情報を確認し、そこを中心に会話が始まっていく。部署・拠点の垣根を超えてデータが検索された後、まさにこの『つなぐアイコン』から、様々な会話やアイデアが生まれています」

中野製造部長も、社員の意識の変化や新たなアイデアの創出とCADDiとの関係・影響を指摘する。

 

中野氏
「私はCADDiがもたらした『きまじめな雑談』が、仲精機を本当に良くしていると感じています。弊社では毎日定時を回ると、数名の社員が集まって雑感や愚痴をこぼし合ったりする光景が見られるのですが、それがひとしきり話しているうち、CADDi Drawerの画面を囲んで『こうしたらもっと良くなるのでは?』、『こんな機能が追加されたら便利だ』などと建設的な意見が交わされるようになりました。このようにCADDiがきまじめな雑談の受け皿になり、社員の意識を変えるきっかけになっているのを実感します。かねてより、社員教育の観点からも、いかに人の意識を変えるかということが課題でしたが、自分事化して動かない限り人の意識というものは早々には変わりません。そうした意味でも、今ではCADDi Drawerが意識変革のきっかけとしてうまく機能しているのだと思います」

 

中野製造部長取締役製造部長 中野憲一氏

 

こうした現場からのボトムアップの改善提案が、CADDi Drawerのさらなる活用を促し、さらなる好循環を生み出している。

CADDi Drawerの3D CADデータ対応も積極的に活用

CADDi Drawerは3D CADデータの紐付けにも対応しており、図面のいずれかのAttribute(基本情報)にCADファイルの「ファイル名」を紐付け。一覧画面でのCADデータのサムネイル確認、サムネイルの2D/3D切替、一覧画面からのファイル名検索、CADデータの詳細に紐づく2D図面確認、部品構造情報から子部品詳細への遷移などが可能で、仲精機ではこれらの新しい機能の活用が先駆的に進んでいる。

 

日常的な3D CADデータの活用方法について、特機部チャック技術課係長の野田篤氏は次のように語る。

 

野田氏
「新しい図面を描く際など、日常的に活用しています。例えば、CADデータ起点で材料費がどれくらいかかっているかなどがすぐわかるので、『材料費がこんなにかかっていたのか』、『受発注の経緯はこうなっていたんだ』などの気づきが得られて便利ですね」

 

3D CADデータ対応CADDi Drawerの3D CADデータ対応をフル活用する
特機部チャック技術課係長 野田篤氏

 

また、図面検索機能を使えば普段あまり触ることのない、自分以外の人が描いた図面にたどり着くのも容易だ。

 

野田氏
「探している図面に近い類似図面がすぐ出てくるので、私はよく『前の人はこうやっていたのか』と自身が図面を描くときの参考にしています。受発注や工程順などについても『なるほど、これとこれを行うのか』、『逆の順番がダメなのはこういう理由なのか』とか、むしろ反対に『逆の順番でもいいんだ』など、判断する際の根拠が得られます。例えば、『この部品にはABCの3工程があるはずだ』と想定した上でCADデータの検索をすると、『やっぱりA工程の図面があった』と発掘できることも多く、やはり工程は重要だという社内での意識浸透にも貢献していると思います」

 

発注実績のほか、マシンタイムやブランク図面、工程管理表等との紐付けも進んでおり、履歴確認などのために同機能が頻繁に使われているという。このように、仲精機では最新の3D CAD機能も含め、CADDi Drawerの各種機能をフル活用している。

進化し続けるCADDi Drawerと共に描く、仲精機のDX戦略と未来像

導入から約1年、仲精機はCADDiと共に着実な進化を遂げてきた。

 

後藤氏
「繰り返しになりますが、納期に対する意識も格段に向上し、結果としてリードタイムの短縮にもつながっています。これもCADDi Drawerで工程や負荷状況が『見える化』された効果の一つでしょう」

 

後藤社長たち製造業AIデータプラットフォームCADDiへの
期待を語り合う後藤社長(最左)たち

 

今後については、3D CADデータの本格活用や、各ユーザーに合わせた表示カスタマイズ機能など、進化を続けるCADDi Drawerの新機能への期待も大きい。 後藤社長は、キャディ社に全幅の信頼を寄せつつ今後のパートナーシップへの期待を語る。

後藤氏
「CADDi Drawerは導入して終わりではなく、次々と新しい機能が追加されていく。これは本当にありがたいことです。我々も進化し、お客様により良いものを提供していくために、キャディさんと一緒に開発を進めていけるような関係でありたいですね。またキャディのCS担当者は、本当に熱心に、こちらの要望を深く理解しようと努めてくれます。その熱意と対応の速さが、我々の企業DXを力強く推進してくれていると感じています」

 

拠点間の壁を打ち破り、「情報・データの資産化」と「コア業務への集中」を実現した仲精機株式会社。CADDiという強力な製造業AIデータプラットフォームを羅針盤に、これからも全社一丸となってさらなるポテンシャルを解放し、新たなモノづくりの未来を切り拓いていく。

顧客事例一覧に戻る