製造業AIデータプラットフォーム CADDi

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社名
レイズネクスト株式会社
設立
1938年
売上高
1,573億円
業界
プラント
事業内容
プラントに関する総合的エンジニアリング業務およびコンサルティング業務、装置・機器の製造・調達・販売・修理および賃貸、装置・機器の設置・土木建築・電気計装・配管等の工事の設計・監理および施工、設備・装置の保全業務、研究・開発・技術支援および受託
レイズネクスト株式会社

事例 CADDi Drawer

現場と共に歩む技術伝承のDX化:タンク設計のノウハウをデジタル資産へ

タンク本部 タンク設計部 部長 谷内 恒平氏, タンク本部 タンク設計部 設計グループ グループマネージャー 福井 朋氏, タンク本部 タンク設計部 設計グループ 鈴木 淳氏, タンク本部 タンク設計部 設計グループ 鳥越 円樺氏, タンク本部 タンク設計部 設計グループ 安齋 真琴氏, タンク本部 タンク設計部 設計グループ 近藤 一哉氏, タンク本部 タンク設計部 設計グループ 川口 大樹氏

導入前・導入後

タンク設計に関する過去の膨大な図面が紙やマイクロフィルムで保管され、必要な情報へのアクセスが困難だった。ベテラン社員の退職により設計ノウハウの属人化が進み、過去の設計思想を理解するのに苦労していた。これまでも過去図面をはじめとするデータベース化が何度も試みられたが、データ量が多すぎて進まず、結局は「先輩に聞く」という属人的な情報収集が中心となっていた。

過去の図面を効率的に検索・活用できるようになり、設計者1人あたり1日平均1時間の工数削減を実現。特に、若手設計者が自ら情報を収集・分析できるようになり、その上で先輩社員に質問するという「質の高いコミュニケーション」が生まれた。部門間のコミュニケーションの活性化を展望し、タンク本部から他部署への広がりにトライしている。

インタビュー

タンク事業の特性と技術伝承の課題

タンク設計部 部長 谷内 恒平 氏 

レイズネクスト株式会社のタンク本部は、石油化学タンクなどの設計および各事業所と連携して施工を手がける部門で、全国各地のタンク建設・メンテナンスの事業を行っている。タンク事業は同社の強みの一つとなっており、高度成長期に大型タンクを製造してきた数少ないメーカーとしての実績を持つ。

 

「当社のタンク事業は、過去数年~数十年前に建設されたタンクのメンテナンスが中心であり、新たなタンクを建設することは少なくなっている。そのため、過去の図面を管理し、活用することが事業遂行において非常に重要になる」と谷内氏は語る。

 

しかし、この業務には大きな課題があった。設計グループの福井氏は「ベテランの方たちも年々退職していなくなっている。補修とはいえ単に元あったものをそのまま直すのではなく、機能改善や課題解決のための改修・改造も行う。当時設計されていたものと時代背景が異なるので、作り方や材料も変わってくる。過去の図面の設計思想を解読するため、非常に苦労している」と課題を説明する。

 

また、タンク設計者として一人前になるには長い年月を必要とする。谷内氏は「一言で言えば経験。それから失敗。そして、それらに対してどのように向き合っていくか」と人材育成の難しさについて語る。

データベース化の繰り返しと行き詰まり

タンク設計部 設計グループ グループマネージャー 福井 朋 氏

 

このような状況の中、過去の設計資産を活用するためのデータベース化の取り組みが幾度となく行われてきた。福井氏は「デジタル化活動みたいなものは何十年も前からやっている。データベース化しようという声が上がっては立ち消えの繰り返しだった」と振り返る。

 

その原因について福井氏は「みんな業務に追われて、どちらが優先事項かと言ったら、やっぱりこっちはあとでいいやと後回しになってしまう。リストのフィールド部分は出来上がっても、データを少し入力して終わるケースが多かった」と説明する。

 

さらに「リスト化の最大の課題は、作ったら誰かが管理して更新していかなければいけないところ。それを作ったら使うかわからないものを更新し続けるのはネックだった」と、運用面での困難さを指摘した。

製造業AIデータプラットフォームCADDiとの出会いと可能性の発見

タンク設計部 設計グループ 鈴木 淳 氏

 

転機となったのは、福井氏が展示会で製造業AIデータプラットフォームCADDi(以下、CADDi)と出会ったことだ。当時、マイクロフィルムのPDF化が進行中で、それを単純にリスト化するだけでなく活用できるシステムを探していた。

 

福井氏はキャディのブースでCADDiのアプリケーションである製造業データ活用クラウドCADDi Drawerの説明を聞き、「図面データの資産化ができる」という言葉に惹かれた。「最初は自社のPDFには高級すぎるシステムかと思ったが、可能性を感じた」と当時を振り返る。

 

その後、鈴木氏を中心に検討が進み、実際に自社の図面を使ったトライアルが実施された。鈴木氏は「最初は半信半疑だったが、トライアルで実際に図面を渡して使わせていただいたとき、思ったより読み込みや検索が高度で便利だと実感した」と話す。特にマイクロフィルムの手書き図面もしっかり読み込める精度に驚いたという。

 

谷内氏も「私も良さそうだなという印象で、否定的な感じは全くなかった。長年の経験から、データベースを自分たちで作り上げるのは無理だと分かっていた。見方がガラッと変わったというか、データベースを作らなくても検索してくれる仕組みがあるならいい」と前向きな反応を示した。

現場での活用と効果

社内会議の様子

 

導入後、設計者たちはさまざまな形でCADDi Drawerを活用している。鈴木氏は「タンク設計をするときに、過去の実績を参考にしている。お客様ごとの実績、タンクの規模感、付属品の名前などで検索する」と話す。

 

タンクはお客様ごとに特徴があり、当社標準と異なる部分が多い。谷内氏は「タンク本体の基本設計はおおむね決まっているが、タンク付属品についてはお客様によって異なる仕様が少なくない」と説明する。

 

鈴木氏は「まずはお客様ごとの標準ルールをざっくり把握し、注意ポイントを頭に入れる」という使い方をしている。また、設計のチェック段階でも「過去にこれを書いているのに、今回は書かないのか?」といったチェックにも活用されている。

 

効果としては「部内でアンケートを取ったところ、一人当たり一日平均1時間の工数削減」という具体的な数字が出ている。設計部は18人体制なので、単純計算で毎日18時間の工数削減となっている。

 

また、工数の削減だけでなく、若手設計者においては「先輩に聞くよりも、まず調べてみて、前回はこのようにやっていたので今回もこうしたい、という一歩進んだところから先輩に相談できるようになった」と、コミュニケーションの質的変化も生まれている。

今後の展望と期待

若手社員がCADDi Drawerを積極的に活用

 

タンク設計部からスタートしたCADDi Drawerの活用だが、他の事業所への展開にもトライしている。

 

谷内氏は「CADDi Drawerをうまく使って、我々の中での良いコミュニケーションがもっと活性化されるよう、引き続きサポートいただきたい」と期待を寄せる。

 

また、特筆すべきは、このプロジェクトが若手主導で進められている点だ。谷内氏は「若手の推進力がこのプロジェクトを成功させている。若手層で一緒に仕事する機会も少ないので、こういう活動は大事」と評価している。

 

単なる業務効率化にとどまらず、若手が主体的に取り組むことで組織文化の変革にも繋がっている。福井氏が最初に感じた「図面・ドキュメントデータの資産化」は、今、着実に実を結びつつある。

 

CADDiによる「図面・ドキュメントデータの資産化」

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