自動車用防振ゴムで世界シェアトップ(シェアは同社調べ)を誇る住友理工株式会社は、創業以来90年以上にわたり先進的なモノづくりを行ってきた。コアコンピタンスである「高分子材料技術」をベースに、「自動車(モビリティ)」「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」の4つの分野で事業を展開し、安全・安心・快適で環境にやさしい社会づくりに貢献している。主力事業の一つである自動車用部品では、防振ゴム以外に、ホースでも国内で高いシェアを誇る。他にも、エンジンカバーや内装品など、自動車用の部品において幅広いラインアップを揃え、自動車産業の発展に大きく関わってきた。
住友理工の自動車用防振ゴムの製品開発では、供給先の自動車メーカーごとに、先行開発から試作、量産立ち上げまでの開発を一貫して担ってきた。開発部門における重要なアウトプットの一つが図面だ。お客様や市場が要求する最高の機能・仕様を、最小限のコストで達成するための図面を製造工程に繋ぐことは、開発部門最大の役割である。そのためにも、高い精度でスピーディーに、手戻りが起こらない設計を行うことが開発部門では求められてきた。
長い歴史と高いシェアを持つ住友理工は、膨大な量の図面や製造に関わる情報を持っている。これを活用することにより、設計品質やスピードの向上、手戻りの削減を実現できる。これは、グローバルでの戦いが加速するなか、開発スピードを向上させる大きな意味をもつ。
これまでは設計品質の肝である「未然防止」はベテランの知見に頼る部分が多かった。そのため担当者の経験値やインプットされる情報量により業務精度やスピードに大きな差が出ていた。また、開発業務に役立つ検索システムはいくつか存在するものの、各々情報が紐づいていないため、必要な情報を集めるのが非効率な作業となっていた。