AI類似図面検索システム5選丨機能や失敗しない選び方を解説
製造業の設計現場では、膨大な図面データを効率よく管理し、必要な図面を迅速に見つけることが長年の課題となっています。従来のファイル名や番号検索では、探したい図面がなかなか見つからず、設計工数が増大し、過去の設計資産が埋もれてしまうという問題が頻発していました。
このような課題を解決するための画期的なシステムが「AI類似図面検索」です。ただし、これらのメリットを最大限に引き出すためには、単にシステムを導入するだけでは十分ではありません。この記事では、AI類似図面検索の仕組みや導入メリット、システム選定のポイントをわかりやすく解説します。
AIで図面探しが”秒”で終わる
「あの図面、どこだっけ?」設計や調達の現場で、図面探しに時間を奪われていませんか?過去の類似図面が見つからず、毎回ゼロから設計したり、適正価格が分からずコストが高止まりしたり…。
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目次
AI類似図面検索とは?
AI類似図面検索は、膨大な図面データの中から形状や寸法などを基に、類似した図面を迅速に見つけ出す仕組みです。この技術を活用することで、設計工数を大幅に削減し、過去の設計資産を有効活用できます。また、ペーパーレス化の推進にも寄与し、多くのメリットをもたらしてくれます。
従来の図面管理システムとの違い
従来の図面検索システムでは、ファイル名や番号検索が主流でした。そのため、適切なタグ付けがされていない場合や、検索キーワードが曖昧な場合には、目的の図面を探すのに多くの時間を要するという課題がありました。
一方、AI類似図面検索では、図面内の文字や形状そのものを検索対象とします。AIが形状や寸法、記号といった図面の特徴を解析し、類似度を計算するため、キーワード検索だけでは見つけられなかった図面も発見できます。この精度の高い検索により、設計業務の効率化が実現します。
AI類似図面検索の仕組み
AI類似図面検索システムは、主に3つのプロセスで構成されています。それぞれの段階でAIが高度な技術を駆使し、効率的かつ正確な図面検索を実現します。
- 画像データを読み込み図面データの登録を行う
- AIが図面内容を理解する
- AIが類似度を計算して結果を表示する
以下に各ステップの詳細を解説します。
画像データを読み込み図面データの登録を行う
AI類似図面検索を利用するには、まず図面データをシステムに登録します。登録方法はシステムによって異なりますが、多くのシステムではPDF、JPG、PNG、TIFFといった画像ファイル形式に対応しています。これにより、手書き図面やスキャンデータなど、さまざまな形式の図面がデジタル化され、検索対象として活用できます。
AIが図面内容を理解する
登録された図面データをAIが解析します。たとえばCADDi Drawerは、図面内の文字情報や形状を認識し、テキストデータを構造化して整理します。このプロセスにより、図面内のデータを効率的に活用することが可能です。
さらに、AIは寸法線などから立体形状を想定し、類似形状の比較を行います。特に、CADDi Drawerが採用している特許技術は、複雑な形状でも高い精度で類似性を判定することが可能です。
AIが類似度の計算を行い結果を表示する
AIが登録された図面データと検索対象の図面を比較し、類似度を計算します。検索対象が特定の図面やキーワードの場合でも、AIはデータベース内の図面を詳細に比較し、類似度の高いものから順に結果を表示します。このプロセスはシステムごとに異なるアルゴリズムが使用されています。
流用設計が進まずお困りではありませんか? 「同じ/類似した形状の部品なのに類似図面が検索できず、つい新図を書いてしまう」 このような課題は、製造業AIデータプラットフォーム「CADDi Drawer」で解決可能です。CADDi Drawerなら、手書きを含めた図面の文字(部品名 / 材質 / サプライヤー等)やラフスケッチをもとに過去の類似図面の検索が数秒で行え、流用設計に必要な情報をすぐに手元に用意できます。
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AI類似図面検索システムの導入メリット
AI類似図面検索システムを導入することで、業務効率化やコスト削減など、さまざまなメリットが期待できます。具体的に見ていきましょう。
図面の検索時間短縮によって業務効率化が図れる
AI類似図面検索システムを活用すると、図面を探す時間を大幅に短縮できます。従来の方法では、担当者が紙の図面を探したり、ファイルサーバー内でキーワード検索を行ったりするのに多くの時間と手間がかかっていました。
特に、過去の類似図面を見つける作業は、担当者の記憶や経験に頼るため、効率が悪くなりがちです。しかし、AIシステムは図面内容を解析して類似図面を自動で検索するため、必要な図面を瞬時に見つけられます。
1時間かかっていた図面検索を5分で終えられるようになれば、その分を他の業務に充てることができ、全体的な業務効率の向上につながるでしょう。
工数や原価の削減につながる
AI類似図面検索は、設計や見積もり作成にかかる工数も削減してくれます。従来は過去の図面を探すのに多くの時間を要していましたが、AIの活用により瞬時に類似図面を見つけられるため、既存の設計を流用したり修正したりする手間が大幅に軽減されるでしょう。
また、共通部品を積極的に使用することで、部品の重複発注や不要な在庫を削減し、原価の最適化を実現します。これにより、設計コストや製造コストの両方で効果を期待できます。
過去の設計資産を有効活用できる
AI類似図面検索システムは、過去の設計資産を効率的に活用する手助けをします。
たとえば製品の設計変更を行う際に、過去の類似製品の図面を検索して参考にすることで、設計ミスを減らしながら作業時間を短縮できるでしょう。
これにより過去の設計ノウハウを学ぶ機会が増え、部品や技術の再利用が可能になるため、設計スキルの向上にも役立ちます。
ペーパーレス化によって保管スペースを削減できる
従来の紙図面管理では、膨大な量の紙図面を保管するためのキャビネットやスペースが必要でした。これには、賃料や備品購入費などのコストがかかります。
AI類似図面検索システムを導入して図面を電子化すれば、紙の保管スペースが不要になり、空いたスペースを他の用途に活用できるでしょう。特にデスクスペースやミーティングスペースを確保できれば、職場環境の改善にもつながります。
AI類似図面検索システムの検索機能
AI類似図面検索システムは、多彩な検索機能を備え、膨大な図面データの中から必要な情報を効率的に見つけ出せるよう設計されています。どのような検索機能があるのか見ていきましょう。
形状検索
形状検索は、図面の形状データをAIが解析し、類似した形状を持つ図面を検索する機能です。輪郭や寸法を基に検索できるため、新規設計時に過去の類似デザインを見つけて再利用することが可能です。これにより設計工数を削減し、業務効率が大幅に向上します。
類似度検索
類似度検索では、登録済みの図面データと検索対象をAIが比較し、類似性に基づいた結果を表示します。寸法や形状、記号など複数の要素を組み合わせて高精度の検索を実現します。特に「似ているが少し異なる部品」を探す場面で役立つでしょう。
部分検索
部分検索は、図面全体ではなく、特定の部分に焦点を当てて検索できる機能です。部品の一部分を選択して検索することで、設計変更や改良時に最適な図面を迅速に見つけられます。
テキスト検索(AI-OCR)
AI-OCRを活用したテキスト検索は、図面内に記載された文字情報を解析し、検索対象として活用する機能です。手書き文字やスキャンデータにも対応可能で、図面内の注記や寸法値を簡単に検索できます。これにより、従来のシステムでは見つけられなかった情報も容易に探し出せます。
自動分類・タグ付けによる検索
AIによる自動分類とタグ付けは、図面データを自動的に整理・分類する機能です。これにより、データの属人化を解消し、目的の図面を素早く見つけることが可能です。大量の図面データを扱う現場での効率化に大きく貢献するでしょう。
差分表示検索
差分表示検索は、類似する複数の図面間を視覚的にわかりやすく表示する機能です。たとえば、旧図面と新図面の違いを色分け表示したり、寸法変更箇所をハイライト表示したり、追加・削除された部品の識別をしたりなどが可能です。この機能により、変更履歴の確認作業が効率化され、ミスの発生を防止できます。
キーワード検索
キーワード検索は、指定した条件を入力することで効率的に目的の図面を検索できる機能です。たとえば具体的な材質名や部品名で検索すると、該当する全ての図面を一覧表示してくれます。また検索結果は関連度順に表示され、複数キーワードを組み合わせることで絞り込みも可能です。
AI類似図面検索システムを選ぶポイント
AI類似図面検索システムを導入する際、業務効率化やコスト削減の効果を最大化するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
アップロードできるファイル形式はどれか
AI類似図面検索システムを選ぶ際、対応しているファイル形式の確認は最優先事項です。システム導入後に、自社で利用している図面データ形式に対応していない場合、システムを十分に活用できなくなる恐れがあります。
一般的に対応する形式は以下の通りです。
- 2D形式:PDF、TIFF、JPEG、PNGなど
- 3D形式:STL、STEP、IGESなど
多くのシステムは2Dファイルに対応していますが、3Dデータに対応していないものもあるため、自社の運用に適しているかどうかを確認することが重要です。
自社に合った機能が備わっているか
システムに搭載されている検索機能が、自社の業務内容に適しているかを見極めることが大切です。たとえば、以下の機能が必要かを検討してください。
- 検索条件指定(形状、寸法など)
- 部分一致検索
- 属性情報検索
また、生産管理システムなど他の業務システムとの連携機能があるかどうかも選定ポイントです。無料トライアルやデモを活用して、実際に操作感を確かめることをお勧めします。
セキュリティ対策は万全か
設計図面は企業にとって重要な資産であるため、セキュリティ対策が十分に整っているシステムを選ぶ必要があります。特に以下の機能を確認してください。
- アクセス制限(特定のユーザーのみ閲覧可能)
- データ暗号化
- システムの脆弱性対策
- ログ管理(誰が、いつ、どのデータにアクセスしたかを記録)
これらの機能を備えたシステムであれば、情報漏洩や不正アクセスのリスクを最小限に抑えられるでしょう。
サポート体制は整っているか
導入後の運用を円滑に進めるためには、サポート体制が整っているかを確認することも重要です。以下の項目に注目してください。
- 問い合わせ対応:電話・メールサポートの有無
- 操作支援:マニュアルや導入時のトレーニングの提供
- 資料提供:導入に必要な情報をわかりやすくまとめた資料の共有
サポート体制が充実しているシステムを選べば、トラブル発生時でも安心して運用を続けることができます。
導入費用はいくらか
導入コストも重要な判断基準です。クラウド型とオンプレミス型のどちらを選ぶかによって、初期費用や運用コストが異なります。
- クラウド型:初期費用を抑えられるが、月額料金が発生する
- オンプレミス型:自社でインフラを構築する必要があるため、初期費用が高額になるが、長期的にはコストを抑えられる場合もある
自社の予算や運用方針に応じて、最適な選択をすることが求められます。
AI類似図面検索システム5選
この章では厳選した5つのシステムを選定ポイントを踏まえながら詳しく解説します。
それぞれのメリット・デメリットを比較検討し、自社に最適なシステムを選びましょう。
CADDi Drawer(キャディ)
出典:CADDi Drawer
AI類似図面検索機能をもつ製造業AIデータプラットフォームCADDi Drawer(キャディドロワー)は、手書きを含めた図面の文字(部品名 / 材質 / サプライヤー等)や形状を自動解析してデータ化し、数秒で類似図面が検索可能です。AIを活用し、検索元図面の形状の特徴やラフスケッチからでも高い精度で類似図面を素早く探し出せます。
▼過去の図面データの中から形状が類似する図面を探し出せるAI類似図面検索機能のイメージ
また、CADDi Drawerでは登録した図面と過去の発注実績が自動で紐づけられるため、情報の一元管理が可能です。類似図面と同時にサプライヤーや金額情報など過去のデータも数秒で検索できます。
▼発注実績と図面情報を紐付けて、発注情報をシステム上で管理する機能のイメージ
図面検索業務の効率化には、AI類似図面検索機能のあるCADDi Drawerをぜひお試しください。
対応ファイル形式 |
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機能 |
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セキュリティ対策 |
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サポート体制 |
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導入費用 | 要問い合わせ |
資料請求 |
AI類似図面検索(テクノア)
出典:AI類似図面検索
テクノアの「AI類似図面検索」は、中小企業向けに特化したAI類似図面システムです。
独自のAIアルゴリズムで、部品ごとの形状・寸法に基づいた類似図面を高速かつ高精度に検索します。
CADデータ(DXF)に対応し、キーワード検索では困難だった図面探しを効率化します。生産管理システムとの連携も特徴の一つです。
対応ファイル形式 |
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機能 |
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セキュリティ対策 | ー |
サポート体制 |
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導入費用 | 利用料:月額3万円~
初期費用:ソフト30万円 セットアップ20万円 AI構築50万円 |
匠フォース(匠技研工業)
出典:匠フォース
匠フォースは、匠技研工業が提供する中小部品メーカー向けのAI図面管理システムです。
AIによる類似図面検索機能を中核に、最新AIのGPT-4oにより、図面番号・品名の情報を見積明細に入力できる機能が搭載されています。
また、権限カスタマイズやデータ分析など、他機能が充実しているのも特徴です。
対応ファイル形式 | ー |
機能 |
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セキュリティ対策 |
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サポート体制 |
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導入費用 | 利用料:月額10万円~
初期費用:要問い合わせ |
Hi-PerBT 図面検索AI(日立ソリューションズ西日本)
Hi-PerBT 図面検索AIは、流用設計業務での図面検索の効率化を支援するAI類似図面検索システムです。
製造業や建設業など、大規模な図面データを扱う組織にとって、効率的な図面管理と活用は重要な課題です。
Hi-PerBT 図面検索AIは、この課題を解決するために開発され、従来のキーワード検索では困難だった形状や寸法に基づく類似図面検索を実現します。
対応ファイル形式 |
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機能 |
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セキュリティ対策 | ー |
サポート体制 |
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導入費用 | 要問い合わせ |
図面活用AI DiCA(電通総研)
出典:図面活用AI DiCA
図面活用AI DiCA(電通総研) は、目視による図面確認作業をサポートするAI図面管理システムです。
独自の学習モデルの作成ノウハウにより、高い検出精度を可能とし、大容量画像にも対応します。
高精度なAI-OCRや記号・マーク検出により、細かな文字列の抽出や学習済みの記号やマークを検索できます。
対応ファイル形式 |
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機能 |
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セキュリティ対策 | ー |
サポート体制 |
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導入費用 | 利用料:ライセンス利用料は保守サポート込みで年間600万円~
別途費用:要問い合わせ |
AI類似図面検索システムの導入事例
ここでは、AI類似図面検索システムを導入した企業の具体的な事例をご紹介します。
それぞれの企業が抱えていた課題と、システム導入によって得られた成果を通じて、導入効果の実際をイメージしてもらえるはずです。
「図面を探す」時間を95%以上減少|富士油圧精機株式会社様
富士油圧精機株式会社は、印刷機械関連装置や上製製本機械ラインなどを製造する自動省力化機械メーカーです。
同社が抱えていた課題は、長年蓄積された膨大な図面の管理にありました。紙ベースの図面管理では、設計者が過去の類似図面を探すのに多大な時間を要し、しばしばベテラン社員の記憶に頼らざるを得ない状況に。
「あの図面はどこにあるんだっけ?」「確か似たような設計をしたことがあるはずだが…」こうした声が日常的に聞かれ、設計部門への印刷依頼が頻発し、業務効率を大きく阻害していました。最終的には、探し出せずに新たな図面を一から作成するケースも多く、図面の増加と保管スペースの逼迫という新たな問題も生み出していたのです。
そんな同社の転機となったのは、「図面管理のデジタル化」でした。同社はこの課題解決の切り札として、CADDi Drawerの導入を決断しますが、導入の成果は劇的なものでした。これまで長時間を要していた図面探索が、わずか1分で完結するようになり、95%以上の時間短縮を実現。現場ではタブレットを使って印刷することなく図面を確認できるようになり、過去の設計資産を迅速に検索・活用することで新規図面の作成工数も大幅に削減されました。
類似図面を基にした効率的な工程組み立てが可能となり、組織全体の生産性向上に大きく貢献しています。
導入後の主な成果
- 図面探しの時間が95%以上減少:図面探索が1分で完結
- ペーパーレス化推進:タブレットから印刷なしで図面確認が可能に
- 設計業務の効率化:過去図面の迅速検索により新規図面工数減少
- 工程短縮の実現:類似図面活用による工程組み立ての最適化
参考:CADDi Drawer活用事例:富士油圧精機株式会社様
調達部門の人件費を年間300万円以上削減|川崎重工業株式会社様
川崎重工業株式会社は、船舶・鉄道車両・バイク・産業プラント・精密機械など多彩な事業を展開する総合エンジニアリングメーカーです。
同社の調達部門では、長年の事業展開により蓄積された膨大な部品データの取り扱いに悩まされていました。過去に購入した類似部品の情報や価格履歴は、各所に散らばったExcelファイルに分散して保存され、必要な情報を見つけ出すだけで相当な時間を要していました。
さらに深刻だったのは、「あの部品は確か3年前に○○円で調達していたはず…」といったベテラン社員の記憶に依存する業務体制でした。若手社員にとって適正価格の判断は困難を極め、類似部品との比較検討すら容易ではありません。結果として、本来であれば短時間で済むはずの調達業務に多大な工数がかかり、コスト妥当性の検証も曖昧になりがちという悪循環に陥っていたのです。
このような調達業務の非効率性を根本から改善するため、同社はCADDi Drawerの導入に踏み切ります。システム導入により、これまで属人的だった部品検索業務が標準化され、経験年数に関係なく誰でも迅速に過去の調達実績を参照できるようになりました。
特に注目すべきは、類似部品の価格比較が瞬時に行えるようになったことで、従来は見逃されがちだった異常な高単価での発注を事前に発見できるようになったことです。これにより1件あたり平均4.4分の業務時間短縮を実現し、年間換算で300万円以上の人件費削減効果を生み出しています。
導入後の主な成果
- 検索時間の大幅短縮:過去の類似品や購入実績を短時間で検索可能
- 業務の標準化:経験に関わらず業務がスムーズに進行
- コスト管理の向上:類似検索による妥当性改善と異常単価の発見
- 人件費削減:1件あたり4.4分の時間短縮により年間300万円以上削減
参考:CADDi Drawer活用事例:川崎重工業株式会社様
「図面管理」から「図面活用」への転換を実現|株式会社荏原製作所様
株式会社荏原製作所は、1920年設立のポンプメーカーです。連結売上高6,032億円、従業員18,372名の大企業で、ポンプ、コンプレッサ、半導体製造装置等の開発・製造・販売を行っています。
創業100年を超える同社には、長年にわたって蓄積された膨大な図面データが存在していました。しかし、これらの貴重な設計資産は「保管されているだけ」の状態で、実際の業務で効果的に活用されているとは言い難い状況でした。
特に課題となっていたのは、サプライヤー選定時の図面検索です。「過去に似たような部品を発注したことがあるはずだが、どこに図面があるのかわからない」「見積もりの妥当性を判断するための参考データが見つからない」といった声が現場から頻繁に上がっていました。加えて、縦割りの組織構造により、他部門で蓄積されたノウハウや事例を共有する仕組みが整っておらず、組織全体としての知見活用が進まない状況が続いていたのです。
転機となったのは、半導体製造装置の受注急増でした。急速な需要拡大に対応するため、同社はまずCADDi Manufacturingを活用してサプライヤー開拓に着手。この取り組みが成功を収めたことから、社内の業務プロセス効率化への関心が高まり、CADDi Drawerの導入へと発展していきました。
導入効果は劇的で、これまで数時間を要していた図面探索作業がわずか数秒で完了するように。浮いた時間は原価企画やサプライヤー開拓といった、より付加価値の高い業務に充てられるようになり、組織の垣根を超えた部署間での情報共有も活発化。意思決定のスピードが格段に向上し、適切なサプライヤー選定と精度の高い見積もり検証が実現しています。
導入後の主な成果
- 検索時間の大幅短縮:数時間かかっていた図面探索業務が数秒に短縮
- 業務の質向上:原価企画やサプライヤー開拓など生産的業務に時間を使えるように
- 組織連携の強化:組織の垣根を超えた各部署のナレッジ共有が実現
- 意思決定の迅速化:適切なサプライヤー選定と見積もり検証が可能に
参考:株式会社荏原製作所様|製造業AIデータプラットフォームCADDi
1.3トンの紙図面を処分し完全デジタル化を実現|株式会社姫協様
株式会社姫協は、樹脂・金属加工を手がける多品種少量生産メーカーです。
同社が長年頭を悩ませていたのは、文字通り山積みとなった紙の図面ファイルでした。6万枚にも及ぶ図面は、事務所の至る所に積み上げられ、必要な図面を探し出すには膨大な時間と労力を要していました。
特に深刻だったのは見積もり業務です。「確かあの案件の図面があったはず…」と記憶を頼りに図面を探しても、30〜40分かかってようやく見つかるか、最悪の場合は見つからずに諦めることも少なくありませんでした。さらに、事業拡大に伴って図面の保管場所確保が新たな課題となり、オフィススペースの有効活用を阻む要因にもなっていたのです。
熟練職人の知識と経験に依存した業務体制では、新入社員が独力で図面を見つけることは困難で、常にベテラン社員のサポートが必要という非効率な状況が続いていました。
この状況を根本から変革するため、同社はCADDi Drawerを導入し、6万枚すべての図面をデジタル化するという大胆な取り組みに着手しました。導入後の変化は目覚ましく、これまで最大40分を要していた図面探索がわずか5分で完了するようになりました。
最も象徴的な成果は、総重量1.3トンもの紙図面を完全に処分できたことです。図面保管に使われていたスペースは他の業務に有効活用され、新入社員でも熟練職人と同等のスピードで図面を見つけられるようになり、「図面探索は若手、価格決定はベテラン」という効率的な分業体制も確立されています。
導入後の主な成果
- 検索時間の劇的短縮:図面探索時間が5分に短縮され業務効率が劇的に改善
- 物理的効率化:1.3トンの紙図面を処分し空いたスペースを他の目的に活用
- 属人化解消:入社数カ月の新入社員でも熟練職人と同様に図面検索が可能
- 分業体制の確立:若手社員が図面探索、ベテラン職人が価格決定の効率的分業
参考:株式会社姫協様|製造業AIデータプラットフォームCADDi
データ一本化によるサプライチェーン最適化を実現|仲精機株式会社様
仲精機株式会社は、精密金属部品加工を手がける老舗メーカーです。
長年の事業運営により、同社は複数拠点に豊富なデータを保有していましたが、その活用には大きな課題を抱えていました。各拠点でデータの収集方法や保存場所が異なるため、「あの案件のデータはどこの拠点にあるのか」「似たような部品を以前作ったことがあるはずだが…」といった状況が日常的に発生していたのです。
特に深刻だったのは見積もり業務でした。類似品の価格を参考にしたくても、該当するデータを見つけるのに時間がかかり、結果的に担当者の経験や記憶に頼った「なんとなく」の価格設定になりがちでした。これでは顧客からの価格根拠の問い合わせに対して説得力のある回答ができず、即座の見積もり提示も困難な状況が続いていました。
この「データはあるのに活用できない」というジレンマを解決するため、同社はCADDi Drawerを導入し、図面を軸とした全社データの一元化に着手。これまで拠点ごとに分散していた情報が統合され、どこからでも過去の類似案件や実際の工数データにアクセスできるようになりました。
導入効果として特に注目すべきは、見積もり業務の質的向上です。過去の類似図面とそれに紐づく実績工数を瞬時に参照できるようになったことで、経験と勘に頼っていた価格設定が、データに基づく論理的な根拠を持った提案へと変化しました。見積もり時間の短縮と精度向上を同時に実現し、顧客からの信頼獲得につながっています。
導入後の主な成果
- 業務効率の改善:類似図面探索の手間解消と紐づけデータによる効率化
- 価格説明の高度化:過去データを参考にしたロジカルな価格説明が可能に
- 顧客満足度向上:見積作業の時間短縮と精度向上により顧客信頼を獲得
- データ活用の変革:拠点間の垣根をなくしたデータ活用による競争力強化
参考:仲精機株式会社様|製造業AIデータプラットフォームCADDi
まとめ
AI類似図面検索システムは、AIを活用して形状や寸法で類似図面を瞬時に検索し、過去の設計資産の活用、ペーパーレス化を実現できる画期的なシステムです。
対応ファイル形式や自社に合った機能が備わっているかなど、選び方のポイントを抑えて導入を検討しましょう。
CADDi Drawerは、製造業特化のAIを搭載したAI類似図面管理システムです。
類似図面検索はもちろん、図面バージョン管理、アクセス権限設定、部品表連携、さらには発注機能連携まで、設計・製造プロセス全体の効率化を支援する強力なツールです。
AI類似図面検索システム導入で業務効率化とコスト削減を実現したいなら、ぜひCADDi Drawerをご検討ください。