建設業界でDX推進の鍵とされるBIM/CIM。しかし、三建設備工業でDXを牽引する日比氏は、その先に潜む課題を冷静に見つめていた。

日比氏
「建設業は特殊な業界ですが、BIM/CIMだけでは勝てない、というのが私の結論です。そこから“文脈”のようなものが生まれてこない。我々が従来使ってきた図面や書類は、その文脈を経て完成した人の想いの形です。これをどう繋いでいくかと考えた時、BIM/CIMだけでは限界があると感じました」
過去の経験則という「属人化」した知見。その背景にある意図や経緯といった「文脈」。それら無形の資産をいかにして組織の力に変えるか。当初、調達マネジメントの文脈で出会った製造業AIデータプラットフォームCADDiに対し、日比氏は別の可能性を直感していた。それが、CADDiのアプリケーションである「製造業データ活用クラウド CADDi Drawer」であった。あらゆる図面や書類を繋ぎ、そこに眠る「意味」を抽出できるのではないか。その確信が、同社のDX戦略を大きく前進させる号砲となった。


