製造業AIデータプラットフォーム CADDi

資料ダウンロード お問い合わせ

PDMとは?機能やメリット、PLMとの違いを解説

お役立ち記事

PDMとは?機能やメリット、PLMとの違いを解説

PDMとは?機能やメリット、PLMとの違いを解説

製造業の設計・開発現場では設計図面やCADデータ、仕様書など、製品開発に関わる情報が日々蓄積され続け、管理方法に頭を悩ませる企業も少なくありません。さらに、グローバル化やデジタル化の進展により、製品開発は複雑化の一途をたどっています。

この課題を解決するのが、PDM(Product Data Management)です。製品データ管理の領域では、PDMの上位システムとしてPLMが存在します。PDMが設計・開発段階における製品データ管理に特化しているのに対し、PLMは製品の全ライフサイクル(企画、設計、製造、販売、保守、廃棄まで)を通じた情報管理を行います。

PDMの導入にあたっては、自社の業務プロセスに合った機能の選定やメリット、注意点を熟知することが重要です。この記事では、PDMの概要や機能、PLMとの違い、メリット、注意点を解説します。

目次

 

図面管理が”保管するだけ”になっていませんか?

「手入力だったり紐付けだったりが手間で、PDMでやりたかった過去データの活用ができていない」

「既存のPDMでは類似図面の検索や再利用が難しい」

「CADDi Drawer(キャディドロワー)」なら、既存図面の有効活用や、類似形状の検索が可能に!

▼形状が類似する図面を検索できる機能イメージ

\年間7000時間の設計工数を削減した実績あり/

まずはサービス資料をダウンロードしてみる

PDMとは? 

PDM(Product Data Management)は、製品開発に関わる設計図面やCADデータ、技術文書などの情報を体系的に管理し、一元化するためのシステムです。具体的には設計図面やCADデータ、仕様書など、製品開発に必要な技術情報を体系的に管理できます。

主な役割としては、設計データの管理や設計データの承認ワークフローなどです。設計変更の履歴を記録し、最新版と過去版を適切に管理することで、「いつ」「誰が」「どのような変更を行ったか」を正確に把握できます。設計部門のほか、各部門との連携により、必要な情報を共有できるため、スムーズな製品開発を可能にします。

PLMとの違い

PDMが主に設計・開発段階の製品データを管理するのに対し、PLMは製品の企画から設計、製造、販売、保守、廃棄までの全ライフサイクルを通じた情報管理を行います。つまり、PLMの一部としてPDMが存在するという関係性にあります。

PDMとPLMの主な違いは以下の通りです。

比較項目

PDM

PLM

管理範囲 設計・開発フェーズの情報管理 企画から廃棄までの全工程を包括的に管理
機能の特徴
  • 図面の版管理
  • 3DモデルなどのCADデータ
  • 技術文書
  • 市場分析
  • 原価管理
  • 品質管理
  • 保守記録

このように、PDMはPLMの中核機能として製品データを管理する役割を担っています。

PDMで解決できる課題

製造業の設計・開発現場では、設計リードタイムの長期化や過去図面の有効活用ができないなど、多くの課題を抱えています。

例えば、設計データの管理では、社内データが各所に散在することで図面検索に時間を要し、設計リードタイムが長期化する課題があります。また、設計変更の情報が正しく伝達されていないと、部門間での情報共有が円滑に行われません。こうした事態は、手戻りの発生につながり、さらなる開発の遅延を引き起こします。

また品質管理においては、過去の不具合やノウハウが個人に依存し、部品表(BOM)などを一元管理ができていないため、過去の設計資産を十分に活用できません。

PDMを導入することで、過去の設計データや図面を一元管理し、キーワード検索で即座に必要な情報にアクセスできるようになります。また、BOM管理機能で部品表を一元管理することで、過去の設計資産を効率的に活用でき、設計リードタイムの大幅な短縮が可能になります。

PDMの主な5つの機能

PDMには業務効率が向上する5つの機能があります。自社の課題に合わせて必要な機能を選択することが重要です。

データの一元管理

PDMのデータ一元管理では、主に以下のようなデータを紐付けられます。

  • CADデータ(3D・2Dモデル)
  • 仕様書
  • 設計書
  • テスト結果
  • 部品表
  • 設計変更

これらのデータはサーバー上で一括管理されます。また、データ間の関連性も管理できるため、ある部品の3Dモデルを変更した際に、関連する図面や部品表への影響を即座に確認できます。

ワークフロー管理

PDMのワークフロー管理は、設計データの承認プロセスを電子化し、業務の流れを自動化する仕組みです。各工程では、担当者への自動通知や期限管理も行えるため、承認待ち状態の把握や進捗確認が容易です。また、承認履歴が自動的に記録されるため、「いつ」「誰が」「どのような判断で」承認したかを後から追跡できます。

このように、ワークフロー管理機能は、承認プロセスの標準化と効率化を実現し、品質管理の向上に貢献します。

BOM管理

BOM(部品表)管理は、PDMの中核的な機能の1つです。製品を構成する部品のコストや調達先の情報を一元管理し、設計・製造・調達などの各部門で必要な情報を提供します。

例えば、部品の仕様を変更した際、その部品を使用している全ての製品や、連動して修正が必要な図面を自動的に洗い出せるため、設計変更による手戻りを最小限に抑えられます。

セキュリティリスクの低減

PDMは企業の重要な知的財産である設計データを扱うため、強固なセキュリティ機能を備えているのが特徴です。主要な機能として、ユーザーごとの閲覧・編集権限の設定やアクセス制御などがあります。さらに、ファイルの暗号化や改ざん防止機能、アクセスログの記録・監視といったデータ保護機能も搭載されています。

設計データへのアクセスを追跡できる点は特に重要で、「誰が」「いつ」「どのように」アクセスしたかを把握できるため、万が一の情報漏洩時にも経路を特定することが可能です。

PDM導入によるメリット

PDMを導入することで、設計データの有効活用や効率的な情報共有が実現できます。この章ではPDM導入によるメリットを4つ紹介します。

過去の設計データを有効活用できる

PDMの導入により、過去の設計データを効率的に活用できるようになります。例えば、類似製品の設計時に、過去の図面やCADデータを簡単に検索・流用できるため、スムーズな製品開発を行えます。また、ベテラン設計者のノウハウをデータベース化し、若手への技術継承を促進できるのも特徴です。

特に、属性情報(製品名、設計者、日付など)や図面上の特徴的な形状をキーワードにした検索が可能となり、膨大な過去データの中から必要な情報をスピーディーに取り出せます。

一からの設計作業が減少し、設計品質の向上と開発時間の短縮を同時に実現できるでしょう。

リアルタイムで情報共有できる

PDMは設計データのリアルタイムな共有が可能になるため、図面を修正した場合、変更内容は即座に関係者全員に通知され、最新の状態を確認できます。

特に、複数拠点での開発が一般的となった現在では、時差のある海外拠点とも同じ情報を共有できる点がメリットです。

また、承認プロセスもオンラインで完結するため、決裁者は外出先からでも確認・承認が可能です。

開発期間を短縮できる

製品開発プロセスの効率化が実現するため、開発期間の短縮が可能です。設計段階では、過去の設計データを効率的に検索・再利用できるため、一からの設計作業を最小限に抑えられます。

また、レビュー段階では、承認ワークフローが自動化されることで、従来の紙ベースでの承認プロセスと比較して、大幅な時間短縮を実現できます。書類の物理的な移動が不要となり、承認者への確認待ち時間も短縮できるでしょう。

さらに修正段階では、関係者全員がリアルタイムで最新データにアクセスできるため、手戻りや重複作業を防止できます。

PDM導入時の注意点

PDMを導入する際には、自社の業務プロセスに本当に必要な機能か見極めることが重要です。また、システムによってはワークフローがより複雑になる可能性もあります。

自社に適した機能があるか確認する

PDMには多様な機能が搭載されていますが、全ての機能を導入する必要はありません。むしろ、自社の業務フローや課題に合わせて必要な機能を見極めることが重要です。

例えば、設計データの共有が目的ならデータ管理機能、承認フローの改善が課題ならワークフロー機能を重視するなどです。

将来的な拡張性も考慮に入れつつ、現時点で本当に必要な機能から段階的に導入することをおすすめします。不要な機能まで導入すると、かえって業務効率の低下を招く可能性があるためです。

ワークフローが複雑化する可能性がある

PDM導入に伴うワークフローの複雑化は、組織全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。従来の承認プロセスが変更され、複数部門による承認や新たなチェックポイントが加わることで、業務フローが煩雑になりがちです。例えば、これまで部門長の承認だけで済んでいた案件が、品質管理部門や法務部門など、複数の承認者を経由する必要が生じます。

また、システムに不慣れな社員は操作方法の習得に時間を要し、一時的な業務効率の低下を招く可能性があります。特に、ベテラン社員の中には新システムへの抵抗感を持つ人も少なくありません。このため、全社員を対象とした体系的な教育プログラムの実施が不可欠です。

さらに、新しいワークフローへの移行期間中は、従来の業務プロセスとの並行運用が必要となり、かえって業務が滞る可能性もあります。部門やプロジェクト単位で順次導入し、問題点を洗い出しながら展開していくとよいでしょう。

情報の検索性はよくない

PDM導入により、さまざまな情報の検索や紐付けが容易になると期待している企業も多いでしょう。しかし、実際の運用では課題が存在します。

PDMで情報検索を行う際には、膨大な情報を手入力するケースがほとんどです。このような手入力での作業は企業にとって非現実的なケースが多く、検索性を期待してPDMの刷新を検討すると、期待通りの効果が得られない場合がほとんどです。

まとめ

PDMは設計データの一元管理を実現し、製造業における開発プロセスを効率化する重要なツールです。

導入に際しては自社の業務フローを十分に分析し、必要な機能を見極めながら段階的な導入を心がけましょう。

CADDi Drawer(キャディドロワー)はAI自動図面解析により、部品名や材質、サプライヤーなどの情報をデータ化できるため、ファイル名や番号検索が可能となります。

また、自動発注実績紐付けでは過去の履歴を一覧で閲覧できるため、新製品や設計変更などがあっても必要な情報を即座にみつけられます。

こういった機能によって、過去データを有効活用したり、リアルタイムでの情報共有ができたりと、PDMだけでは難しかった過去データの活用による業務効率化を支援できます。

製造業における開発や設計プロセスの管理に課題がある企業様は、ぜひCADDi Drawerの導入をご検討ください。

キャディ編集部

Authorキャディ編集部

製造業に特化した記事を執筆しています。技術の最新トレンドや業界の動向、生産効率の向上に関する実践的なTipsなど、みなさまが現場で活かせる情報を提供することを目指しています。また、製造現場の課題解決や改善に役立つツールやリソースの紹介も行っています。業界のエキスパートとのインタビューや成功事例の共有を通じて、製造業の未来を切り拓くサポートをしてまいります。