社名
川崎重工業株式会社
設立
1896年10月15日
従業員数
38,254人(2023年3月31日現在)
売上高
全社 1兆7,256億円 / 精密機械・ロボットカンパニー 2,526億円(2022年度)
業界
産業用ロボット
事業内容
船舶・鉄道車両・航空機・モーターサイクル・ガスタービン・ガスエンジン・産業プラント・油圧機器・ロボットなどの設計開発・製造・販売
川崎重工業株式会社

事例 CADDi Drawer

システムを内製化したが効果が持続しない。CADDi Drawerにより業務のスピード感が増し、継続的に結果を出す仕組みを構築

精密機械・ロボットカンパニー ロボットディビジョン 生産総括部 基幹職

小野卓士

精密機械・ロボットカンパニー ロボットディビジョン 生産総括部 調達部 部長

酒井幸一

精密機械・ロボットカンパニー ロボットディビジョン 生産総括部 調達部 調達一課

林和輝

導入前・導入後

大きく事業拡大を進めていく中で各種業務の属人化が顕在化。増加していく業務量に忙殺され、結果的に知見の型化・作業標準化が進まず業務レベル・進め方にバラつきが発生。過去には膨大な量の図面を人力でデータベース化し、部品種毎に価格の妥当性を判断できるようにすることで業務レベルの均一化を図ったこともあったが、運用面での難しさもあり、持続的な効果が得られなかった。

過去の類似案件や購入実績を短時間で探すことができるようになった。これによって属人化していた個々人のノウハウを他の人が活用できるような情報資産化の礎を築いていく。業務遂行の中で自然と情報が蓄積されていく仕組みを構築することで迫りくる事業拡大にも対応し得る態勢を整えている。また、付随するコンサルティングサポートにより、製造業特有の複雑な業務における課題の整理と現場浸透が一気に進み、驚異的な速さで情報の資産化および態勢整備に向けたシステム活用が進展している。

インタビュー

業務の属人化の解消を目指し、膨大な図面を使用してシステムを内製化。

川崎重工業株式会社は、総合エンジニアリングメーカーとして、船舶・鉄道車両、バイク、産業プラント、精密機械、ロボットなど、多彩な事業を展開する。川崎重工業は、1968年に国産初の産業用ロボットを開発、製造を開始した。日本の産業用ロボットのパイオニアである。ロボット事業の中核となる精密機械・ロボットカンパニーロボットディビジョンでは、自動車業界や半導体業界向けなど、様々な産業用ロボットの開発・設計、製造、販売を行ってきた。近年では医療向け手術支援ロボットにも進出している。ロボット市場の成長と共に、ロボットディビジョンの売上規模は年々増大しており、グループビジョン2030では今後7年で現状比4倍の売上規模を目標として掲げている。

 

売り上げ規模・組織の拡大と共にロボットディビジョンでは様々な課題を抱えていた。特に大きな課題だったのが事業成長に伴って求められる一人当たりの生産性向上だ。事業の拡大に伴って従来社員一人ひとりに求められる業務量は増加の一途を辿っている。そうした状況下では知見の型化や業務プロセスの標準化などがどうしても後手に回ってしまい、属人化が進んでいた。

 

属人化は様々な業務で問題を生じさせる。例えば、設計部門では、属人化により過去の知見が活かされず、設計者によって設計結果に大きな差が生じたり、部品点数が増加したりするなどの問題が発生していた。また、購買部門では、担当するバイヤーによって調達部部品の適正価格の精査レベルにバラツキが生じるなど、業務クオリティに差が生じていた。

 

ロボットディビジョンでは、このような状況を変えるために、業務をマニュアルへ落とし込んで標準化を試みるなど、様々な取り組みに着手した。購買部門では、図面から情報を入力することで妥当なコストを算出するデータベースを、Excelを用いて内製で製作していた。

 

小野氏
「データベースの作成では、代表的な図面を板金品、機械加工品、購入品のように製品群で分類して、類似しているものをまとめました。その図面から、形状の特徴や材質、加工方法などの価格に影響するパラメーターを抽出し、計算アルゴリズムを作り上げていきました。作成は7、8人ほどで行ったと記憶しています。図面は、1人あたり1,000枚から2,000枚ぐらいの量を見たので10,000枚前後の図面を見たことになりますね。」

 

1年ほどの期間をかけて出来上がったデータベースは、部品の種類によって差はあるものの、価格のバラつきを減らし、業務クオリティの均一化に役立つものであった。しかし、しばらく運用を続けると、徐々に新たな問題が生じてくる。

業務の属人化の解消を目指し、膨大な図面を使用してシステムを内製化。

手間をかけず、継続的に使用できる「図面データの資産化ができる」システム

部品価格に影響する原材料費や加工費などの数値は、時間と共に変化していく。データベース内の計算モデルに対してもこのような価格に影響する数値の継続的アップデートが必要であり、手動でアップデートする工数は大きな負担になっていた。加えて、入力するパラメーターが多い複雑な加工品への対応の難しさも活用上の課題であった。これらにより、データベースの使用範囲は徐々に縮小していく。瞬間風速的ではなく継続的に使用できる、運用の手間が少ない新たな仕組みの導入の検討が必要になっていた。

 

内製、人力でのデータベース作成、運用に限界を感じていたロボットディビジョンでは、外部の各種システムの検討を始める。そうした状況にある中、図面データ活用クラウドCADDi Drawerの説明を受けることとなる。CADDi Drawer自体は、同じグループ企業である川崎車両株式会社の車両設計部門で既に導入の実績があった。ある程度サービスの内容は知ってはいたが、ロボットディビジョンでは、設計ではなく購買での使用を想定していたため、活用方法や使用した時の効果が想像できず、導入検討までには至っていなかったのだ。

 

酒井氏
「説明を受けた時に「図面データの資産化ができる」と言われたところに惹かれました。似ている部品だが図面の書き方が違うこともかなりあります。類似品の検索機能でそれらを機械的に発見できるのに加え、図面とデータを紐付けられるので、発注実績の単価と図面とを見ながら参照できます。図面OCRでデータを抜き出すこともできるので、類似図面の確認だけでなく内製していた時に苦労した情報の抜き出しなどもCADDi Drawerを使うことでとても簡単にできると思いました。

ロボットは、類似品が多くなっていく傾向のある製品です。CADDi Drawerによって図面をデータとして扱える、見れる、集約できるというのがこれからの時代絶対に必要となります。加えて、これなら今後組織が拡大し、新たに人が来ても自然に業務を行っていけるとも感じました。」

 

説明を受けた後、ロボットディビジョンでは普段使っている実際の図面を使ったトライアルを実施し、管理職から現場メンバーまでを含んだプロジェクトメンバーで使用感を確認した。その結果、任意の直感的なキーワードでも目的の図面を探し出せたり、見積時に誰でもワンクリックで過去の類似図面とその購買情報を見られたり、類似部品の統合や標準化に向けたデータ収集も容易に出来たり等々を確認することができた。これにより、実際の業務で活用した際のイメージを持つことができ、導入を決定した。

手間をかけず、継続的に使用できる「図面データの資産化ができる」システム

導入前、導入後の手厚いサポート。CADDi Drawerで事業拡大を推進。

導入の準備は驚異的なスピードで進んでいった。ロボットディビジョンでは、今まで何かシステムを導入しようとした時、実際の導入までには早くても半年から1年くらいかかっていた。しかし、今回は3ヶ月程度での導入が実現する。

 

林氏
「レスポンスのスピードが凄く早くて、ノーストレスでやりとりできました。レスポンスが速いと、社内の色々なやり取りもスピード感を持ってやれるので、お互いに相乗効果があります。また、現業務の課題整理を行い、その解決に向けてどういったステップで進めていくのかなどの検討に関してもキャディのカスタマーサクセス部隊が一緒に走ってくれたので、かつてないスピードで契約から立ち上げまで進みました。」

 

導入までだけでなく、キャディでは導入後の手厚いサポートも行っている。

 

小野氏
「カスタマーサクセスの体制は魅力的でした。ツールは入れただけではなかなか浸透しません。社内メンバーだけで広げていくのも労力がかかります。そうした結果として、活用しきれずに終わるケースも過去には多くありましたが、キャディは売りっぱなしではなく、しっかりとサポートが入り、実際の業務への落とし込みまでやってくれます。導入した後に、コンサル的に協力してくれるのは、非常に大きなところでした。グループビジョン2030で掲げている事業目標の達成に向けて、引き続き二人三脚で進められたらと考えています。」

 

ロボットディビジョンでは、現在、購買部門での利用が中心だが、今後、活用の範囲を広げていくことも検討している。購買を行う生産総括部で使いこなした後に設計にまで活用部門を広げる想定だ。そして最終的にはカンパニー全体まで広げてシナジー効果を出すことを目論んでいる。

 

CADDi Drawerを活用することで、生産効率を上げ、業務遂行の基盤を確立し、更なる事業拡大を実現していく。

導入前、導入後の手厚いサポート。CADDi Drawerで事業拡大を推進。
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