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製造業で品質改善するには?取り組み方や成功のポイントを解説

製造業で品質改善するには?取り組み方や成功のポイントを解説

製造業で品質改善するには?取り組み方や成功のポイントを解説

製造業では、ノウハウや不具合の判断基準がベテランの経験と勘に依存している部分が多く、個人のスキルによって検査基準にバラつきが起きています。

また、製品の高度化や顧客からの要求の多様化により、従来の品質管理手法だけでは十分な対応が難しくなっています。

こうした課題に対しては、デジタルツールの活用など、効果的な品質改善手法の導入により、持続可能な品質管理体制を構築することが可能です。

この記事では、品質改善の基本的な考え方から具体的な取り組み方、成功のためのポイントを解説します。

目次

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品質改善とは

品質改善とは不良品の発生を抑制したり、再発防止に努めたりと、顧客の求める水準に品質を高める取り組みです。この章では作業や製品における品質改善や品質向上との違いについて解説します。

作業の品質改善

作業の品質改善とは、製造現場の業務プロセスにおける問題点を特定し、その改善を図る取り組みです。

まず基本となるのが作業手順の標準化です。標準化とは作業指示の明確化や現場のノウハウの文書化、問題発生時の対応フローの整備、重複作業の見直しなどを通じて、不要な工程を削減する取り組みです。

しかし、「この音がしたら調整が必要」「この色合いなら良品」といった経験則は、言語化が難しくマニュアルに落とし込むことが極めて困難です。そのため、標準化の必要性は理解していても、実践段階で壁にぶつかる企業が多いのが現状です。

この課題に対し、近年では画像認識AIや熟練作業者の動作を記録したビデオマニュアルなど、技術革新による新たな手法が注目されています。これらの技術を活用することで、これまで言語化できなかった暗黙知を「見える化」し、品質の安定化と技術継承を同時に実現できる可能性が広がっています。

製品の品質改善

製品の品質改善とは、製品そのものが持つ性能や特性を向上させる取り組みです。具体的な改善対象としては、動作精度や耐久性といった機能性の向上、仕上がりや色調などの外観品質の改善、耐熱性や絶縁性などの安全性の確保などが挙げられます。

また、製品品質を支える重要な要素として、不良品発生率の低減や検査精度の向上、製品のトレーサビリティ確保といった製造プロセスの品質も含まれます。加えて、顧客満足度に直結する納期遵守も、製品の品質改善における重要な要素です。これらの要素を総合的に改善することで、製品品質の向上が実現できます。

品質向上との違い

品質改善と品質向上は、品質を良くするための活動ですが、その目的と取り組み方に違いがあります。

品質改善は、製品や工程が目標値から外れた状態を正常な状態へと修正する活動です。例えば、製品の寸法精度が設計仕様から外れてしまった場合、適切な精度へと修正する取り組みがこれにあたります。

これに対し品質向上は、現状の品質レベルをさらに高めることを目指す活動です。例えば、製品の寸法精度が現在±0.1mmである場合、これを±0.05mmへと向上させる取り組みが該当します。品質向上は、より高い目標を掲げて継続的に取り組む活動といえます。

このように、品質改善は正常な状態への「修正」を目的とする一時的な活動であり、品質向上は現状を超える「改良」を目指す継続的な活動という違いがあるのです。

品質改善の課題

品質改善を実現するには、人手不足や属人化、管理体制の整備不足、PDCAが実施できていないなど、さまざまな課題が挙げられます。この章では品質管理の課題を3つ解説します。

人手不足や属人化

品質管理において特に深刻なのは、ベテラン社員の技術やノウハウに依存してしまう(属人化してしまう)点です。属人化の原因は、長年の経験から培われた感覚的な判断基準を文書化やマニュアル化するのが難しいことにあります。また新人社員への教育が不十分なため、業務を遂行できる人材育成が進まず、さらに属人化が深刻になります。

社員のスキルによって品質改善方法に違いが出ると、品質のバラつきが拡大し、不良品の流出リスクが高まります。

現場の管理体制が整っていない

品質改善を進める上で大きな障壁となるのが、現場の管理体制の不備です。作業指示書や手順書が最新化されていない状態では、品質基準のバラつきや検査漏れが発生しやすくなるでしょう。

また、品質記録においても紙と電子データが混在したり、担当者による記録様式が違ったりなどの理由で、社内での情報共有が困難になります。さらに、製品の傷や寸法のズレに対する許容範囲など、品質管理における判断基準が曖昧なため、品質の安定性が損なわれます。このような現場の管理体制では、効果的な品質改善活動を展開することは難しいでしょう。

PDCAを実施できていない

品質改善に着手しても、効果検証まで実施できていない企業が多く見られます。その主な理由として、日々の業務に追われて振り返りの時間が確保できないことや、改善効果を数値化する指標が不明確なことが挙げられます。

加えて、過去の品質データが十分に活用されていないことも、PDCAサイクルが機能していない大きな要因です。不良品のパターンや特定の工程のバラつきなど、品質改善できていない根本的な原因を特定するためには、過去の品質データの分析が不可欠です。ただ、そのようなデータはそろっていたとしても、十分に活用されていないため、表面的な対策に終始してしまい、同じ問題が繰り返し発生している現場は少なくありません。

効果的な品質改善の取り組み方

品質改善を効果的に進めるためには、デジタルツールの活用や4M分析、5つの化を実施するなどの取り組みを行いましょう。この章では効果的な品質改善の取り組み方を4つ解説します。

デジタルツールを活用する

品質改善におけるデジタルツールの活用は、これまで活用できていなかった過去の品質データを有効活用できる可能性を秘めています。例えば、図面データの一元管理によって、散在していた設計情報や加工ノウハウを社内で効率的に共有でき、これまで眠っていたデータから新たな品質改善のヒントを見出すことが可能になります。

これまで属人化していた部分を、誰でも同じ基準で確認できるようになるため、均一な品質確保が実現できるでしょう。

4Mの分析をする

4M分析とは、品質管理における4つの重要な要素を体系的に分析する手法です。この分析により、品質に影響を与える要因を特定し、効果的な改善策を立案できます。

分類 分析・確認項目
Man(人)
  • 作業者のスキルレベル
  • 教育体制
  • 作業手順の理解度
Machine(設備)
  • 製造設備の精度
  • 保守状態
  • 稼働状況
Material(材料)
  • 原材料/部品の品質
  • 保管状態
  • 取り扱い方法
Method(方法)
  • 作業方法
  • 作業手順
  • 製造工程

「Man(人)」では、作業者のスキルレベルや教育体制、作業手順の理解度を分析します。特に熟練者と新人での作業のバラつきに注目することで、どの作業工程に課題があるかを明確にします。

「Machine(設備)」では、製造設備の精度や保守状態、稼働状況を確認します。設備の劣化や点検の不備が品質低下の原因となるため、定期的な点検と記録が重要です。

「Material(材料)」では、原材料や部品の品質、保管状態、取り扱い方法を評価します。サプライヤーとの品質基準の擦り合わせも欠かせません。

「Method(方法)」では、作業方法や手順、製造工程を検証します。手順書の更新状況や現場での遵守状況も重要なチェックポイントです。

5つの化を実践する

品質改善を成功させるためには、「5つの化」の実践が重要です。

ステップ 内容 具体的なアクション
①アクション データの見える化
  • 品質データのグラフ化と掲示
  • 不良品発生状況のマッピング
②定量化 数値目標の設定
  • 不良率の設定
  • 一か月で発生したミス件数
③課題化 改善項目の特定
  • 課題の特定
  • 優先順位付けされた課題リストの作成
④実践化 改善活動の実行
  • 具体的な改善計画の立案と実行
  • 現場を巻き込んだ改善活動の展開
⑤定着化 改善の標準化
  • 改善活動の標準化とルール化
  • 定期的な進捗確認と評価の実施

これら5つの化を体系的に進めることで、品質改善活動を効果的に推進できます。特に、可視化によって現状の問題点を明確にし、定量化によって具体的な改善目標を設定することが重要です。

5Sを徹底する

5Sとは、品質改善の基礎となる5要素の管理手法です。

項目 主な活動内容 期待される効果
整理 必要・不要品の分別と不要品の処分
  • 作業スペースの確保
  • 在庫の適正化
整頓 必要な物の配置最適化と定位置管理
  • 工具・治具の管理
  • 部品・材料の保管
清掃 設備や工具の清掃と点検
  • 不具合の早期発見
  • 品質トラブルの防止
清潔 掃除や整理整頓のルール設定や定期点検
  • 作業者の身だしなみ
  • 作業環境の衛生管理
躾(しつけ) ルールの習慣化と自主的な改善活動
  • 自主点検活動
  • 品質目標の唱和

これら5つの要素を段階的に導入し、全社で徹底すると、製造現場の無駄を排除し、品質改善へとつなげることができます。

品質改善を成功に導くためのポイント

効率的な品質改善を実行するには、課題を深掘りしたりしたり、目標を明確化したりするなどして、品質改善を成功へと進めていきましょう。この章では品質改善を成功に導くためのポイントを解説します。

課題を深掘りする

品質改善を進めるにあたって、まず自社の課題を深掘りすることが重要です。「不良品の発生頻度や傾向」「問題が多発する工程の特定」といった視点から、現状を多角的に分析しましょう。

例えば、「製品の寸法精度が安定しない」という課題に対し、「検査基準の作業者間でのバラつき」「品質判断基準の文書化の不備」といった要因を段階的に分析します。このように要因分析を実施することで、解決すべき本質的な課題を特定しやすくなります。

目標を明確にする

品質改善の目標設定には、定量的な目標値、達成期限の明確化、目標の共有と見える化といった視点が重要です。

定量的な目標値については、例えば、現状の不良率8%を3%以下にするなど、具体的な数値を設定します。また、設定した目標をいつまでに達成するのかもあわせて明確にしましょう。

さらに、定例会議で進捗を確認するなど、社員全員が常に目標を意識できる環境を整えることが大切です。達成状況をグラフ化して表示すれば、改善の成果を実感しやすくなります。

まとめ

品質改善は作業面と製品面で重視すべき項目が異なるため、それぞれの面での改善ポイントを把握しておくことが重要です。特に製造現場で直面する属人化や品質管理の不備といった課題に対しては、デジタルツールの活用や4M分析が効果的な解決策となります。また、5つの化や5Sの実践を通じて品質改善の現状を可視化し、自社が抱える本質的な課題を明確にしましょう。

課題が特定できたら、具体的な目標を設定し、社内で共有することが改善活動を成功に導くポイントとなります。特に効果的な品質改善を実現したい場合は、CADDi Drawerの導入がおすすめです。過去の図面データを活用することで、これまでベテラン社員しか対応できなかった業務を標準化し、誰でも同じ品質レベルで作業を実施できる環境を構築できます。属人化からの脱却や品質管理の標準化を実現したい企業様は、ぜひ導入をご検討ください。

キャディ編集部

Authorキャディ編集部

製造業に特化した記事を執筆しています。技術の最新トレンドや業界の動向、生産効率の向上に関する実践的なTipsなど、みなさまが現場で活かせる情報を提供することを目指しています。また、製造現場の課題解決や改善に役立つツールやリソースの紹介も行っています。業界のエキスパートとのインタビューや成功事例の共有を通じて、製造業の未来を切り拓くサポートをしてまいります。