昭和29年設立の株式会社弥富製作所は、モーターやホイスト向けの部品を中心として、様々な金属部品加工を行っている。多品種少量での切削加工を主に行い、対応できる部品の種類の増加とともに年々業績を伸ばしてきた。難しい加工であっても、お客様からの依頼には積極的に対応し、信頼も厚い。設備の増強も進めており、今後も業績の伸びが見込まれる。
弥富製作所では、見積もり業務に課題を持っていた。日々多くの見積もり依頼の図面が、お客様からメールやFAXで生産管理の担当者に送られてくる。見積もり作成は代表取締役の角谷氏が全て行っていたため、担当者は送られてきた図面を角谷氏に全て作成を依頼、完了次第お客様へ返答する。回答期限や作成の進捗に関しては角谷氏ひとりが管理していたため、作成が遅れていても担当者には進捗が分からない。お客様への状況説明がないまま時間が経ってしまい、催促を受けることもあった。見積もり作成を角谷氏がひとりで行うのではなく、役割分担をし、進捗状況を可視化したいと考えていた。
見積もり業務における課題はもう1点ある。図面の保管と活用についてだ。以前は基本的に紙で図面を保管していた。数年前からは、角谷氏以外でも作業指示などができるように、図面をPDF化して保存し始めた。PDF化された図面は8000枚以上になり、徐々に活用されるようになってきた。しかし、PDFの図面は、受注されて実際に生産したものだけである。見積もりだけを行った図面に関してはPDF化されておらず、紙のままの図面が大量に保管されているだけであった。例えば、見積もりだけで生産されなかった図面の内容を一部変えて再見積もりをするような場合には、図面の変更点や過去の見積もり実績を確認して再見積もりを行うことになる。
そのような場合は、角谷氏が記憶を頼りに紙の図面の束から過去の図面を探していた。また、新規の見積もりで、過去の類似形状の図面を参考にして見積もりを作成しようとしても、記憶を頼りにPDFファイルを一枚一枚開いて類似図面を探すことになり、時間がかかり、非常に効率が悪かった。