交通信号機の開発、製造、販売を行う信号電材株式会社は、創業から半世紀以上にわたり安心安全な交通インフラの構築に貢献してきた。変化し続ける交通インフラニーズに応えるため、社員が一丸となって製品の製造、研究開発に日々取り組んでいる。
信号電材では、図面データの管理、活用に課題を持っていた。信号電材が受注する多くの製品は、同種の製品であっても、お客様や納入場所ごとにわずかに仕様が異なる場合が多い。そのため、受注案件ごとに仕様に合わせた設計が必要となる。過去に類似仕様の設計を行っている場合は、その案件で用いた図面が流用できるので、類似図面の検索作業が日々行われていた。しかし、類似図面の検索は「前に誰かがやっていた」「以前似たものをやった気がする」など、記憶頼りで行われており、経験が浅い社員は経験豊富な社員に確認することが非常に多くなっていた。
技術部門では、文書管理システムを用いて、受注の際に割り振られた案件番号を基に、ファイル名とタグ付けされたキーワードで図面を管理していた。そのため、ファイル名やタグ、案件番号で検索が可能であっても、図番で該当の図面を探し出すことが難しかった。また、類似候補となる図面ファイルが絞られたとしても、どのような図面であるかは各ファイルを一枚ずつ開いてみなければ分からないため、類似かどうかの確認にも時間がかかっていた。そうした状況から検索に時間がかかり、類似図面を探すことを諦めて新規で図面を作成することが多くあり、設計工数を増加させる一因となっていた。