見積もりの精度とスピードで顧客との信頼関係を築く。過去の製造、品質情報を参照し、経験の浅い若手も工程指示書を作成可能になり、品質不良を削減する。

株式会社小沢精密工業は、「音楽の街」として知られる静岡県浜松市に本社工場を構え、金属の切削、溶接、研磨などの幅広い加工を行っている。祖業である楽器部品製造の技術を応用し、医療機器や半導体向け部品にも事業を拡げ、高い精度が求められる製品を、多様な業界の顧客へ納めている。

代表取締役である小澤大祐氏（以下小澤氏）は、見積もりスピードと価格ブレを自社の課題として認識していた。見積もりスピードについては、勤務経験の長いベテラン社員は図面を見ただけで即座に見積もりをすることができる一方で、若手社員では同様のスピードが担保できないという課題を抱えていた。価格ブレについては、ベテラン若手関わらず、起こってしまう課題であった。そうした課題を解決するため、過去の図面及び価格を参照できる図面検索システムを使用していたが、検索をしても類似図面を探すことが難しく、すぐに使わなくなってしまった。

顧客に「なぜ小沢精密に発注するのか」をヒアリングしたところ、「見積もりスピードが速いから」という回答を受けたと小澤氏は語る。一方、現在の見積もりスピードはベテラン社員の知識と経験によって担保されており、ベテラン社員が見積もり業務から離れてしまうと顧客の信頼低下につながってしまう、とかねてから懸念していた。

そうした懸念を抱えている中でCADDi Drawerを知り、CADDi Drawerで過去の図面及び見積もり価格を参照できれば、見積もりの脱属人化を図ることができる、と小澤氏は考えた。

導入にあたっては、CADDiの手厚いサポートも導入の決め手となった。

小澤氏：
「他社の図面検索システムを活用できていない段階でCADDi Drawerを導入したため、現場を混乱させないか懸念していました。そうした懸念はあったものの、キャディの専任の担当者が頻繫に訪問してきて使用実績や活用方法を話し合い、問い合わせにもすぐに対応してくれています。現場としても活用しやすい体制が出来ていると感じています。」

小澤氏：

「CADDi Drawer導入時に思い描いていたことの一つに、工程指示書の精度向上があります。現在、工程指示書を作成しているのは経験の浅い若手社員であり、ベテラン社員と比較すると、製造の知識・経験に差があります。若手社員では詳細な情報が記載された工程指示書を作成することは難しく、作業順番やマシニング加工後のバリ取り工程の有無といった細かい判断は現場担当者に委ねられており、不完全な工程指示書が製品不良につながっていました。若手でも正確な工程指示書を作成できる体制をCADDi Drawerで作り、品質の向上につなげたいと考えています。」

過去の生産現場の知見を図面に集約し、工程指示書の作成においてCADDi Drawerを活用することにより、生産現場での判断にブレが生じず、製品不良の削減にもつながると考えている。

また、小澤氏はCADDi Drawer導入によって業務の効率化を進めることで、新規顧客開拓につながることに期待を寄せている。直近では長野のサッカーチーム「AC長野パルセイロ」のオフィシャルグッズの製造や、静岡大学への部品供給等、新たな顧客開拓を実現しており、CADDi Drawerの活用によってさらなる顧客の獲得につなげていく。