1984年創業の日邦プレシジョン株式会社は、半導体製造装置や液晶関連製品の設計から製造、設置までを行っており、一貫して対応できる点が強みだ。
近年は、半導体関連の引き合いが強く事業拡大を目指している。一方で、現状は開発工数・生産能力共に厳しい状況であり、新たな引き合いが来ても受けられずに、お断りすることもある。今後は、半導体業界の進展に伴う売上拡大を目指して、新工場の建設や人材採用の強化を進めている。
半導体製造装置の設計部門では、事業の拡大と安定化を目的に取引先の分散化を進めていた。
複数の企業向け製品を設計する中で、実際に設計した部品を見返してみると、共通部品にできるような部品でも、微妙に異なる類似部品が複数存在していた。これらの部品を共通化できれば、新規部品の設計工数が削減できる。また、図面管理や部品の取り違えリスクなどの設計以外の業務においても、共通部品を採用するメリットは大きい。
類似部品が発生する大きな要因の一つが、図面の検索性だった。
現状は各自がそれぞれの担当部品に注力しており、担当外の状況把握に時間をかけられない。本来であれば、類似部品の図面を確認すべきだが、CADでの図面検索は時間がかかる。検索前に目的とする図面の部品番号を調べる必要がある。また、もし検索したファイルが意図したものでなかった場合には、再度部品番号から調査が必要になる。
複数名の担当が同様の機能を持つ部品の設計を行っていても、各自が担当していない類似品に気づくのは難しい。図面検索には時間がかかり、周囲に聞いてもすべてを把握できるわけではない。結局探すことを諦めて、新規設計という選択になってしまう。新規部品の設計前に類似品に気づくためには、手軽に過去の図面を検索できる環境が必要だった。