社名
日邦プレシジョン株式会社
設立
1984年
所在地
〒407-0175 山梨県韮崎市穂坂町宮久保734
従業員数
178名
売上高
非公開
業界
半導体製造装置
事業内容
半導体及び液晶パネル製造装置、検査装置の設計・製造、同上周辺機器の設計・製作及び関連部品の製造、赤外線分光装置製作、赤外顕微鏡製作<br /> 電子応用精密機器、計測装置及びメカトロ製品の設計・製作、テラヘルツ分光装置製作<br /> 各種検査システム及びソフトウェアの開発・設計など
日邦プレシジョン株式会社

事例 CADDi Drawer

現場の声から生まれた進化。設計から製造をつなぐシステムで変わる業務の未来。

設計部、部長代理

保坂 忠良

導入前・導入後

設計部門において図面や過去の情報を効率的に検索・参照することが難しかった。また事業拡大に向けた人員増加に伴い、業務の標準化や効率化の必要性が高まっていた。さらに、部門間での情報共有やデータ連携にも課題があった。

過去の図面や情報を直感的に検索できるようになった。また、図面にあらゆる情報を紐づけることで部門間のデータ共有もスムーズに行える環境が構築できた。

インタビュー

図面検索の高いハードルにより生まれる類似部品

 1984年創業の日邦プレシジョン株式会社は、半導体製造装置や液晶関連製品の設計から製造、設置までを行っており、一貫して対応できる点が強みだ。

近年は、半導体関連の引き合いが強く事業拡大を目指している。一方で、現状は開発工数・生産能力共に厳しい状況であり、新たな引き合いが来ても受けられずに、お断りすることもある。今後は、半導体業界の進展に伴う売上拡大を目指して、新工場の建設や人材採用の強化を進めている。

 

半導体製造装置の設計部門では、事業の拡大と安定化を目的に取引先の分散化を進めていた。

 

複数の企業向け製品を設計する中で、実際に設計した部品を見返してみると、共通部品にできるような部品でも、微妙に異なる類似部品が複数存在していた。これらの部品を共通化できれば、新規部品の設計工数が削減できる。また、図面管理や部品の取り違えリスクなどの設計以外の業務においても、共通部品を採用するメリットは大きい。

 

 類似部品が発生する大きな要因の一つが、図面の検索性だった。

 

現状は各自がそれぞれの担当部品に注力しており、担当外の状況把握に時間をかけられない。本来であれば、類似部品の図面を確認すべきだが、CADでの図面検索は時間がかかる。検索前に目的とする図面の部品番号を調べる必要がある。また、もし検索したファイルが意図したものでなかった場合には、再度部品番号から調査が必要になる。

 

複数名の担当が同様の機能を持つ部品の設計を行っていても、各自が担当していない類似品に気づくのは難しい。図面検索には時間がかかり、周囲に聞いてもすべてを把握できるわけではない。結局探すことを諦めて、新規設計という選択になってしまう。新規部品の設計前に類似品に気づくためには、手軽に過去の図面を検索できる環境が必要だった。

図面検索の高いハードルにより生まれる類似部品

部門を跨いだアナログなデータ授受

 調達や製造など、設計以外の部署との情報共有やデータ連携においても課題があった。

 

設計以外で図面の確認に必要なCADのアカウントを持っているのは、調達・製造などに所属する一部のリーダーのみ。他のメンバーは、各組織のリーダーや設計担当に連絡を取って、紙の図面出力を依頼する必要があった。

 

設計部の保坂氏は、部門間のデータ授受についてこのように話す。

 

「日邦プレシジョンの強みである設計から製造までの一貫対応をさらに強化するためには、設計・調達・製造のデータ連携を進める必要があります。これまでは、製造部門において図面が必要な場合、該当部品の設計担当者が不在であれば図面の入手が翌日になってしまうこともありました。」

 

「部門間でデータを連携し、製造部門が自分たちで確認できれば30分で確認が済みます。ですがデータ連携のために、自社単独でデータベースや工程管理システムの構築は難しい。外部のシステムやソフトウェアをうまく活用する必要があり、PDM(Product Data Management)の導入を考えています。ただ、PDMにも特定の用途に特化したもの、汎用的なものとさまざまな種類があるため、自社に合うシステムの選定が課題です。」

 

部門を跨いだアナログなデータ授受

設計から製造をCADDi Drawerが繋ぐ

 CADDi Drawer導入のきっかけは、会長へ届いた手紙だった。導入に向けた打ち合わせには、設計だけでなく調達や営業などさまざまな部署が参加し、活用方法や導入イメージを議論した。その結果、十分にメリットが期待できるということ。また、導入して終わりではない充実したサポート体制により、導入が決定した。

 

CADDi Drawerの導入で、図面検索にかかる時間は大幅に低減された。CADでの検索のように事前に部品番号を調べていなくても、思いつくキーワードで検索すれば目的の図面にたどりつける。また、CADファイルを開く際にはデータの読み込みに時間がかかっていたが、CADDi Drawerでは数秒で候補の図面がサムネイル表示される。事前準備なく、速やかに目的の図面を検索できることで、ハードルも低下し活用が進んでいる。

 

 過去の情報を蓄積し、それを活用できる環境が整ったことで、設計業務標準化の下地ができた。さらに、新人教育へも活用している。まずは新人に図面を作成してもらい、過去に作成された類似図面をCADDi Drawerで検索する。自分の図面と過去の図面を比較することで、自学し、業務の習得を加速する取り組みを進めている。設計業務において、新規部品設計におけるプロセスと新人教育の標準化を実現できた。

 

また、部門間でのデータ連携でも大きな効果を出している。調達や製造からもスムーズに図面にアクセスできるようになったことで、設計担当への図面出力依頼が不要になった。図面を確認する機会が増え、業務効率化と業務品質向上に繋がっている。

設計から製造をCADDi Drawerが繋ぐ

新システムの活用で変える業務の未来

 今後のCADDi Drawerの活用について、保坂氏はこのように話す。

 

「既に大きな効果を実感していますが、まだまだCADDi Drawerの機能を使いきれていません。例えば、お客様や社内から図面を要望された際に、今まではCADデータをPDFにしたり、それをさらに印刷したりして渡していました。いずれ先方へのデータ共有をCADDi Drawerに置き換えることがでれきば、ペーパーレス化により業務コストの低減が期待できます。」

 

また、タグ機能の活用により製造から設計へのフィードバックを行うと共に、CADDi Drawer上の図面にも修正した記録を残せる。さまざまな記録を残しておくことで、課題の要因分析や対策案の検討がスムーズに進められる。設計まで情報が共有されていなかった製造時のトラブルに関する情報も、図面にタグ付けを行うことで把握できるようになる。これらの情報を用いれば、より品質の高い設計が可能になる。

 

さらに、調達部門での活用も検討している。図面に価格情報を紐づけておけば、類似図面の検索をすることで見積価格の妥当性を効率的に確認できる。経験が浅いメンバーでも、過去の実績を元に価格の当たり付けをすることで、精度の高い見積りが可能だ。設計担当にとっては、図面に価格情報を紐づける過程でコスト意識を身に着けられる。

 

保坂氏は今後に向けて、このように締めくくった。

 

「部門を跨いでの利用が進められているので、今後は情報を入力する際のルール化などが必要です。今の使い方だけでは十分に活かしきれていないので、さらに付加価値を付ける使い方を検討していきたいですね。さまざまな人が利用することで、新しい活用方法のアイディアがどんどん出てきます。業務効率化だけでなく、情報管理や品質向上など、視点を変えて業務プロセスを構築していきたい。」

新システムの活用で変える業務の未来
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