電力機器や設備などの製造・販売、工事を行う日新電機株式会社は、「電力・環境システム事業」「ビーム・プラズマ事業」「装置部品ソリューション事業」の3つのセグメントで事業を展開し、社会インフラと産業の基盤づくりに貢献してきた。創立から100年を越えた現在も成長を続け、売上を伸ばしている。
日新電機では、図面データの活用に課題を持っていた。特に開閉機器部門の設計業務では、過去の実績を元に検討を重ねた上で設計を行うことが多くある。また、その実績に関連する技術資料も同時に活用していた。これにより、設計にかかる工数を削減し、そのまま利用できる過去の図面があれば、流用することで新規の図面作成の工数も削減することができる。設計業務の効率化のためには、過去の実績の活用は欠かせない作業であった。
しかし、日新電機の持つ既存の図面検索システムでは、図番でしか図面を探すことが出来なかった。そのため、類似案件や、活用できる可能性のある案件の図面を探そうとしても、図番そのものを知らなければ探すことができない。過去の実績を多く知るベテランの設計者でなければ図面を探し出すことが困難であり、活用は限定的で属人化が進んでいた。
日新電機前橋製作所のDX推進リーダーであった設計部部長の青柳氏は、業務の問題点についてこのように話す。
「設計者が手配屋になっていた。図面を探すなど、設計以外のことに時間を取られて、エンジニアとして考える時間が減ってしまった。とにかく期限までに手配しなければとなると、もう右から左へということが多い。調達も調達で、昔は目利きの人がいて、調達から設計者が意見をもらうこともあったが今はあまりない。調達も手配屋になっていた。」