東京都墨田区に本社を置く株式会社ケーテー製作所は、充填機の開発・生産・販売等を行う老舗メーカーだ。国内の多くの製薬会社や化粧品会社、食品会社が同社のメイン工場である埼玉工場を訪れる。充填機メーカーのリーディングカンパニーとしての実績と地位を確立した同社は、最近では再生医療における自動化システムの開発を行うなど新たな領域への挑戦を行っている。
同社の特色の一つは、扱う装置の多くが顧客の要望に1台ごと応える受注生産であること。オーダーメイドならではの使いやすい設備は同社の強みであるが、それゆえに生産体制には長年、課題を抱えているという。「当社ではお客様に寄り添い、機械を具現化することを大事にしています。しかし、製品やシステムが複雑化しお客様のニーズも高度化する中で、生産効率を上げることと品質を高めることの両立が必要になりますが、その術が無いことが課題になっていました」そう語るのは副社長の上月謙太郎氏である。
まさに一品一様な製品を扱う同社では、基本的に顧客の要望に応じて一から設計を行う。顧客の要望の多様化や技術的な進化が進む中で、過去の図面を探して流用を行うよりも、設計者にとっては、都度、一から図面を書いたほうが効率的に感じられた。
その結果、過去の図面を参照するという文化がなくなり、現在に至るまで過去の図面の参照や流用自体も十分に行われていなかった。「当社の場合は新図という概念すらなく、全て新規に図面を発行していました。技術の積み上げがなされていない危機感もありました」と上月氏はいう。もちろん、一から図面をおこすため設計に工数がかかる。「新しく引き合いをいただいても、我々の設計や組立の人員リソース不足が原因で納期の先延ばしをお願いしなければならないケースがありました。他社の機械を選定されてしまったこともあります」。
リソース確保に向けた打開策として、同社が特定した課題が、過去の図面を適切に探し活用できる環境をつくること。最適なツールとして、図面データ活用クラウドCADDi Drawerを選定し、過去の図面データの活用に向けたプロジェクトが始まった。