株式会社藤工業所では、「機能美~美しさは究極の機能に宿る~」を合言葉に、ステンレスやアルミ等の板金、溶接、製缶加工を30年以上にわたり行っている。対応している業界は、食品関係を中心に、自動車、半導体、医療・環境、工作機械と幅広い。300万点以上にも及ぶ製造実績により培われた高い技術力に加え、超短納期の発注にも対応できる製造体制により、お客様から高い信用を得てきた。受注数は年々増え続け、2015年に法人化した後は従業員数も大幅に増加し、事業を拡大している。
事業の拡大に合わせ、藤工業所ではスマートファクトリー化を中期計画に掲げ、製造業DXにも取り組んできた。人の手でしかできない職人的な作業に集中できるように、新たな設備の導入や、データのデジタル化、ITツールの導入も積極的に行っている。
図面に関しては、創業時から保存してあった全ての紙図面を、スキャンしてpdfファイル化し、クラウドに保存する作業を進めていた。図面には、加工上の注意点などの様々な情報が手書きで書き込まれている。図面に記入された部品番号から見積価格を調べることも出来た。
藤工業所では、リピート製品よりも、同じお客様からの新規の発注が多い。見積の際に類似形状の図面から価格を参考にできれば、見積価格のブレを最小限に抑えられる。加工の際には、注意点を参考にミスを減らすこともできる。図面をデジタルデータにすることで資産化できれば、業務の効率化が大きく期待できた。
しかし、図面をデータ化しても、資産化には課題があった。図面を探そうと思っても、ファイル名や限られたキーワードでしか検索が出来ず、目的の図面を探し出すことが難しかった。類似形状の図面を探す場合は、過去の記憶に頼るしかなく、探し出せる人が限られる。スキャンしたデータは使用せず、昔と変わらず紙図面をめくって図面を探していた。時間がかかるので探すことを行わず、全て新規で図面を作成して、見積を作成することも多い。そのため、お客様から、前と似たような形状なのに、価格に差があると指摘を受ける例も出ていた。