池田精工株式会社は、半世紀以上にわたりステンレス製品を中心とした精密部品加工を行ってきた。ステンレス加工のスペシャリスト集団だ。社員の半数以上が技能士の資格を持ち、先進の設備を用いて一貫生産を行っている。お客様からの信頼も厚く、「ステンレスの加工に困ったら池田精工」と言われ、お客様の高いニーズに答える品質で信頼を得てきた。
多くのお客様から様々な製品を受注しており、多品種少量の製品が多い。見積もり依頼の件数も膨大で、その数は月に700品目にも及ぶことがある。見積もりの際には、形状が類似している製品との価格差が大きくならないように、過去の図面を探し出して受注実績を確認していた。その情報を元に1次見積もりを作り、最終的な見積もりを代表取締役の池田氏が作成することになる。
受注価格や、関係している図面の図番、製造指示書、加工プログラムなどのデータは、管理番号をつけてシステムで一元管理していた。図番や管理番号さえ分かれば全ての情報を見ることができたが、形状が類似している図面を探すことはできない。類似の図面を探すのは、経験者の記憶を頼りに行うことになる。
図面は紙とPDFファイルで保存されていたが、紙だけで1万ほどの枚数があり、全体では10万枚を超えるほどの膨大な量であった。図面を探す際には、紙の図面であれば、お客様ごとに分けられたファイルから、記憶を頼りに時期などで絞って一枚一枚めくりながら探し出す。PDFファイルの場合は、時期やファイル名で検索して、該当すると思われるファイルを全て開いて探していた。
しかし、似た名前のファイルが多く存在しており、経験者でも探し出すのは困難だった。見積もり業務の負担を減らすためにも、過去の類似図面を誰でも簡単に探し出せる仕組みが必要だった。