1948年創業の堀口エンジニアリング株式会社は、製造・修理・プラントを三本柱として事業を行っている。製品分野としては、建設機械や産業機械向けの部品、GSEとよばれる航空機地上支援器材や航空宇宙関連製品の設計、製作、修理を行っている。
また、プラント業界で用いられる設備の保守点検や修理なども主要な事業の一つである。
設計、製造、組み立てまでを一貫して行っていること。また、さまざまな業界のお客様と一緒に仕事をしているため、各業界で培った技術やノウハウを他の業界に活かせることが強みだ。
近年は、防衛費の増額やインバウンド関連の需要増加によって、防衛省や民間航空会社からの発注が拡大し、業務負荷が高い状況が続いている。業務負荷の解消や将来の事業拡大を見据え、計画的な人材採用を行っている。一方で、採用した人材をスムーズに戦力化するためには、効率的な人材育成や技術伝承が必要だ。
成田工場の副工場長であり、技術管理部部長、技術グループのグループ長を兼務する小林氏は、技術伝承の課題についてこのように話す。
「採用が難しい中、数字では表せない仕事をどう伝えていくかを考える必要があります。例えば、切削加工の条件は数値で表現できますが、溶接や板金などの作業は一品一様なので、毎回同じやり方ではうまくいきません。こういったノウハウをどう伝えていくかが難しい。当然、従来のように先輩後輩の関係を組んでOJT教育を行う必要はありますが、動画やIT、AIの技術を適材適所で使うことで、技術のバトンを効率よく次の世代へ渡していきたいと考えている。」
また、技術管理部 管理グループのグループ長である豆川氏は、蓄積された図面の活用に関して課題を感じている。
「80年近い歴史がある中で、多くの図面を描いてきました。しかし、その図面は現状、活用できていません。図面の重複を避けるために過去図面を確認する必要がありますが、過去図面の確認はベテラン社員の記憶に頼らざるを得ず、属人化しています。また、紙の図面を扱うことによって、非効率になっている業務の解消も必要でした。図面は、製造業にとって一番の資産となり得るので、資産としての活用手段を考える必要がありました。」