社名
橋本エンジニアリング株式会社
設立
1968年
所在地
浜松市浜名区平口5559
従業員数
68
売上高
8億8500万円
業界
金属加工業
事業内容
ダイカスト金型・治工具設計製作・試作部品を主とする部品加工ルミ鋳造品の品質評価事業・超軽量車いす企画設計製造販売 等
橋本エンジニアリング株式会社

事例 CADDi Drawer

「橋本エンジニアリング流」で実現する基盤事業と新規事業の両立と拡大

営業部 部長

鈴木 敬治

業営部

竹内 紀和子

導入前・導入後

景気変動の影響を大きく受けてしまう体制を課題として捉えていた。また、ベテランに依存した見積業務など各部署で属人化が進んでおり、橋本エンジニアリングとしてのやり方が定まっていなかった。

DX推進及びCADDi Drawer導入の過程で各部の属人化課題を明らかにし、橋本エンジニアリング流を作り上げていくための基盤を構築へ。

インタビュー

軽量強度部材を強みに、100%下請けから脱却しメーカーへ

1968年創業の橋本エンジニアリング株式会社は、静岡県浜松市を拠点とした金属加工会社だ。当初は橋本部品製作所という名称であったが、2006年に社員公募によって「橋本エンジニアリング」に社名を変更した。

社名の「エンジニアリング」には、「加工担当も営業も事務員も含めて、技術者の集団である」という想いが込められている。

創業時はプレスの大量生産を担ういわゆる町工場であり、徐々に輸送用機器の試作部品製造やアルミ鋳造品の品質評価を請け負うようになってきた。当初は輸送用機器の下請け業務が売上の100%を占めていたが、近年はパラアスリートにも使われる自社オリジナル製品である超軽量車いすを開発販売するなどメーカーとしても活躍している。

 

下請け企業からメーカーへの転機は、2008年に世界恐慌を引き起こしたリーマンショックによる売り上げの低減だった。リーマンショック当時の状況について営業部の部長である鈴木氏は、このように話す。

「リーマンショック当時は輸送機器下請け100%だったため、影響を大きく受けました。社長は今後会社の成長のためいくつかの方針を掲げ、その中の一つが自社製品を開発してメーカーになることでした。15年ほど経った現在は、輸送機器下請けだけでなく、メーカーとして車椅子や軽量化製品を扱っています。軽量強度部材であるマグネシウムやチタンなどは、加工が難しい材料として知られています。この軽量強度部材を用いて、車椅子やそば包丁など、軽量で使いやすい製品を開発できることが、当社の強みです。」

軽量強度部材を強みに、100%下請けから脱却しメーカーへ

景気変動に強い体制構築・属人化解消のためにDXに取り組む

2021年頃に社長を中心に、社内の各部署でDXに関する取り組みを始めた。

 

リーマンショック以降、立て直しのために様々な自社製品の開発をしてきたが、2020年以降のコロナショックによって再度売上が低迷してしまった。

 

そこでデジタル技術を活用することで、常に新規開拓ができる体制の構築を検討していた。新規開拓は、必要になったタイミングで慌てて取り組んでも成果には繋がらない。成果に繋げるためには日常的に取り組む必要があるが、既存顧客との業務で営業担当は常に忙しく、簡単には新規開拓に取り組めない状況だった。そこで、マーケティングオートメーションやSFAを導入した。

 

また、属人化という点について、営業では見積業務に課題を抱えていた。

 

橋本エンジニアリングでは「予想加工時間」を根拠に見積もりを行うが、営業担当に見積までできる人はいない。そこで、月に300枚ほどに達する膨大な見積図面の約9割を加工に詳しい製造課長が担当せざるを得ない状況だった。

 

少し期間が空いたリピート品の依頼などでは、タイミングによって予想加工時間の想定が変わるため見積価格が変わることがあり、顧客から金額のズレに対して指摘をされることもあった。

 

そこで、業務の属人化を解消することを目的に、当初は図面から自動で見積価格を算出するようなツールの導入し、ツールからの出力を営業担当が微修正する仕組みの導入を検討していた。しかし、AIでの自動見積もりと橋本エンジニアリングで見積もりの考え方との間で整合性が取れるのか?という点が懸念点となっていた。

 

CADDi Drawerを「橋本エンジニアリング流」の基盤に

CADDi Drawerとの出会いは、とある展示会だった。

 

橋本エンジニアリングで制作される製品の多くが類似品である。CADDi Drawerを活用して蓄積した履歴情報を元に見積もりを出せば、製造課長の見積工数を大幅に減らせるのではないかと考え検討を進めた。

しかし、CADDi Drawerの導入によって削減できる見積工数分だけでは社長に決済してもらうのは難しい状況だった。

 

一度は諦めかけた状況から、再度CADDi Drawerの導入を進めるに至った経緯について鈴木氏はこのように話す。

「きっかけは、モノづくり未来会議での講演で見た加藤社長の講演でした。従来は、そのときどきの上司・指導者のやり方で進めることが多く、橋本エンジニアリングとしての加工方法や技術が確立されてはいませんでした。しかし、それでは教わる若手は人によって指導が異なると困ってしまいますし、技術を蓄積して後世に残すことはできません。会社として技術を資産化し、それを活かすためには、各業務において『橋本エンジニアリング流』を作り上げる必要があります。CADDi Drawerはそのための基盤になるのではないかと想い、導入に向けて再度動き始めました。」

 

その後、社長や製造担当と共に、すでにCADDi Drawerを導入している企業2社へ訪問し、導入によるメリットや可能性について認識してもらえた。しかし、社長からは簡単に導入の許可は下りない。社長からは、「営業側が熱い想いなのはわかった。でも、大事なのは実際に使う製造側はどういう想いなのか?」ということを問われた。製造担当とのコミュニケーションについて、鈴木氏はつぎのように話す。

 

「製造担当は当初、メリットがあることはわかりつつも、活用できなかった場合のリスクを心配していました。最終的には、上位の立場の者が責任を持つということで、前向きに取り組む言葉がもらえました。」

 

最終的な社長決裁に向けては、営業部の竹内氏が主体となって準備・報告を行った。

 

「営業であれば見積もり、製造であればデータの個人持ち、品質管理であれば検査図面の管理など。CADDi Drawerへ投資をすることで、各部署で課題となっている属人化の解消に効果が得られることを説明しました。また、現状はかなりの時間をかけている教育に関しても、CADDi Drawerをデータ基盤として『橋本エンジニアリング流』を構築することで、教育工数を削減しつつ付加価値を付けられる。ということを報告しました。」

CADDi Drawerを「橋本エンジニアリング流」の基盤に

新しいものを生み出し、基盤事業と共に新規事業の拡大を目指す

まだCADDi Drawerは導入したばかり。積極的に活用することで、この先1,2年で橋本エンジニアリング流を作り上げていく。まずは、CADDiDrawerを見に行く、それを学んでできるようになってから、自分なりのやり方を付加価値として付けていく。これを繰り返すことで、作り上げた橋本エンジニアリング流をさらに高めていくことが可能だ。

 

中長期的には、売上における新規事業の比率を1割程度まで拡大することを目指している。基盤事業を縮小する必要はなく、基盤事業も新規事業も両方を拡大することを目標に取り組んでいる。

 

鈴木氏は今後に向けて、このように期待を込める。

 

「パリオリンピックでは、当社が開発した車椅子を使用した選手が活躍してくれました。車椅子の展示会などでは、注目度が高まっているように感じています。社長は、まだまだ温めているアイディアがあるようです。基盤事業はきちんと行ってお世話になってきた顧客に貢献しつつ、開発企業として常に新しいものを開発し、世に出していきたいですね。」

新しいものを生み出し、基盤事業と共に新規事業の拡大を目指す
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