1968年創業の橋本エンジニアリング株式会社は、静岡県浜松市を拠点とした金属加工会社だ。当初は橋本部品製作所という名称であったが、2006年に社員公募によって「橋本エンジニアリング」に社名を変更した。
社名の「エンジニアリング」には、「加工担当も営業も事務員も含めて、技術者の集団である」という想いが込められている。
創業時はプレスの大量生産を担ういわゆる町工場であり、徐々に輸送用機器の試作部品製造やアルミ鋳造品の品質評価を請け負うようになってきた。当初は輸送用機器の下請け業務が売上の100%を占めていたが、近年はパラアスリートにも使われる自社オリジナル製品である超軽量車いすを開発販売するなどメーカーとしても活躍している。
下請け企業からメーカーへの転機は、2008年に世界恐慌を引き起こしたリーマンショックによる売り上げの低減だった。リーマンショック当時の状況について営業部の部長である鈴木氏は、このように話す。
「リーマンショック当時は輸送機器下請け100%だったため、影響を大きく受けました。社長は今後会社の成長のためいくつかの方針を掲げ、その中の一つが自社製品を開発してメーカーになることでした。15年ほど経った現在は、輸送機器下請けだけでなく、メーカーとして車椅子や軽量化製品を扱っています。軽量強度部材であるマグネシウムやチタンなどは、加工が難しい材料として知られています。この軽量強度部材を用いて、車椅子やそば包丁など、軽量で使いやすい製品を開発できることが、当社の強みです。」