社名
株式会社高口精密工業
設立
1973年(1997年に現社名へ変更)
所在地
〒832-0802 福岡県柳川市三橋町吉開681番地
従業員数
32名(2024年8月時点)
業界
金属加工業
事業内容
精密部品加工(SUS・AL・銅・樹脂)、精密治具工具製作(半導体液晶ロボット)、医療技術部品加工
株式会社高口精密工業

事例 CADDi Drawer

見積もりも、採用も、現場からの相談も、私が担当。属人化の解消で目指す体制構築と新規受注の拡大

代表取締役常務

髙口 敬臣(たかおみ)

導入前・導入後

見積もりを含め多くの業務が常務ひとりに属人化しており、業務負荷が高い状況だった。

過去の知見に誰でもアクセスできるようになったことで、属人化していた業務を移管できる体制に。見積スピードの改善を行い、半導体需要の高まりに向けて受注拡大を狙う。

インタビュー

見積もり業務だけで、1日が終わる日も。

1973年に創業した高口精密工業では、主に精密機器の部品加工を行っている。例えば、半導体製造装置の構成部品や産業用ロボット、自動車部品などが代表的だ。近年は、医療関係の血液分析装置を構成する部品製造も請け負っている。今後、半導体を中心に需要が増えていくことが想定されている中で、業務効率化や属人化の解消を目指している。

 

代表取締役常務である髙口氏は、日々膨大な業務に忙殺されていた。特に、見積業務は大きな負担となっていた。見積もりに時間がかかる理由は、主に2つある。

 

1つ目は、見積もりの参考となる過去の図面を探すのに時間がかかることだ。高口精密工業では、毎月1,000枚以上の図面を扱っており、PDF化して保管している。単価情報を書き込んだ1枚の図面を探すために、10万枚もの図面の中からPDFを1つ1つ開いて確認する必要があった。特に、同じ部品であっても、異なる納品日であれば別の図面として保管していたため、同じ部品の図面が数十枚にも及んでいた。探しやすいようにフォルダ構成やファイル名の工夫をしていたが、膨大な数の中から目的の図面を探すのは困難だ。

 

2つ目は、時期によって異なる材料費の反映である。同じ図面・同じ加工であっても材料費の変動によって見積もり額も変動する。過去図面の見積額に対して材料費変動分を反映させる必要があるため、当時の材料費はいくらだったかを材料メーカーに確認していた。

 

さらに、見積もりの精度についても課題を感じていた。見積額算出の前提条件となる加工設備や加工方法が実態に合っていない案件があったのだ。実態に合わせた見積もりを行うと赤字になっている案件もあったため、見直しが必要な状況だった。

 

髙口氏は、見積もりに追われる状況についてこのように話す。

 

「見積もりの他に、製造現場からの相談やお客様対応、採用関連の業務も私の担当業務です。見積もりは社長が一部を担当していますが、それ以外はすべて私が担当しているので、朝8時から始めて17時までずっと見積もりをするような日もありました。業務の分散を進めて、各現場を担当する主任とのコミュニケーションや自分しかできない業務に時間を充てたいと考えていました。」

見積もり業務だけで、1日が終わる日も。

見積速度・精度の向上による収益率の改善へ

見積もりに関する課題を解決するためのシステムを探している中で、CADDi Drawerに出会った。他のシステムとも比較した結果、抱えている課題の解消が期待できることから、社長に直訴し導入が決まった。

 

導入して約半年で10万枚の図面を登録し、すでに大きな効果が出ている。髙口氏が魅力に感じているのは、類似図面検索の速さに加えて、AIによる高精度のキーワード検索だ。図面に書き込まれた手書きのメモでも高い精度で読み取るため、必要なメモをした図面をピンポイントで検索できる。

 

 また、キーワード検索の高い精度を活かして、材料費変動分の計算もスムーズになった。材料費などの情報を書き溜めていた過去図面に瞬時にアクセスができるようになったことで、以前のように過去の材料費を材料屋さんに確認する必要がなくなった。その結果、お客様に見積もりを回答する速度が向上している。

 

CADDi Drawer導入の効果について、髙口氏はこのように話す。

 

「図面検索が速くなり材料費の問い合わせも不要になったことで、これまで1日に10件返せればいい方だった見積もりが、多い日で20件程度返せるようになりました。例えば、一番見積もりに時間がかかるめっき処理部品は、これまで3〜4時間かかっていたものが1時間を切るくらいになっています。また、見積もりの精度向上によって収益も改善できています。これまで赤字だった案件の見積額を見直す際に、CADDi Drawerに残した情報から根拠を示せるようになったことで、顧客にも価格交渉を受け入れてもらいやすくなりました。」

 

属人化された業務の移管で時間を生み出す

これまで、大部分を髙口氏が担当していた見積業務の委譲準備も進んでいる。

 

髙口氏は業務の移管に向けてこのように話す。

 

「見積業務は、根拠となる細かい情報を過去の図面と共に残しているので、他の人に任せることができそうです。また、材料に関する情報も記録しているので、材料の注文も任せていきたいですね。任せられる仕事はどんどん任せて、お客様との相談や現場の困りごと解消したり、失注した案件の要因分析など、自分が対応すべき仕事に時間を使いたいと思います。」

 

業務移管の道筋は見えてきた。見積もりや材料注文の業務を移管できれば、現在の業務時間の30%程度を他の業務に充てることが可能に。業務の属人化を解消し、新たな一手を打てる体制が整いつつある。

属人化された業務の移管で時間を生み出す

体制整備、人材育成、そして新規受注の拡大へ

これまで、福岡県など自治体からの紹介で仕事に繋がることもあった。引き合いが増えていく一方で、特定の設備を扱える人材が限られていることから、業務が重複した場合には紹介された仕事を断らざるを得ない状況だった。一人のベテラン社員が複数台の設備を受け持っているため、設備は空いているのに受注できないという状況は改善していきたい。社内で受注できる体制が構築できれば、新規受注を拡大していくことが可能だ。

 

髙口氏は、社内体制の整備に向けてこのように話す。

 

「時間ができたことで、新たな人材の採用に力を入れることができます。今は32人ですが、できるだけ早く40人、45人くらいまでは増やしたいですね。新しい人材には経験を積んでもらう必要があるので、目指す体制の構築は焦らずに長い目で考えていきたいと思います。」

 

また、高口精密工業ではこれまで、自社でできない工程が含まれている場合には、仕事を受注していなかった。新規受注を拡大するために取り組むべきことについて、髙口氏はこのように締めくくる。

 

「人材採用による社内体制整備と並行して、協力関係を構築できる他社との繋がりづくりにも時間を充てていきたいと思います。自社でできない部分を協力会社さんに依頼できれば、これまでお断りしていた案件も受注できます。また、同じ業界向けの製品でも、部品が違えば加工時に必要なスキルが異なります。新しい仕事にチャレンジすることで加工担当者にも新たなスキルを身に着けてもらい、会社としても仕事の幅をどんどん広げていきたいですね。」

体制整備、人材育成、そして新規受注の拡大へ
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