社名
株式会社NVHコーポレーション
設立
2003年
所在地
京都市右京区梅津高畝町47番地
従業員数
147
売上高
非公開
業界
電子線照射装置
事業内容
事業内容: 電子線照射装置の製造・販売・照射受託加工、高機能パルス電源装置や高電圧試験機器の製造・販売<br />
株式会社NVHコーポレーション

事例 CADDi Drawer

技術力継承をテーマに掲げるこの2年。図面ベースで“経験・技術”を受け継ぎ、若手から中堅層へ。

取締役執行役員

馬場 隆

技術部システムグループ 主任

永井 雅浩

技術部システムグループ 主任

山下 将卓

加速器技術部

川名 陽成

導入前・導入後

中堅層が不在のため、ベテランから若手への技術力継承が急務。また、若手は図面の検索や管理方法に課題を感じていた。

図面ベースで経験や技術を伝承できる仕組み構築の第一歩を踏み出した。また、中堅層に突入する若手が中心となり、事業の柱を担うための取り組みを進めている。

インタビュー

中堅層が不在で技術力の継承が難しい

2003年設立のNHVコーポレーション株式会社は、電子線照射装置の製造・販売を行っている。電子線とは、照射することによって物質の特性を向上させたり、新たな機能を与えたりすることができる技術だ。近年は、自動車業界での活用拡大に加えて、医療機器への殺菌・滅菌処理、半導体の特性改善など幅広い業界・用途で活用されている。

 

この分野のリーディングカンパニーとして、幅広いタイプの電子線照射装置をラインナップしているのが、NHVコーポレーション。電子線照射装置だけでなく、搬送ラインなどの周辺設備も含めたエンジニアリングを行うことで、国内外のさまざまなニーズに対応してきている。

 

上層部では、30代半ばから40代の設計者がいないことに対し、早期に手を打つ必要があると感じていた。ベテランから若手への技術力継承。これからを担う10年目の設計者、永井氏と山下氏への期待は高かった。一方で当の本人たちは、年の近い先輩がいない中で、どんどんと後輩が増え、技術や知見を伝える仕組み作りに不安を感じる部分もあった。

 

そんな中、中期経営計画※1において、2024-2025年を「技術力継承の2年間」と位置付け、これからの会社を担っていく設計者を中心に、技術力強化を進めていている。合わせて、今後若手が成長しやすくなるための仕組み作りにも着手した。

 

これまでも、技術力継承の取り組みは色々と挑戦していた。馬場氏はこう話す。「2019年頃には、ベテラン技術者がEPS※2カレッジを週1回ほどのペースで開講し、現在も形を変えながら続いています。また、新たな開発製品を一つ作り上げる設計力強化活動や、ベテラン技術者と若手技術者でペアを組み、仕事を通してOJT教育を行う、ということも取り組んできました。少しずつ成果が出る中で、足りていない部分もまた見えてきていました。そこで、2024年から『技術力継承の2年間』とし、全社的な取り組みとして、技術力継承をより強化しています。」

※1:5年ごとに中期経営計画を立てており、2025年が一つの節目となっている。
※2:EPSとはElectron beam Processing System(電子線照射装置)を意味する。

中堅層が不在で技術力の継承が難しい

デジタル技術活用の遅れに対する危機感

さまざまな製造業の企業がDX化に取り組んでおり、その事例はメディアやWEBで目にしたり、取引先との会話の中で耳にしたりすることが多くなっていた。一方で、馬場氏は自社におけるデジタル技術活用・システム導入の遅れに、危機感を感じていた。

 

そこで、グループの本社である日新電機株式会社へ、どのような取り組みを行っているかのヒアリングを実施すると、思いもしない発見があった。それは、若手設計者からの「図面を探すのに時間がかかっている」という言葉だった。

 

NHVコーポレーションの社内でも、図面管理に関する課題はあった。例えば、新たな図面を作成する際に過去のものを参考にしようとしても、類似図面の検索に時間がかかってしまう。結局、探すことを諦めて、一から新図を作成することが多くなっていた。また、実際にファイルを開くまで、それが目的の図面かどうかを判断できず、検索自体を手間に感じてしまう。さらに、海外拠点で作成された図面に至っては、参考にした国内図面との紐づけが行われていないため、関係性を確認できない状況だった。

 

「自分を含め、ベテラン設計者の場合には、図面の検索や管理に関する課題を感じることはありませんでした。これまでの経験や蓄積された知識が、無意識に体に染みついているのだと思います。ただ、経験が浅い若手設計者は違う。この課題は、デジタル技術を活用した仕組みを導入することで、解消できるなと考えました。」

デジタル技術活用の遅れに対する危機感

最初は半信半疑。今では推進者。

図面に関する課題解消のために見つけたのが、CADDi Drawer。

後にグループ本社の日新電機でも導入されていることが判明し、「それなら」とすぐにトライアルを始めた。導入後の推進者には、10年目の永井氏が選ばれた。

 

永井氏は、CADDi Drawerの印象についてこう話す。「実は、使い始めた頃は意図通りの検索結果が得られなかったので、導入には半信半疑でした。ただ、トライアル期間中に使い方のレクチャー会やシステムのアップデートが行われ、段々と効果を実感。今では、信頼して推進者としての活動を行っています。若手を中心に自由に使っていて、雑談の中でもCADDi Drawerの使い方が話題になるほど、多くの若手が積極的に活用しています。」

 

永井氏は、トライアル終了後、本導入のための条件として「必ず業務に活用すると約束すること」を上司から課された。それを受けて「必ず使う人」を調査すると、想定していた以上の人数から手が挙がり、ついにCADDi Drawerの導入が決定された。

 

CADDi Drawerを開発担当として活用している山下氏は、「検索速度や図面のサムネイル表示に加えて、特に魅力的に感じたのが手書きの絵でも検索ができる点です。開発業務では、新規図面を作ることが多くあります。手書きの絵からでも類似図面検索の精度が高いため、参考にできる図面を見つけやすい。一から新図を作ることが少なくなりました。また、海外で作成された図面の類似図面を検索することで、課題だった参考図面の紐づけも確認しやすくなっています。」と話す。

 

CADDi Drawerの導入によって、図面ベースで経験や技術を若手に伝承できるようになった。また、図面に関わる業務が効率化されることで、技術力伝承に関する新たな取り組みに充てる時間も生み出されている。

最初は半信半疑。今では推進者。

「この先輩楽しそうに仕事しているな」そんな姿を見せていきたい

CADDi Drawerの導入によって、技術継承や業務の効率化に、一定の効果があることを体感できた。今後は利用者を増やすことで、その効果をさらに高めていく必要がある。

 

永井氏はこう話す。

 

「利用者を増やすためには、利用することでのうれしさを認識してもらうこと。また、利用する際のハードルを低くする必要があります。現状では感覚レベルの効果実感を、客観的な数値で表現し周知したい。あとは、マニュアルやノウハウ集を作成して迷わずに使えるようにすれば、利用希望者が増えると考えています。将来的には、設計・開発部門だけではなく、調達など社内全体に導入していきたいですね。」

 

現在、電子線照射装置の業界は、競争がシビアになっている。馬場氏は「設計は事業の柱であり、その中心に今後なっていくのは、永井や山下の年代。厳しい環境でも楽しんで乗り越えられるように、彼らが中心となって新しいことを勉強し、個人としても会社としても成長してほしいですね。」と期待を込める。

 

永井氏「正直なところ、会社を背負っていくのはまだまだ荷が重いです。ただ、後輩が入ってくるにつれて、会社の成長や後輩の育成についても考えられるようになってきました。まずは自身の能力を高めて、この先輩楽しそうに仕事しているな、そんな姿を見せていきたい。」

 

馬場氏もそれに同調する。

 

「設計は事業の柱であり、継続的な成長を担う業務である。後輩には、それを『しんどい』ではなく『楽しい』と思いながら、会社も個人も一緒に成長していきたいですね。」

 

CADDi Drawerの導入により、図面ベースで”経験・技術”を若手に伝承する仕組みの第一歩を踏み出した。今後を担う若手が、ベテランの期待に応え、会社の成長をけん引する中堅層になるために。自己成長と共に仕組みの構築を進めていく。

「この先輩楽しそうに仕事しているな」そんな姿を見せていきたい
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