2003年設立のNHVコーポレーション株式会社は、電子線照射装置の製造・販売を行っている。電子線とは、照射することによって物質の特性を向上させたり、新たな機能を与えたりすることができる技術だ。近年は、自動車業界での活用拡大に加えて、医療機器への殺菌・滅菌処理、半導体の特性改善など幅広い業界・用途で活用されている。
この分野のリーディングカンパニーとして、幅広いタイプの電子線照射装置をラインナップしているのが、NHVコーポレーション。電子線照射装置だけでなく、搬送ラインなどの周辺設備も含めたエンジニアリングを行うことで、国内外のさまざまなニーズに対応してきている。
上層部では、30代半ばから40代の設計者がいないことに対し、早期に手を打つ必要があると感じていた。ベテランから若手への技術力継承。これからを担う10年目の設計者、永井氏と山下氏への期待は高かった。一方で当の本人たちは、年の近い先輩がいない中で、どんどんと後輩が増え、技術や知見を伝える仕組み作りに不安を感じる部分もあった。
そんな中、中期経営計画※1において、2024-2025年を「技術力継承の2年間」と位置付け、これからの会社を担っていく設計者を中心に、技術力強化を進めていている。合わせて、今後若手が成長しやすくなるための仕組み作りにも着手した。
これまでも、技術力継承の取り組みは色々と挑戦していた。馬場氏はこう話す。「2019年頃には、ベテラン技術者がEPS※2カレッジを週1回ほどのペースで開講し、現在も形を変えながら続いています。また、新たな開発製品を一つ作り上げる設計力強化活動や、ベテラン技術者と若手技術者でペアを組み、仕事を通してOJT教育を行う、ということも取り組んできました。少しずつ成果が出る中で、足りていない部分もまた見えてきていました。そこで、2024年から『技術力継承の2年間』とし、全社的な取り組みとして、技術力継承をより強化しています。」
※1:5年ごとに中期経営計画を立てており、2025年が一つの節目となっている。
※2:EPSとはElectron beam Processing System(電子線照射装置)を意味する。