導入にあたって大きな助けとなったのは、キャディのカスタマーサクセスだったと中野寛隆氏は言う。カスタマーサクセスの功績は、主に2つだ。
1つは業務改善を進めていく際、CADDi Drawerとは違う領域でも困ったことがあると、解決策を共に考え、提案してもらえること。もう1つは、システムの導入にあたっての現場への説明を共にしてくれたことだ。
システムが導入され、業務改善を進めていく際には、さまざまな問題が発生する。問題が明確なケースもあるが、「上手くいっていない」という実感はあるものの、問題の状態や原因がよく分からないケースも存在する。「そのような際に、キャディのカスタマーサクセスが課題やビジョンの言語化をしてくれました」と中野寛隆氏は言う。
業務改善のサポートについては、もう一つメリットがあったという。システムを導入するにあたっては、他社がどのような運用を行っているかを参考にするケースも多い。しかし、似たような業種、似たような規模の製造業の事例を参考にしたいと考えネットなどを調べてみても、詳細な情報は得られないことが多い。そのような場合にもカスタマーサクセスが、似たような事例を紹介し、解決策を提案してくれたと中野寛隆氏は語った。
原ノ町鉄工ではカスタマーサクセスの担当者が社を訪れ、現場への説明に助力した。第三者が入ったことにより、社内からでは直接は伝えにくいような現場の声が上がりやすくなったり、現在抱えている課題の言語化が進んだ。結果として、現場との調整が当初の予想よりもスムーズに行えたそうだ。
中野利香氏はこの取り組みを通じて収益性を改善し、利益を従業員に還元するとともに、もっと会社を発展させたいという思いとともに、日本の製造業界に対する思いも最後に語ってくれた。
「目標を達成したあかつきには、自社の取り組みをいつか本にしてみたい。佐賀の、決して都会ではない場所にある、大きくはない会社ではあるが、真面目に取り組めば大きく変わることができるということを、全国にある同じような製造業に伝え、日本の製造業をもっと元気にしたい。」