社名
株式会社原ノ町鉄工
設立
1974年
従業員数
50名(2024年2月現在)
業界
金属加工業
事業内容
事業内容 金属、非鉄金属材料の部品加工。加工可能素材は、鉄、ステンレス、アルミ、真鍮、銅など。半導体やタイヤメーカー、食品メーカーなど、幅広い分野、業界に向けた機械部品を加工、製造している。
株式会社原ノ町鉄工

事例 CADDi Drawer

製造工程におけるデータの収集と利活用から、収益体制の改善を目指す原ノ町鉄工の成り立ちとこれまでの業務

常務取締役

中野 寛隆

総務部長

中野 利香

導入前・導入後

製造工程におけるデータを蓄積できておらず、過去図面も探せず非効率な業務体制になっていた。

図面検索が効率化され、従来の1/5程度の時間で見積もりが出せるようになり、製造工程のデータ蓄積が始まり収益体制の改革が進む。

インタビュー

原ノ町鉄工は1972年に創立。半導体メーカーやタイヤメーカー、食品メーカーなど、さまざまな業界、業種で使われる機械部品の加工を行っている。1999年には半導体製造に使われるチャンバーを作るため、2番目となる工場を創設した。その後も顧客の要求に応えるため、新しい機器の導入と高い加工技術を軸に、部品加工業務を行っている。設立から48年を迎えた現在、工場には新たに5軸加工機が導入されるなど、さらに高度な要求や加工に対応できるよう、進化を続けている。

 

原ノ町鉄工が新しい加工機械の導入に積極的な理由は、激しい価格競争に勝つためだ。中野寛隆氏は「部品加工で求められる加工そのものは、昔からそれほど大きく変わっていない」と言う。しかし、価格競争は激化しており、それに勝つためには、より早く加工できる新しい機械が必要だ。

受注から工程管理、売上、原価管理までを一括管理を目指して

 CADDi Drawer導入の目的は受注から、工程管理、売上、原価管理を一括で行うためだ。

 

 「周囲の製造業でもさまざまなシステムが導入されている中、当社は形骸化したシステムしかなく、帳票の出力程度しか使われていなかったんです。そのため、さまざまな業務を統括できるシステムの導入を検討していました」と中野利香氏は語る。特に導入が望まれたのは見積もりや原価を扱うシステムだった。そのような時にCADDiから電話があり、CADDi Drawerに興味を持ったという。

 

 図面の管理について相談してみたところ、同じシステムで生産管理システムと連携させることで原価管理まで実現が可能になると分かり、興味は増した。部品加工の見積もりを依頼された際、前回の単価や前回の図面、類似の図面を探すのに時間がかかるという課題があったためだ。

 

 最終的にCADDi Drawer導入の決め手になったのはCADDiへの信頼感だったと中野利香氏は言う。他社のシステムも検討に上がっていたが、CADDi Drawerのほうが機能が充実しており、一つのシステムで社内全体の業務が改善できそうだと判断し、CADDi Drawerの導入を決定した。

 

 CADDi Drawerの導入により、見積もり時に図面を探す時間が、従来の1/5程度にまで短縮されたという。その結果、従業員も早く帰れるようになり残業が減った。

受注から工程管理、売上、原価管理までを一括管理を目指して

CADDi Drawerを活用した労働環境改善と収益性向上の取り組み

 現在、課題として捉えているのは従業員の定着。部品加工は技術職であるため職人の育成に時間がかかる。そのため、従業員の離職は負担が大きく、定着率の向上が必須課題になる。CADDi Drawer導入によって利益率を向上させ、従業員に還元していきたいと中野寛隆氏は語る。

 

 中野寛隆氏はこうも話す。

 「数年前の原ノ町鉄工は、年間休日数も少なく、従業員にとっても苦しい状態が続いていた。業務改善や社内での工夫により、近年では年間休日数を増加させ、他社と大きく変わらない水準にまで改善することができた。従業員の待遇をさらに向上させ、給与などを増やしていくためには、さらなる業務改善と利益率の向上を目指していきたい。」

 

 収益性の改善に向けては、まず社内の赤字案件の洗い出しが必要だ。そして、その案件について工程改善を行ったり、場合によっては価格交渉を行ったりする。とはいえ、進行中の案件について工程改善を行うのは現場の負担が発生する。つまり、見積もりの段階から、実際にどれくらいの加工工数がかかるのか、カンコツではない論理的なものづくりが必要になるのだ。

 

 たとえば、ある加工品において、加工だけでなく仕掛かりや梱包、出荷までの正確な時間をデータ化する。さらにそれを図面に紐付けておけば、類似の加工依頼が来た際に、類似図面の情報を確認すれば、それを元に正確な見積もりができるようになる。あまりにも利益が少ない案件は受注を受けない、あるいは工程改善によって利益を拡大できないか事前に検討ができる。つまり、適正な見積もりが可能になり、赤字案件を生まない運用ができるようになるのだ。CADDi Drawerを利用することで、過去の加工図面やそれに付随するデータの検索もすぐにできる。従来よりも素早く見積もりを出しつつ、より正確で利益を生む見積もりができるようになるのである。

 

 本来であれば見積もりとはそうあるべきだった。しかしこれまでは工程管理や売上、原価管理を行えるシステムがなかった。現在は社内で、それぞれの案件の加工でどれくらいの時間がかかっているのか、正確な把握を進めている。現場を含め、まだ調整が進んでいる段階ではあるが、CADDiのサポートもあり、一歩一歩進んでいると中野寛隆氏は語った。

CADDi Drawerを活用した労働環境改善と収益性向上の取り組み

新たな挑戦を推進する、キャディのカスタマーサクセス

 導入にあたって大きな助けとなったのは、キャディのカスタマーサクセスだったと中野寛隆氏は言う。カスタマーサクセスの功績は、主に2つだ。

 

 1つは業務改善を進めていく際、CADDi Drawerとは違う領域でも困ったことがあると、解決策を共に考え、提案してもらえること。もう1つは、システムの導入にあたっての現場への説明を共にしてくれたことだ。

 

 システムが導入され、業務改善を進めていく際には、さまざまな問題が発生する。問題が明確なケースもあるが、「上手くいっていない」という実感はあるものの、問題の状態や原因がよく分からないケースも存在する。「そのような際に、キャディのカスタマーサクセスが課題やビジョンの言語化をしてくれました」と中野寛隆氏は言う。

 

 業務改善のサポートについては、もう一つメリットがあったという。システムを導入するにあたっては、他社がどのような運用を行っているかを参考にするケースも多い。しかし、似たような業種、似たような規模の製造業の事例を参考にしたいと考えネットなどを調べてみても、詳細な情報は得られないことが多い。そのような場合にもカスタマーサクセスが、似たような事例を紹介し、解決策を提案してくれたと中野寛隆氏は語った。

 

 原ノ町鉄工ではカスタマーサクセスの担当者が社を訪れ、現場への説明に助力した。第三者が入ったことにより、社内からでは直接は伝えにくいような現場の声が上がりやすくなったり、現在抱えている課題の言語化が進んだ。結果として、現場との調整が当初の予想よりもスムーズに行えたそうだ。

 

 中野利香氏はこの取り組みを通じて収益性を改善し、利益を従業員に還元するとともに、もっと会社を発展させたいという思いとともに、日本の製造業界に対する思いも最後に語ってくれた。

 「目標を達成したあかつきには、自社の取り組みをいつか本にしてみたい。佐賀の、決して都会ではない場所にある、大きくはない会社ではあるが、真面目に取り組めば大きく変わることができるということを、全国にある同じような製造業に伝え、日本の製造業をもっと元気にしたい。」

新たな挑戦を推進する、キャディのカスタマーサクセス
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