大阪市淀川区を拠点として1916年に創業したハカルプラス株式会社「はかる」ことをコアとして幅広い事業の展開をしている。創業当初はメーターを扱っており、そこで培った技術を軸に、「電気をはかる計測部門」、「生コンをはかる計装部門」、「原料をはかる計量部門」、「医療・介護の安全をはかるメディカルケア機器部門」の4つの事業を展開している。
ハカルプラスの強みは、多様な事業で培ってきた「はかる」方法に関する技術を保有している点だ。例えば、測定が難しい粘度の高い接着剤の重量測定などの高い技術を保有していることで、顧客が抱える課題、現実的な運用方法や必要精度などに応じて、最適な方法を提案できる。
ハカルプラスの設計では、属人化に関する課題を抱えていた。計量事業部次長の東谷氏は、このように話す。
「私が中途入社したのが2016年。チャレンジングな企業風土もあり、その頃は、ハードな働き方をしている人が多くいました。特に、求められる役割から負荷が集中しやすい中堅や管理職は職場への定着率が高くなかったため、今残っている人材は中堅が不足います。管理職と20代半ばの間で、実務をバリバリ進めていくはずの人材が不足している状態でした。」
厳しい状況を乗り越え豊富な経験を積んだ管理職やベテランは、豊富な知識を持っているため、顧客から質問を受けても速やかに対応できる。一方で、経験の浅い若手はスムーズに業務を進められない状況だった。
参考図面を探すのにも時間がかかってしまい、純粋な設計業務に携わる時間が取れない。例えば、さまざまな要素が含まれている図面をパッと見て理解できるように教育する必要があっても、教育時間を確保できない状況だった。また、実践経験を積んで技術を身に着けてもらおうにも中堅がいないことで新規設計を受ける余裕がなく、リピート設計が中心になってしまっていた。
さらに、調達コストに関しても課題を抱えていた。リピート品が多いとはいえ、すべての客先で共通の仕様を流用できるわけではない。客先ごとに微妙に違いがあり、その微妙な仕様の違いによって、調達コストが大きく変わってしまっていた。設計に加えて調達にも離職者が多い時期があったため、どの図面をどのサプライヤーに出せばQCDを高い状態でバランスをとって調達できるのか、明確になっていなかったのだ。