1978年設立の技研製作所は、建設現場などで使用される杭打機などを扱う建設機械メーカーである。一般的な杭打機は振動や打撃によって杭を打ち込むため振動や騒音が発生するが、技研製作所の杭打機は無振動・無騒音が特徴だ。その設備を活かした地下駐輪場や地下駐車場の建築、また杭打機を用いた工法の提案も行っている。自社で生産工場を持たないファブレス企業であるため、杭打機の企画や設計開発、部品調達は自社で行うが、製造は外部の製造工場へ委託している。
同社では、2031年に売上高1000億円達成を含めた「GIKEN GOALS 2031~工法革命で未来を切り拓く~」を掲げ、現在の主な販路である国内に加え、圧入技術50年以上の実績をもとに今後は海外販路拡大を狙っている。
「GIKEN GOALS 2031」のためには、人材の確保・育成が重要となり、全社的に生産性向上の取り組みを進めている。以前から個々人による生産性向上の取り組みを行っていることはあったが、会社全体で行っていたわけではないため、仕組み化できておらず、仮に良い取り組みがあったとしても広く浸透しにくい状況だった。そこで全社的に号令をかけ、QC活動(小集団活動)を始めたところ、会社内の縦横含めた一丸で取り組む体制を作ることができた。また、従来から人事異動などで部署を跨いだコミュニケーションは比較的円滑であり、近年は階層別研修を活発に実施したり、全社的なイベント開催にも注力していたのも、取り組み浸透の要素としては大きかった。
一方で、生産性の向上が難しい領域もある。製造部 購買管理課 課長の宮田氏は、生産性向上の難しさについてこのように話す。
「自社で生産工場を持っていないファブレスの体制だと、自社の要望だけを聞いてもらうわけにもいかないので、生産性のコントロールが難しいです。経験を積んだベテラン社員であればノウハウが頭の中に入っているため調整できますが、経験の浅い社員にそのノウハウを十分に伝承しきれておらず、属人化されています。この属人化を解消し、現状はサプライヤー頼みになってしまう領域でどのように生産性向上を進めていくか、解決したい課題の一つです。」