社名
株式会社技研製作所
設立
1978年(創業1967年)
所在地
高知県高知市(高知本社)
従業員数
691名(連結/2023年8月時点)
売上高
29,272百万円(連結/2023年8月期)
業界
工作機械・加工機
事業内容
無公害工法・産業機械の研究開発および製造販売ならびにレンタル事業、土木建築その他建設工事全般に関する業務ならびにコンサルタント業務、土木施工技術・工法の研究開発、上記に関する海外事業
株式会社技研製作所

事例 CADDi Drawer

変わる若手社員の行動。過去の図面を参照し、金額に妥当性を持って承認を取りにくるように。

製造部購買管理課 課長

宮田 定彰

製造部購買管理課 課長代理

森 省五

導入前・導入後

購買調達において、若手は明確な根拠を持った見積査定ができていなかった。参考となる過去実績や類似品は検索に時間がかかり、応用の効く知識やノウハウがうまく継承できていなかった。

図面検索の効率化を実現し、若手でも過去実績や他社との比較など根拠を踏まえた見積りが可能になった。標準価格テーブルの作成と図面への部品特性紐づけを行っていくなど、今後の展望が開けた。

インタビュー

ファブレスであるが故の生産性向上の難しさ

1978年設立の技研製作所は、建設現場などで使用される杭打機などを扱う建設機械メーカーである。一般的な杭打機は振動や打撃によって杭を打ち込むため振動や騒音が発生するが、技研製作所の杭打機は無振動・無騒音が特徴だ。その設備を活かした地下駐輪場や地下駐車場の建築、また杭打機を用いた工法の提案も行っている。自社で生産工場を持たないファブレス企業であるため、杭打機の企画や設計開発、部品調達は自社で行うが、製造は外部の製造工場へ委託している。

同社では、2031年に売上高1000億円達成を含めた「GIKEN GOALS 2031~工法革命で未来を切り拓く~」を掲げ、現在の主な販路である国内に加え、圧入技術50年以上の実績をもとに今後は海外販路拡大を狙っている。

 

「GIKEN GOALS 2031」のためには、人材の確保・育成が重要となり、全社的に生産性向上の取り組みを進めている。以前から個々人による生産性向上の取り組みを行っていることはあったが、会社全体で行っていたわけではないため、仕組み化できておらず、仮に良い取り組みがあったとしても広く浸透しにくい状況だった。そこで全社的に号令をかけ、QC活動(小集団活動)を始めたところ、会社内の縦横含めた一丸で取り組む体制を作ることができた。また、従来から人事異動などで部署を跨いだコミュニケーションは比較的円滑であり、近年は階層別研修を活発に実施したり、全社的なイベント開催にも注力していたのも、取り組み浸透の要素としては大きかった。

一方で、生産性の向上が難しい領域もある。製造部 購買管理課 課長の宮田氏は、生産性向上の難しさについてこのように話す。

「自社で生産工場を持っていないファブレスの体制だと、自社の要望だけを聞いてもらうわけにもいかないので、生産性のコントロールが難しいです。経験を積んだベテラン社員であればノウハウが頭の中に入っているため調整できますが、経験の浅い社員にそのノウハウを十分に伝承しきれておらず、属人化されています。この属人化を解消し、現状はサプライヤー頼みになってしまう領域でどのように生産性向上を進めていくか、解決したい課題の一つです。」

ファブレスであるが故の生産性向上の難しさ

部品発注業務の属人化。見積りの根拠が不透明

部品を発注する際には、見積りの妥当性を検討する必要がある。6名が発注業務を担当しており、その経験年数は2名が10年以上、残りの4名が3年未満とばらつきが大きい状況だ。これまで、経験の浅いメンバーが上司に見積りの承認依頼を出す際には、価格を決める際の根拠や妥当性の説明がなく、承認する上司が確認する必要があった。

 

また、ノウハウを持ったベテランであれば数分でできる見積りの妥当性検討業務でも、知識やノウハウがないと結論を出すのは難しい。見積価格を決める際には、過去に見積りを行った類似部品の価格が参考になる。従来から図面管理システムを導入していたが、探したい図面のファイル名や図面番号が分からないと検索できず、参考になる情報を見つけるまでに時間がかかっていた。仮に図面を見つけて過去の見積価格がわかったとしても、その決定根拠までは残されていない場合もあり、応用の効く知識やノウハウの伝承は不十分だった。

 

さらに、価格と共に重要な調達部品の品質についてレベルアップを計画していた。しかし、サプライヤーからの見積確認に時間を取られ、さらなる品質向上のための時間を十分に確保できない状況が続いていたことも、解消したい課題の一つであった。

部品発注業務の属人化。見積りの根拠が不透明

生産性向上と根拠を持った見積りの実現

CADDi Drawerと出会ったきっかけは、別部署で働く宮田氏の同期からの提案だった。紹介を受けた宮田氏が、自身でCADDi Drawerの話を聞いてみると、課題であった過去図面の検索が解決され、社内にある図面をこれまでよりも格段に活用できると感じた。

トライアル期間には、実務者からポジティブな意見が多く出た。例えば、類似検索やキーワード検索の精度が高く検索速度も速い。アップロードした図面にタグ付け機能でメモができるのは便利、といった意見だ。

宮田氏も、目的とする図面を効率よく検索でき、その図面にはさまざまな情報が紐づけられることから、見積業務の属人化の解消に繋げられると考えた。導入に対して前向きになり、社内に提案するために費用対効果の計算を開始。それと合わせて、トライアル期間中も現場が使い続けていたことも宮田氏の背中を押した。これまでも何度か新しいシステムを導入したことはあったが、結局使わなくなる、ということがあった。ただ、キャディには利用促進するサポート体制もあり、そういった不安も徐々になくなっていた。

 

宮田氏は、CADDi Drawer導入の効果についてこのように話す。

「経験の浅いメンバーは、見積りに対する承認依頼をする際に最終的な価格のみを提出していました。CADDi Drawerを導入してからは、過去の情報を参考にできるため、見積価格を算出した根拠も合わせて持ってきてくれています。例えば、類似図面との比較や重量コストでの他社比など。妥当性や根拠を自分で調べ、判断できるようになったのは、大きな成長ですね。」

 

今後の活用拡大についても、構想はある。現状は、見積りを行う際にその都度過去の情報を参照しているが、参考にした情報が特殊な事情で標準的な価格からずれている可能性もある。これは、CADDi Drawerに蓄積した重量や処理内容ごとの情報を元に適正価格の標準テーブルを作成すれば、解消できる。過去のノウハウを点ではなく線や面で参考にするイメージだ。

また、生産性向上で生まれた時間は、品質面での活用を検討している。部品ごとの品質特性をCADDi Drawerの内部で図面に紐づけておけば、検索をした際に図面と共に確認できる。これが実現できれば、経験が浅いメンバーでもベテラン社員のように、業務効率化と品質向上の両立が可能だ。

生産性向上と根拠を持った見積りの実現

システム的に判断できるものはAIに任せて、人が本来やるべきことに注力する

「GIKEN GOALS 2031」の実現に向けて、宮田氏はこのように話す。

「購買調達部門は一般的に、設計から受領した図面通りのものを作る仕事という認識を持たれています。でも、利益に直結する製品の原価は購買調達部門の取り組みで決まります。最適な形状で、高品質な部品を、安く作るために、購買調達部門は重要な役割を担っています。今後は、設計から来る図面をしっかりと見極めて、時には突き返すくらいのノウハウ取得・スキルアップが必要です。そのために、CADDi Drawerをうまく活用して業務効率化を進めつつノウハウを継承していきます。」

 

また、購買管理課 課長代理の森氏は、このように締め括った。

「2031年に向けて、まずは3年後には現状の2倍の、売上高600億を目指すことになります。しかし、今までと同じ人の数、同じやり方では倍の業務をこなすことはできません。システム的に判断できるものはAIに任せて、人は人が本来やるべき業務に注力できるような体制構築が必要です。経験が浅い中でも、自らスキルアップできるような自律した人材をどう育てていくのか?というのが、我々マネジメントの課題です。社内のメンバーには、お互い刺激を受け合いながらコミュニケーションを取り、楽しく仕事をしてほしいと思います。」

システム的に判断できるものはAIに任せて、人が本来やるべきことに注力する
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