社名
秋田化学工業株式会社
設立
1972年
所在地
秋田県にかほ市
従業員数
単体約100名
業界
金属加工業
事業内容
電解研磨、無電解ニッケルメッキ、アルマイトなどを中心とした、各種めっきなどの表面処理加工サービスなど
秋田化学工業株式会社

事例 CADDi Drawer

図面内に手書きでメモする文化が、見積もり作成の効率化に繋がる。1〜2日かかっていた見積検索が、5〜10分で終わるように。

代表取締役

丹野 恭行

営業部業務係 係長

渡邉 隆寛

営業部業務係 係長

照井 美沙子

導入前・導入後

膨大な件数の見積もり業務で、どこかで見た覚えがあるけど見つからない、という状況が慢性化。そのため残業が多く、新たな取り組みを進める余力が持てていなかった。

自社の文化に合った「キーワード検索」の活用で、見積もり業務の効率化と蓄積されたノウハウの活用を実現。残業時間が減り、新たな取り組みを行う活力に繋がってきた。

インタビュー

人口流出県第1位。若手を育成する時間・仕組みが足りない

1972年設立の秋田化学工業株式会社では、主に半導体製造装置の本体及び構成部品の表面処理を手掛けている。拡大する半導体市場での差別化に向けて、2004年には国内最大級となる電解研磨工場の稼働を開始している。

事業としては、半導体事業の比率が高いため、事業リスクを考え、これまでの強みが活きる新たな分野への挑戦が必要だと、社長の丹野氏は話す。すでに自動車部品分野にも進出し、これまで培ってきた技術をどう活かしていくか、様々な挑戦が始まっている。

 

総務省が行った国勢調査において、秋田県の人口減少率(2030年推計と2015年の比較)はマイナス20%以上と、全国ワーストと予想されている。丹野氏は人材面の課題について、こう話す。「採用は厳しいです。若い人だけはなく、マネジメントを担える人材も不足してきています。今いる人材で業務を拡大していくためには、既存の業務を効率化し、人を育てる時間をしっかりと設けないといけません。」

 

ここ2〜3年で、業務効率化を図るべく様々な取り組みを始めていた。役員クラスの会議では完全にペーパレス化し、人事や総務の分野でも新たなシステム導入を推進。一方で、セキュリティの部分にも注意を払っている。情報をどこまで紐づけるのが良いのか、効率と安全のバランスが重要。システム部分は今後も必要な分野だからこそ、知識と意識を高めていく必要があった。

人口流出県第1位。若手を育成する時間・仕組みが足りない

「見たことあるな、これ!でも、どこにあるんだっけ?」

渡邉氏が所属する営業部業務係は、自身と女性3名のチーム。業務係は、お客様と様々な面で接点を持ち、その中の一つに取引先から受領した図面をもとに見積もりを作成する業務がある。自身は、見積もり作成に加えて、チームの業務環境を整備する役割を担当しており、情報収集のために展示会参加など外出も多い。

 

見積もり作成において、業務係内メンバー全員の共通あるあるが、「見たことあるな、これ!」だ。秋田化学工業では、顧客からFAXやメールで届いた見積もり依頼に対して、Excelで見積書を作成している。過去と同じ図面の見積依頼であればその時のExcelを参考にして見積もり結果を出せばいいのだが、そう簡単ではない。過去ファイルの数は膨大で、該当のExcelを見つけ出すにはかなりの時間が必要。検索時間短縮のために、複数のExcelを横断して検索できるようなツールも導入していたが、少しでも形状やサイズが違うと、横断検索に引っかからない。結果、「見たことあるな、これ!」と感じるような図面だったとしても、「でも、どこにあるんだっけ?」となり、周囲に聞いてから過去の情報が綴じられたファイルを探しに行くことになる。また、結局見つけられない場合もあり、その時には見積もりをイチから作り直さざるを得ない。1日あたりに処理が必要な見積もり依頼は、多い時では100件ほどになることも。1件あたりの図面もほとんどが複数枚であり、見積もり以外の業務もこなしながら過去情報を探すのは、大きな負担になっており、効率化は必須だった。

「見たことあるな、これ!でも、どこにあるんだっけ?」

残業しないためにどうするか。自ら発見したキーワード検索で、過去見積書を効率的に発見

業務効率化について色々な企業と意見交換をしたり、見学をしたりする中で、丹野氏はCADDi Drawerの存在を知ることになる。一度営業を受けた後、東京で開催されたセミナーも受講。その内容を社内で共有したところ、「これはすごい」という現場の声が溢れた。デモ期間を経て、期待できる効果を確認し、導入を決めた。

 

社内でCADDi Drawer推進役を担うことになった渡邉氏。「就業時間内で効率の良い仕事がしたい」という自身の考えもあり、色々と試した末にある使い方を発見する。

秋田化学工業では、検討時の参考となるキーワードや数値を見積もり図面へ直接メモをしておく文化があった。例えば、表面処理対象の表面積、処理する際のハンガーに製品をいくつかけられるか、マスキング処理にかかる時間など。これらを元に見積価格を算出できるため、見積もりのノウハウが過去の図面に蓄積されている状態だ。渡邉氏はこれを活用できないかと考えた。

「当初は、CADDi Drawerの強みである類似検索や画像検索を活かして、顧客から受け取った見積もり図面での検索を考えていました。それだけでも効率化できていましたが、いろいろと試す中で期待以上に活用できるなと感じたのが、キーワード検索です。表面処理の見積価格は、形状だけでなく材質や処理内容に大きく依存しますが、当社の過去図面には、見積もり時の手書きのメモが多数残っています。CADDi Drawerは図面内のテキストを読み込むOCR機能の精度がとても高く、キーワード検索でそのメモがひっかかり、目的の図面がすぐに見つかります。私自身は見積もりの経験がそれほど長くないので、10年、20年と経験された方の過去の見積もりにアクセスできるのは、ありがたいですね。当社の文化とキーワード検索の相性がよかったのかなと。」

 

また、渡邉氏は見積もり検索システムの導入についても別で検討していたが、OCR機能の精度が高いため、見積書をCADDi Drawerに登録すれば、キーワード検索によって過去の見積書へもスムーズにアクセスできるのではないかと考えた。

導入して2か月。社内全体として、CADDi Drawerの使い方は固定されておらず、各担当が自由に使う中で自社に合う使い方を模索している段階だ。まだ登録できていない図面も多いため、今後さらに拡大していくことで業務効率化とノウハウ伝承への大きな効果を期待している。

残業しないためにどうするか。自ら発見したキーワード検索で、過去見積書を効率的に発見

同じ業務係の照井氏は、社内でも一番見積もり作成を行っている社員。1〜2日かかっていた業務が、5〜10分で終わるようになり、確かな手応えを感じている。

業務効率化を全社的に繋げていくことで、より強い取り組みにしていきたい

「業務効率化できているのは、まだ部分的でしかなく、全社的に繋げていくことで、より強い取り組みにしていきたい。」と丹野氏は話す。クラウド上のサービスであることにも期待は大きく、「CADDi Drawerユーザーの声を聞いて、使い勝手を常にバージョンアップしようと動いてくれているのも、信頼できる要素の一つですね。」と語る。

話の最後、かなり業務効率化が進んでいるんじゃないですか?という質問に、丹野氏はこう答えた。「社内にはまだまだ紙図面を管理しているファイルがたくさんあるんです。このファイルが目に見える形でなくなると、本当の効果を実感するのかもしれませんね。」

 

半導体業界だけでなく、新たな業界への事業拡大へ。そのためには、業務効率化と人材育成が必要である。秋田化学工業は、CADDi Drawerの導入によって、目標の実現に向けた着実な一歩を踏み出した。

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