類似図面と発注実績の検索が数十秒で完了。価格の検討が困難だった納期優先の発注がなくなり、調達価格の精度が向上。
ニッカ電測株式会社
- 設立
- 1955年7月26日
- 従業員数
- 120名
- 売上高
- 27億951万円(2021年5月)
- 事業内容
- 検査機器総合メーカー。金属検出機、重量選別機、ピンホール検査装置、マグネット式除鉄装置、セキュリティ機器等を製造・販売。
- お話いただいた方
-
管理本部 購買管理部 副部長 小川 幸司氏
Before
類似図面と発注実績を探すのに複数のシステムにアクセスすることが必要で、多くの時間がかかり業務が逼迫。オーダーメイドの設計、製造、かつ納期優先のため、価格検討する余裕がなく発注をしていた。
After
CADDi Drawerだけで類似図面の検索が簡単に短時間で行えるようになり、納期優先の発注が無くなる。結果、誰でも発注価格の判断が出来るようになった。
Before
類似図面と発注実績を探すのに複数のシステムにアクセスすることが必要で、多くの時間がかかり業務が逼迫。オーダーメイドの設計、製造、かつ納期優先のため、価格検討する余裕がなく発注をしていた。
After
CADDi Drawerだけで類似図面の検索が簡単に短時間で行えるようになり、納期優先の発注が無くなる。結果、誰でも発注価格の判断が出来るようになった。
納期優先の発注により調達価格に大きなブレが生じる
ニッカ電測株式会社は、食品内に金属片の混入が無いかを調べる金属検出機や、薬剤容器に微小な穴が開いていないかを調べるピンホール検査機など、生活の安心、安全を支える検査機器の製造販売を創業以来行ってきた。製造された検査機器は、食品業界、医薬品業界をはじめとする様々な分野で活用され、多くの人の安全な生活を守っている。
ニッカ電測では、開発から設計、製造、メンテナンスまで自社で一貫して行ってきた。お客様の痒い所に手が届くような営業を第一とし、多くの要望に対応している。お客様の要望は大小様々だ。同じ業界であっても、お客様が変われば検査する対象が変わり、求められるスペックも異なる。そのため、基本となる製品の型はあるものの、ほぼ全ての製品がお客様の希望する仕様に合わせてオーダーメイドで設計、製造されている。その結果、発注の都度、多くの部品が新たに設計、製造されている状況であった。
部品の製造は、自社で加工するもの以外に、協力工場に依頼して加工してもらうものも多くある。購買部門では、設計部門から送られた図面を元に協力工場へ発注を行っていた。発注の手順としては、最初に加工内容により候補となる会社を決め、各社に見積もり依頼を行う。各社からの見積もりを比較検討し、最適な発注先を決めてから発注を行うのが通常の流れだ。
しかし、納期が迫る製品の部品発注では、この流れが崩れることが多くあった。各社からの見積もりで価格を検討することなく、納期優先で発注をおこなっていた。
「納期は厳守しなくてはなりません。製造にかけられる時間が短くなれば、どうしても納期優先になります。そのため、似たような設計内容でも調達価格のブレが大きくなることがありました。過去の類似案件の原価率を調べて比べた時に、今回はなぜこんなに高いのかと問われることがありました。」と、購買管理部の小川氏は語る。
類似図面と発注実績を検索する時間が掛かり、多くの無駄が発生。業務の属人化が経営リスクになり得た。
以前よりニッカ電測では、図面管理システムから過去の案件の類似図面を探し、発注管理システムに登録された実績から価格を検討することは可能だった。しかし、使用していた図面管理システムでは、図面番号や図名しか分からないため、実際に類似しているかは図面ファイルを開かなくては確認できない。何度もシステムを行き来しなければならず、該当図面を探し出すのに最短でも十数分要していた。最終的に思うようなものが探し出せず、諦めてしまうことも多々あった。
多くの経験を積んだ者であれば、経験を元に発注先を決めることも可能だ。しかし、経験の少ない者は複数の見積もり結果から適正な発注先を検討できても、比較できる過去の実績が無ければ発注の判断ができない。経験を元に発注先や発注価格を決定できるのは、小川氏のみである。ニッカ電測では、いずれ経験者が少なくなることに危機感を持っていた。課題を解決できる新たなシステムが必要だった。
新たなシステムを探していた小川氏は、図面データ活用クラウドCADDi Drawerを紹介された。このシステムであれば現状を変えられると感じた小川氏は、導入の検討を開始した。過去の発注データを元に誰でも発注を判断できるようになることを期待していた。
CADDi Drawerで変化する業務フロー。検索時間は10分の1以下に、そして誰でも発注価格を判断できるように。
ニッカ電測では導入にあたり、過去分全ての図面データと2年分の発注実績を登録して紐づけている。CADDi Drawerを使い始めたところ、類似図面を検索するという業務プロセスに大きな変化が生じた。従来は十数分、場合によっては諦めていた該当図面の検索が、単純なものならば十数秒で探すことができるようになったのだ。紐づいている発注実績も簡単に見ることが出来る。経験の少ない者でも適正な発注先や価格の判断ができる可能性がでてきたのだ。
「本当に時間短縮できるのか不安はありました。しかし、実際に図面を探してみると、10秒、20秒ぐらいで探せる。そこが決定的でした。データが溜まっていけばさらに便利に、効率的に使えるようになると思いました。」と、小川氏は語った。ニッカ電測では、本格的に運用を開始してからは、日々生まれる図面の1ヶ月分のデータをまとめて月の終わりに登録している。導入によって業務フローにも変化があった。従来は時間に余裕がないことを理由に、検討をよく行わずに発注先を判断していた。現在では、類似図面を簡単に探せるようになったので、過去の実績が見られる。それを元に発注することで、調達価格の大きなブレを減らせるようになった。
小川氏は導入効果について次のように語った。
「今までの見積りの精査をせず納期だけを優先して発注することは止めました。その影響で、かえって発注先決定まで時間かかってしまうこともあります。ただ、類似図面を探せるようになったことで、調達価格の精度やスピード感は圧倒的に良くなりました。特に、部品点数の多い装置では、大きな差が出ています。また、簡単なものならば、私以外の者が1人で発注価格を判断できるようになってきました。この部品ならこのぐらいの価格だろうといった感覚も養われています。」
さらなる工数削減を目指し、設計、製造部門での利用も進め、CADDi Drawerでデジタル変革を加速する。
導入効果は他にもある。類似図面と発注実績を紐づけて見ることで、発注先を検討して調達価格のブレを減らせるだけでなく、なぜこの価格になったのか理由を探すことも出来るようになった。これにより、調達価格が適正であるか検討できるようになり、調達価格の精度がより高まった。単に類似図面の検索が早くなっただけでなく、複合的に効果が出てきたのだ。
ニッカ電測では、今後は過去10年分程度まで遡ってデータを登録することを検討している。これにより、メンテナンスパーツについても、調達価格を見直すことが出来るようになる。また、設計部門や製造部門でCADDi Drawerを活用することで、さらなる工数削減を実現することも視野に入れている。ニッカ電測の業務のデジタル変革はこれからも続く。