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製造業の課題は?他社の状況や打開策、成功事例を解説

製造業の課題は?他社の状況や打開策、成功事例を解説

製造業の課題は?他社の状況や打開策、成功事例を解説

目次

日本の製造業は、人材不足や原材料価格の高騰、サプライチェーンの脆弱性など、複数の課題に直面しています。特に、設備の老朽化やDX・AI活用の遅れは、国際競争力の低下につながる深刻な問題となっています。

この記事では製造業が抱える各種課題の詳細や解決策を解説するので、ぜひ自社の課題解決にお役立てください。

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日本の製造業の課題

一般社団法人日本能率協会が製造業各社に行ったアンケート調査「次なる成長に向けた日本製造業の課題 日本企業の経営課題-製造業編-」によると、各社は今後3年の戦略を考える上で、以下のような課題を抱えていることが判明しています。

出典:一般社団法人日本能率協会(PRTimes)「次なる成長に向けた日本製造業の課題日本企業の経営課題-製造業編

また、経済産業省も「製造業を巡る現状と課題今後の政策の方向性」などの資料において、「2030年問題」として同様の課題を提唱しています。これらの内容を参考にしつつも、日本の製造業における代表的な課題の詳細を見ていきましょう。

参考:経済産業省「製造業を巡る現状と課題今後の政策の方向性

人材不足の進行・業務の属人化

製造業の就業者数は大きく減少しています。「2024年度ものづくり白書」によると、製造業の就業者数は、2022年時点の製造業就業者数は1,044万人、2023年時点では1,055万人でした。しかし、若年層の就業者数は2002年から減少傾向にあり、2003年には31.4万人だったのに対し、2021年には25.2万人にまで落ち込んでいます。

出典:「2024年版ものづくり白書」経済産業省・厚生労働省・文部科学省

一方で、製造業での高齢化の進行も深刻です。65歳以上の就業者の割合は、2002年の4.7%から2020年には8.8%にまで上昇しており、技術者の高齢化が顕著になっています。

熟練技術者の多くは長年の経験で培った独自のノウハウを持っていますが、製造業の現場では「背中を見て覚える」という教育スタイルが定着しており、OJTにも依存しています。そのため、効果的な技術継承が難しく、生産性の向上も進みにくい状況です。技術やノウハウが特定の個人に依存する状態は、熟練技術者の退職時に技術が失われるリスクを高め、生産性や品質の維持に支障をきたす可能性があるでしょう。

このような状況下で、人材の流動化も進んでいます。かつては終身雇用が一般的でしたが、近年では条件の良い企業への転職も増加しています。そのため、優秀な人材を確保・維持するためのコストが上昇し、人件費も高騰しています。さらに、人手不足による長時間労働やモチベーションの低下も課題となっています。

原材料価格・エネルギー価格が高騰している

世界的な社会情勢の変化により、製造業の原材料価格とエネルギー価格が大きく高騰しています。昨今では、トランプ政権下での貿易政策やウクライナ情勢の緊迫化、新型コロナウイルスの拡大といった要因が、直接的に価格高騰を引き起こしてきました。

さらに、これらの事象は為替変動も誘発し、円安による輸入コストの上昇という形で間接的にも調達コスト増大に影響を与えています。ドル建てで取引される原油や鉄鋼、レアメタルなどの輸入原材料の実質価格が上昇し、調達コストが一層増大しているのです。また、工場の電気代の高騰も、製造業の収益を圧迫しています。

▼調達コスト増大の要因まとめ

  • 直接的影響:トランプ政権やウクライナ危機など→ 原材料価格の高騰
  • 間接的影響(追加の打撃):↑の事象→為替変動→輸入コストさらに上昇

サプライチェーンが脆弱である

日本の製造業では、メーカーとサプライヤー間の長年の取引関係により、過度に最適化された相互依存関係が形成されています。関係性の一例を挙げれば、サプライヤーが図面を見ただけで製品の使用箇所や必要な加工精度を判断できるほど、緊密な協力体制が築かれています。

一見、この緊密な関係は好ましく思えますが、新規サプライヤーの開拓や切り替えが困難になるという課題があります。新たなサプライヤーとの取引開始には、製品知識の教育や製造工程のすり合わせに多大なコストと時間が必要です。そのため、特定のサプライヤーへの依存度が高まり、サプライチェーンの柔軟性が失われているのです。

このような状況は、災害や感染症などの非常事態が発生した際に大きなリスクとなります。特定のサプライヤーが被災した場合、代替となるサプライヤーをすぐに確保できず、生産活動に支障をきたす恐れがあるでしょう。

設備の老朽化が進んでいる

製造業において、設備の老朽化も深刻な課題となっています。2018年の日本機械工業連合会の調査「生産設備保有期間実態調査~結果概要~」によると、金属工作機械の約46%、二次金属加工機械の約68%、鋳造装置の約49%が、設備導入から15年以上経過している状況です。

設備の老朽化は、生産力の低下や事故発生リスクの上昇につながります。設備更新には大規模な投資が必要で、新型コロナウイルスの影響なども受け、少なからずの企業が更新を見送っているでしょう。

参考:日本機械工業連合会「生産設備保有期間実態調査~結果概要~

DX・AI活用が遅れている

日本ではDX・AI活用が遅れていると言われていますが、製造業も同様です。総務省の調査によると、DX推進における最大の課題はDX人材の不足で、調査に参加した53.1%の企業がこの問題に直面しています。DX推進のためには、社内や部内の意見を集約し、ベンダーが関わる場合はその調整や交渉を行える推進者の確保が重要です。しかし、DXを推進しようとしてもそもそも社内にDX推進の適任者がおらず、推進ができない企業が少なくありません。

出典:総務省「令和3年版情報通信白書|デジタル・トランスフォーメーションにおける課題

また、資金不足(26.9%)やICTなど技術的な知識不足(23.8%)も障壁となり、DXの取り組みが進んでいません。既存システムとの関係性(25.8%)を懸念する声も多く、新しい技術の導入に慎重な姿勢が見られます。

特に製造業では、世界的なインダストリー4.0の潮流の中で、デジタル化の遅れが顕著になっています。ドイツが提唱したインダストリー4.0のように、日本でもIoT・AIを活用したスマートファクトリー化を進め、製造プロセスの自動化・効率化が行われるのが理想です。一方、日本の製造業では、こうしたデジタル革新への対応が遅れており、国際競争力の低下や事業成長の鈍化が懸念されています。

製造業の課題を解決する4つの方法

ここまで解説してきた製造業の課題を解決するには、以下4つの方法が有効です。

  1. サプライチェーンの再構築・強化
  2. 採用基準・採用活動を見直す
  3. 7つのムダを排除する
  4. DX・AI活用を促進する

それぞれの概要を解説するので、自社での課題解決の参考にしてください。

サプライチェーンの再構築・強化

先述の通り、近年はパンデミックや自然災害、国際情勢の変化など、予期せぬ事態によってサプライチェーンが混乱するリスクが高まっています。このような状況下で、安定した原料調達や製品製造を継続するには、サプライチェーンの強靭化が不可欠です。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、サプライチェーンの強靭化に向けた取り組みとして、中小企業の約4割、大企業の6割強が「調達先の分散」を実施しています。複数の調達先を確保することで、一部の取引先でトラブルが発生しても、代替の調達ルートを迅速に確保できるようになります。

出典:経済産業省「第2節サプライチェーンの強靭化に向けた取組

また、経済産業省も「製造業を巡る動向と今後の課題(2023)」において、サプライチェーンの見える化の重要性を提唱しています。データプラットフォーム構築などによって、データ連携およびサプライチェーン状況の可視化をすることにより、供給網で生じている問題に対して適切な対策を講じられるようになります。データプラットフォームについては後述するので、そちらも参考にしてください。

参考:経済産業省「製造業を巡る現状と課題 今後の政策の方向性

採用基準・採用活動を見直す

製造業の人材不足に対応するため、採用基準や採用活動の見直しも有効です。例えば、採用条件を柔軟化したり、外国人労働者の雇用を積極的に検討したりすることで、新たな人材の確保が可能です。

また、労働環境の整備も重要な取り組みです。3K(きつい・汚い・危険)といった製造業への従来のイメージを払拭するため、作業環境の改善や安全対策の強化を進めましょう。例えば、作業場の空調設備の充実や、DX化による残業時間の削減などを進めましょう。過度な残業は離職に至る原因となりますが、残業時間を削減することで、人材の定着が期待でき、新規採用にも効果的です。

さらに、工場のVR見学を実施するなど広報活動を工夫することも、求職者に製造業の魅力を伝え、応募を促す上で効果的です。

7つのムダを排除する

製造業では「7つのムダ」が発生しがちですが、各種コストの増加や作業効率の低下を引き起こすため、早期の発見と改善が大切です。

ムダの種類 内容 主な解決策
1.加工 必要以上の精度や品質を求める作業など、不要なプロセスによって時間とコストが失われる状態
  • 工程の標準化
  • 必要な加工レベルの明確化
  • 作業手順の見直し
2.在庫 使用予定のない在庫を抱えることで、管理コストが増加し、保管スペースを圧迫してしまう状態
  • 適正在庫量の設定
  • 需要予測の精度向上
  • ジャストインタイム生産の導入
3.不良・手直し 不良品が発生した際の原因究明や修正作業により、余分な時間とコストが発生する状態
  • 品質管理体制の強化
  • 作業者の教育訓練
  • 過去のナレッジの有効活用
4.手持ち 作業の停止により待ち時間が生じ、労働力が有効活用されない状態
  • 工程間の同期化
  • 作業の平準化
  • フロントローディング
  • 多能工化の推進
5.造りすぎ 需要以上に生産することで、在庫管理コストが増加し、資源が無駄になる状態
  • 需要に応じた生産計画
  • 小ロット生産の実施
  • 生産進捗の可視化
6.動作 作業者の不要な動きや手順により、時間と労力が無駄になる状態
  • 作業動線の最適化
  • 治工具の適切な配置
  • 作業環境の改善
7.運搬 不要な移動や積み上げにより、時間と労力が失われる状態
  • 生産レイアウトの最適化
  • 自動搬送装置の導入
  • 工程間距離の短縮

関連記事:フロントローディングとは?重要な理由やデメリット・対策を解説

これらの解決策は、現場の状況に応じて適切に選択・組み合わせることが重要です。また、継続的な改善活動を通じて、効果を検証しながら進めていきましょう。

DX・AI活用を促進する

製造業の課題を解決するにはDX・AI活用も効果的です。先述の調査でも、「DX・AI活用推進」、すなわちデジタル技術の導入が課題解決手段のトップにランクインしています。

出典:一般社団法人日本能率協会(PRTimes)「次なる成長に向けた日本製造業の課題日本企業の経営課題-製造業編

先述したサプライチェーンの再構築・可視化は、データ連携によっても実現されます。各工程の状況をリアルタイムで把握したり、現場に蓄積されたナレッジを有効活用したりすることで、ボトルネックの発見や改善といった対応が可能となり、効率的な生産体制を構築できます。

デジタル技術の活用例としては、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 過去の知見のデータベース化で、過去の知見や製造情報、発注実績を有効活用
  • プラットフォーム上での受発注により、アナログだと時間のかかる受発注業務を効率化
  • 設計から製造までの一貫したデータ連携(コンカレントエンジニアリング)による開発リードタイムの短縮
  • 生産管理情報のデータ連携による、変動する生産計画への柔軟な対応と生産リードタイムの短縮
  • 3DCADデータなど既存のデジタル化データの一元管理と、部署間共有プラットフォームの構築
  • 工場設備IoTとエッジコンピューティングによる、製造現場起点の情報のリアルタイムな分析・活用 など

※いずれも企業の実例

ナレッジマネジメントの視点がポイント

DX・AIを推進する際には、「ナレッジマネジメント」の視点を持つことも大切です。ナレッジマネジメントは、個人が持つ知識やノウハウを企業全体で共有・活用する経営手法です。製造業では、ベテラン社員の退職に伴う技術継承の課題が深刻化していますが、ナレッジマネジメントを実施することで、熟練工の知識や経験をデジタルデータとして残せ、技術継承を容易に行えるようになります。

例えば、製造現場での作業手順や品質管理のポイント、トラブル対応の事例などをデジタル化して共有することで、若手社員は必要な時に必要な情報にアクセスできます。特に、高度で習得が困難な技術も、手順や判断基準を可視化することで、経験の浅い社員でも再現性の高い作業が可能になります。

また、デジタル化された情報は、社内のどこからでもアクセスできるため、部門を超えた知識共有も促進できます。これにより、従来は特定の社員に依存していた業務の属人化を防ぐことができ、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。

製造業のDX・AI促進の取り組み事例

DX・AIの取り組み内容は企業によって千差万別です。ここでは、設計・調達領域においてデータプラットフォームを導入し、業務の属人化解消や生産性の向上につなげた事例を紹介するので、自社での取り組みの参考にしてください。

ヤンマーホールディングス株式会社:データプラットフォームの構築でノンコア業務の削減

課題・背景

ヤンマーホールディングス株式会社は、バリューチェーンの各工程において、基幹システムやPDM(製品データ管理)システムなどが個別に最適化され、データは個々に孤立しており、連携されていませんでした。特に図面に関する領域では、過去図面やコストの情報を有効活用できず、類似図面の検索も困難だったため、若手の知識習得に時間がかかり、ベテラン社員への業務の偏りが生じていました。

取り組み内容

そこで同社は、製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer」の導入検証を実施。開発・購買・原価など、図面データを扱う部門から50名ほどの検証チームを組成し、課題解消の可能性やROIが100%以上となるかなどを半年間かけて検証しました。導入にあたっては、現場のユーザーが主体的にデジタルツールを活用できる「草の根DX」というコンセプトを掲げ、トップダウンとボトムアップの両面から推進。

成果

検証した結果、図面の検索・選定・査定などの効率化が進みました。また、原価部門では、コストと紐づいたサイズ違いの検索が可能となり、重量とコストの関係性分析が容易になりました。さらに、省人化で生まれた時間を若手社員が本質的な業務に充てられるようになり、部門間でのコミュニケーションも活性化。単なる工数削減にとどまらず、従業員の意識改革や組織文化の変革にもつながっています。

参考:CADDi「ヤンマーホールディングス株式会社様

ハカルプラス株式会社:AI活用により調達業務の属人性を低減

課題・背景

計測機器メーカーのハカルプラス株式会社では、調達業務において2つの課題を抱えていました。1つは、4つの事業部それぞれで必要な専門知識が異なるため、ベテラン社員に業務が集中し属人化が進んでいた点です。もう1つは、調達システムと図面管理システムが別々だったため、図面参照に時間がかかり、業務効率が低下していた点です。

取り組み内容

そこで同社は、経験の浅い社員でも適切な判断ができる環境整備を目指し、見積作成支援システム「CADDi Quote」を導入しました。同システムのAIアシスト機能を活用することで、過去の実績やリピート品の情報を参照できる環境を整えました。また、設計部門が使用している図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」との連携により、調達担当者が必要な図面データにすぐにアクセスできる体制も構築しました。

導入の推進では、特に若手社員からの意見を重視。トライアル期間中に寄せられた前向きな声を参考に、システムの本格導入を決定しました。

成果

導入の結果、サプライヤー選定の時間が10~15分から数分に短縮され、若手社員の活躍の場も広がりました。また、設計部門との情報共有がスムーズになり、部品の手配漏れリスクも大幅に低減。さらに、見積業務の利用状況を数値で確認できるようになり、業務評価の客観性も向上しました。これらにより、業務効率が改善したとともに業務の脱属人化にもつながっています。

参考:CADDi「ハカルプラス株式会社様

まとめ

製造業では人材不足や原材料価格の高騰、サプライチェーンの脆弱性など、複数の課題に直面しています。これらの課題に対しては、サプライチェーンの再構築や採用活動の見直し、7つのムダの排除、そしてDX・AI活用の促進といった解決策が有効です。

DXの一例としては、データプラットフォームCADDi Drawerの活用が有効です。人手不足の解消や生産性向上を果たしたい方は、ぜひ以下の資料をお役立てください。

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キャディ編集部

Authorキャディ編集部

製造業に特化した記事を執筆しています。技術の最新トレンドや業界の動向、生産効率の向上に関する実践的なTipsなど、みなさまが現場で活かせる情報を提供することを目指しています。また、製造現場の課題解決や改善に役立つツールやリソースの紹介も行っています。業界のエキスパートとのインタビューや成功事例の共有を通じて、製造業の未来を切り拓くサポートをしてまいります。