製造業AIデータプラットフォーム CADDi

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社名
信号電材株式会社
設立
1972年10月25日
所在地
福岡県大牟田市新港町
業界
信号・照明機器
事業内容
交通信号機(灯器/箱/柱)、道路用大型構造物(案内板、Nシステムなど)、屋外照明の開発、製造、販売
信号電材株式会社

事例 CADDi Drawer

「守り」から「攻め」へ。 全社改革を1年で加速させた、データ活用が拓く未来への投資戦略

導入前・導入後

①ナレッジ/図面管理:図面管理が製品分類と案件ごとで混在し、かつ保管場所が複数で一元管理されていない。BOMがなくファイルを束ねて保管しているため、図面検索が記憶頼りで、埋もれた図面が多数あり。
②業務プロセス:少量多品種の案件対応に工数が圧迫され、VA/VEなどの改善活動が停滞。 「案件ベース」の慣習から抜け出せずにいた。
③組織/カルチャー:オーナーの指示のもと動く文化が根付き、社員が自ら考える機会が少なかった。 変革には2〜3年かかると想定していた。
④経営/事業戦略:日々の業務に追われ、コストダウンや新規事業創出といった未来への投資にリソースを割けずにいた。

①ナレッジ/図面管理:各社員(担当製品、キャリアによらず)が、キーワードで瞬時に図面へアクセスできる状態に。 約20万もの図面資産を可視化・整理し、活用する土台を構築。
②図面検索時間を劇的に短縮。 効率化で生まれた時間で、長年の課題だった「製品ベース」管理への移行に着手。
③全社を巻き込み、わずか1年で管理体制の移行を着実に実現。 「案件ベース」から「製品ベース」へ、思考様式の転換へ。
④経営/事業戦略:過去最高の売上更新と、社員の労働時間削減を両立。健全な事業成長を遂げながら、創出したリソースをVA/VEや新規事業開発に再配分する計画を策定。持続的に成長できる利益体質への道筋を描く

インタビュー

オーナー経営からの脱却。「社員が自ら考える組織」へ、経営トップが描いた変革の青写真

交通インフラを支える道路信号機のトップメーカー、信号電材株式会社。三代続いた同族経営から組織経営へと転換する中で、代表取締役の東川氏は、長年培われてきた企業文化に大きな課題を感じていた。

 

東川氏
「オーナーの強烈なリーダーシップで牽引されてきた会社なので、社員は素直なのですが、受け身の姿勢が多く主体性に欠ける状態になっていました。そこにすごく危機感がありました。組織経営に切り替わった時、主役である社員が自ら考え行動できなければ、会社は立ち行かなくなる。一人でも多く、主体的な人材を育てることが急務でした」

 

東川氏が社長就任後の2年間で注力したのは、徹底的な「守り」すなわち経営基盤の再構築だった。 理念を社員全員で作り直し、外部から専門人材を登用。 全員が同じ理念のもと、自律的に動ける組織の土台作りに邁進した。 しかし、その過程で、50年の歴史の中で見過ごされてきた根深い問題が明らかになる。それが、技術情報の管理体制の脆弱性であった。


東川氏
「図面の整備すらできていませんでした。大手がやらないような個々の顧客要望に応えることに突き進んできた結果、同じような図面がいくつも存在するなど、体系的な管理がなされていなかった。絡み合ったコンセントのように、どこから手をつけていいか分からない状態だったのです」

オーナー経営からの脱却。「社員が自ら考える組織」へ、経営トップが描いた変革の青写真

「20年前にこれがあったら」経営者をも唸らせた、課題解決への唯一無二の選択肢

経営基盤の脆弱性を象徴していたのが、「案件ごと」の図面をはじめとした情報管理が生む深刻な属人化だった。 過去の図面や関連データなど、あらゆる知見にアクセスするには担当者の記憶に頼るしかなく、会社の貴重な技術資産が埋もれていた。  この課題に真正面から向き合った技術部長の松尾氏は、解決策を模索する中で一つの結論にたどり着く。

 

松尾氏
「一度は導入を見送る話も出ました。しかし、他社プロダクトとの比較を重ね、自社の課題を突き詰めるほど、その解決策は一つしかないと確信に変わりました。弊社が抱えていた案件ベースでの図面を中心とした情報管理の課題を考えると、もう『CADDi 』しかないという結論に至りました」

 

松尾技術部長

 

この「課題を解決できないものを入れても仕方がない」という強い意志は、製造業AIデータプラットフォーム CADDi 及び、アプリケーションである製造業データ活用クラウドCADDi Drawerの導入の大きな推進力となった。導入直後に入社し、客観的な視点を持っていたプロセス改革推進の特命課長である森田氏も、その必要性をすぐに理解したという。

 

森田氏
「当初、
登録品は400種類と聞いていましたが、蓋を開けてみれば3000種類もあり、さらにそれ以外に膨大な重複図面類似図面が存在しました。こういう会社にこそ、このプロダクトは絶対に必要なのだと確信しましたね」

「20年前にこれがあったら」経営者をも唸らせた、課題解決への唯一無二の選択肢

売上過去最高、でも残業は削減。現場の効率化が、事業成長の新たなエンジンとなった

新しいプロダクトの導入に、現場の抵抗はつきものだ。しかし、信号電材ではそのハレーションがほとんど起きなかった。 

 

松尾氏
「『これを使わないと仕事ができない』という強制はしませんでした。『使うと早くなる』『見つからなかったものが見つかる』と、あくまで業務を助ける手段として紹介したのです。結果、蓋を開けてみれば皆が使うようになっていました」 

 

その効果は、目に見える形で経営にもインパクトを与えた。東川社長はその成果を明確に語る。

 

東川氏
「設計メンバーの負荷は確実に下がっています。経営数字で言えば、残業時間に最もインパクトが出ました。今期は売上・利益ともに過去最高を達成しましたが、繁忙期であっても、設計部門は前年度よりも残業時間削減で乗り切れたのです。欠員補充をせず、むしろ数人少ない体制だったにも関わらずです。CADDi導入の効果は間違いなく出ていると感じています」 

 

これは、ITへの投資によって創出したリソースを、未来のために再配分するという経営戦略が結実した瞬間だった。

変革の起爆剤は「図面」にあり。1年で成し遂げた思考様式の転換

CADDi Drawerがもたらした最大の成果は、単なる検索時間の短縮に留まらない。会社全体の“思考様式”を変える、カルチャー変革の起爆剤となったことだ。 

 

誰もが図面をはじめとした情報資産にアクセスできるようになったことで、長年の課題だった「製品ベース」での情報整理へ、会社全体が動き出した。 

 

松尾氏
「『案件ベースから製品ベースへ』と、私が全社に向けて言い続けました。最初は『何を言っているんだ』という雰囲気でしたが、CADDi Drawerで自分たちの状況が可視化されるにつれ、『確かにそうだ』という空気が醸成されていきました」 

 

当初2〜3年かかると想定された管理方式の移行は、わずか1年で実現へと大きく舵を切った。 それは、トップダウンだけでなく、現場から「なぜ、この図面で生産できないのか」という声が上がるなど、  社員一人ひとりが自ら考え、行動し始めた証拠でもあった。ツールの導入が、東川氏が目指した「社員が自ら考える組織」への変革を、劇的に加速させたのだ。

変革の起爆剤は「図面」にあり。1年で成し遂げた思考様式の転換

「泥臭い仕事を、ハイテクに」。データ資産を知的資本に変え、描く「道路インフラの未来」

「守り」の2年間を経て、信号電材は今、「攻め」のフェーズへと移行しつつある。 その先に見据えるのは、壮大なビジョンだ。

 

東川氏
「私たちのビジョンは『道路インフラのワンストップソリューションカンパニー』になることです。まずは交差点、そして将来的には道路全体のインフラを、設計から製造、施工、メンテナンスまで一気通貫で支える存在を目指します」 

 

このビジョンを実現するためのユニークな戦略が、「泥臭い仕事を、ハイテクにやる」ことだと東川氏は語る。

 

東川氏
「私たちは、今後も泥臭く、ローテクなものを作り続けます。しかし、その作り方はハイテクに。CADDi DrawerのようなITツールをフル活用し、圧倒的な効率化を推進する。それが他社にはない価値になると信じています。そのためにも、CADDi Drawerには、過去の図面や関連データという資産から当社の“暗黙知”を“形式知”に変え、次世代へ継承可能な知的資本へと昇華させてくれることを期待しています」 

 

今や「絶対に外せないツール」となったCADDi。  それは単なる図面検索システムではない。長年の慣習という見えない壁を打ち破り、会社の未来を切り拓くための、強力な経営エンジンとなった。信号電材の、日本の安全安心を支え、未来を創る挑戦は、これからも続いていく。

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