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設計DXとは?必要な理由やメリット・成功事例を解説

設計DXとは?必要な理由やメリット・成功事例を解説

設計DXとは?必要な理由やメリット・成功事例を解説

製造業を取り巻く環境は、グローバル競争の激化や顧客ニーズの多様化により、厳しさを増しています。特に設計現場では、熟練設計者の退職に伴う技術伝承の問題や、短納期化への対応、設計品質の向上など、複数の課題が山積みです。

 

さらに近年では、取引先からの3Dデータ要請の増加など、新たな課題も発生し、設計部門の課題は、より複雑化しています。

 

このような状況を打開する手段として注目されているのが「設計DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。設計業務のデジタル化により、設計品質の向上や工数削減、技術伝承の効率化など、多くの課題を解決できる可能性を秘めています。

 

しかし、設計DXを成功させるためには、単にデジタルツールを導入するだけでは不十分です。投資対効果を最大化し、確実に成果を出すためには、段階的な推進方法や注意すべきポイントを押さえておく必要があります。この記事では、設計DXの概要から具体的な推進方法までを解説します。

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目次

設計DXとは?

設計DXとは、製品の設計プロセスにデジタル技術を活用し、業務を効率化する取り組みです。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を活用して業務プロセスを変革します。この考えを設計業務に適用したのが設計DXです。

DX化することで、従来の設計プロセスから、デジタルを基盤とした新しい設計手法へと転換できます。また、設計プロセスのデジタル化によって蓄積されたデータを分析・活用することで、設計ノウハウの共有や設計プロセスの標準化が可能です。

さらに熟練設計者の技術やノウハウをデジタル資産として継承することで、若手設計者の早期育成を支援する効果をもたらします。このように設計DXは、単なるデジタル化を超えて、組織全体の設計能力を高める変革を実現する取り組みといえます。

設計DXが重要視される理由

設計DXが重要視される主な理由としては、人手不足やノウハウ継承問題の深刻化、顧客からのカスタマイズ要求の増加、製品ライフサイクルの短期化が挙げられます。

人手不足やノウハウ継承問題の深刻化

日本の労働生産人口は、年々下がっており、製造業の就業者数も例外なく減り続けています。特に若年就業者(34歳以下)数の減少は著しく、2002年は384万人だったのに対し、2023年は259万人です。

一方で、技術者の高齢化も進んでおり、今後高齢者層が退職すればリソース不足や貴重な技術や知識が失われる可能性は容易に予想できます。製造業が生き残るためには、すでに確保している若手技術者へのノウハウ継承が急務です。

しかし、設計ノウハウは個人に依存する傾向が強く、標準化が進んでいません。そのため、熟練技術者から若手技術者への継承がうまく行われていない現状があります。

例えば、以下のような属人化の課題が発生しています。

  • 過去の類似案件の設計データや図面が、個人のPCやローカルサーバーにしか保存されておらず、他の設計者が参考にできない
  • 特定の部品選定やコスト計算のノウハウがベテラン設計者の経験則に頼っており、若手設計者がその判断基準を学ぶ機会がない
  • 過去の設計変更の経緯や特定の設計判断に至った理由が文書化されておらず、当時の担当者にしか分からない

そこで、デジタル技術を活用し、熟練技術者のノウハウを若手技術者が活かせる業務プロセスの構築が不可欠となってきています。

カスタマイズ要求の増加や製品ライフサイクルの短期化

現代の製造業は、顧客ニーズの多様化という大きな変化に直面しています。従来の大量生産方式では対応しきれないほど、顧客一人ひとりの細かいニーズに応える製品が求められるようになりました。加えて、技術革新のスピードが加速する中で、製品のライフサイクルも短縮化しています。

このような背景から、製造業は製品開発のスピードを上げ、多様なニーズに応えるための柔軟な生産体制を構築する必要性に迫られています。

特に設計部門においては、作業工程を前倒しにするフロントローディングの実施や過去設計資産の有効活用が必要であり、それにはデジタルツールを駆使した設計業務の改革が欠かせません。

設計DXのメリット

設計DXはリードタイムの短縮や品質向上、原価低減などさまざまなメリットをもたらします。この章では、設計DXのメリットを4つ解説します。

設計業務のリードタイムを短縮できる

一例として、欲しい情報にすぐにアクセスできないことが課題でしたが、DX化により、不良品情報やコスト情報への即時アクセスが可能になり、必要な情報を瞬時に確認できます。また、各部門が常に最新データにアクセスできることで、部門間での手戻りも激減します。さらに、過去の設計資産から類似図面を素早く検索できるため、設計時間の短縮にもつながるでしょう。

実際にCADDi Drawerを導入した企業では、年間7000時間もの設計工数削減に成功しています。この大幅な時間短縮により、多くの設計案件に対応できるようになっただけでなく、設計者が新製品開発や設計品質の向上といった、より創造的な業務に時間を充てられるようになりました。

このように、設計DXは単なる業務効率化だけでなく、企業の競争力強化にも貢献する重要な取り組みといえます。

生産性が向上する

過去の図面データや設計資料を紐付けて管理することで、規格違反や不具合事例を設計段階で確認できるようになります。このようにDX化により設計ミスを未然に防ぎ、手戻りや不良品の削減が可能になるのです。

また、変更理由や判断根拠のデータも一元管理されるため、設計変更の経緯を正確に把握できます。

さらに、過去の設計データや不具合情報を体系的に蓄積・活用できるため、同じミスを繰り返すリスクが低減します。このように設計ナレッジを組織の共有資産として活用することで、ベテラン設計者の知見を効果的に活かし、より高品質な設計を実現できるのです。

過去データを活用することで人材育成が楽になる

過去の調達データを体系的に蓄積・活用することで、若手設計者の育成にも大きく貢献します。ベテラン設計者が培ってきたコスト削減のノウハウや、部品選定時の判断基準などを、データとして可視化できるためです。

従来は設計者が部品や材質を選定する際、実際の調達コストを把握できていないケースが大多数でした。しかし、調達部門と連携することで経験の浅い設計者でも、過去の実績データを参照しながら、コストを意識した適切な設計判断を学ぶことができます。

このように、設計DXは調達部門との連携を通じて、より正確なコスト把握と原価低減を実現し、企業の収益性向上に貢献するとともに、次世代の設計者育成も支援します。

他拠点での共有が可能になる

設計DXを推進することで、従来は個人や特定の拠点に偏りがちだった設計情報を、組織全体で共有・活用できるようになります。

たとえ工場が国内外に点在していても、拠点間でクラウド環境を活用することで、リアルタイムでの情報共有が実現するでしょう。

この結果、地理的に制約がある環境においても、急な設計変更やトラブル対応などを迅速に行えます。

設計DXの課題

設計DXにはさまざまなメリットがある一方、課題を明確にできていない、誰が適任かがわからないなど、考慮すべき課題が存在します。この章では設計DXの課題を3つ解説します。

設計DXの目的を明確にできていない

設計DXを推進する上で重要なのが、DXによって「何を実現したいのか」という目的の明確化です。デジタルツールを導入すれば業務が改善されるという誤った認識のまま進めてしまうと、高額な投資を行ったにも関わらず、期待した効果が得られないケースも少なくありません。

また目的が不明確なまま進めると、どのような計画で行えばいいのか、誰を担当者として進めればいいのか、などの問題が発生します。

このような事態を避けるためには、設計DXの目的を明確にすることが不可欠です。まずは、現状の業務プロセスを詳細に分析し、何をどのように改善するか、などを洗い出すことから始めましょう。具体的な目的を明確にすることで、設計DXを効果的に進められます。

誰が適任なのかわからない

設計DXを成功させるためには、適切なプロジェクトリーダーの選定が不可欠です。しかし、多くの企業では「誰を担当者にすべきか」という課題を抱えています。

適切な人材とは、設計部門の現場ニーズを深く理解し、各部門の課題や要望を集約できる能力を持つ人材です。さらに、社内の要望を適切にベンダーに伝え、プロジェクトを着実に前進させられる人材が求められます。

長年の業務プロセスを変えることに不安がある

製造業では長年培われた設計プロセスが根付いており、熟練者のノウハウは企業の重要な強みです。

しかし、DX化によって「これまでの経験やスキルが活かせなくなるのではないか」という不安が現場に広がりがちです。実際、次のような声がよく聞かれます。

「今のやり方で問題なく仕事ができているのに、なぜ変える必要があるのか」
「新しいシステムを使いこなせるか不安だ」

こうした心理的抵抗を軽減するためには、変革の目的と具体的なメリットを丁寧に説明し、DX化が熟練者のノウハウを活かす土台になることを示していきましょう。

設計DXを推進するためのポイント

設計DXを推進するためには、社内全体でDX化の目的を共有したり、段階的に導入したりすることがポイントです。この章でくわしく解説します。

社内全体でDX化の目的を共有する

設計DXを成功に導くためのポイントは、全社での目的共有と段階的な推進にあります。

まず最初に行うべきは現状課題の可視化です。設計業務の工数を詳細に分析し、どの工程で手戻りが発生しているのかを特定することで、自社特有の課題が明確になり、改善すべきポイントが見えてきます。

次に、具体的な目標設定が重要です。DX化によって達成したい数値目標を定め、改善後の業務フローを具体的にイメージします。例えば「設計時間を30%削減」「手戻り件数を半減」といった明確な指標を設定することで、全社員がゴールを共有しやすくなります。

さらに、全社的な推進体制の構築が不可欠です。経営層と現場が定期的に進捗を確認し、意見をすり合わせる場を設けましょう。部門間の垣根を越えた情報共有が促進され、組織全体での取り組みが加速します。

現場と経営層の認識にズレが生じないよう、常にコミュニケーションを図り、両者が同じ方向を向いて推進できる環境を整えることで、設計DXは着実に成果を上げていきます。

自社に最適なシステムを選定・導入する

設計DXを推進するには、自社の課題に合ったシステム選定が重要です。導入前には、現場のニーズとの適合性、クラウド型かオンプレミス型か、費用対効果、サポート体制などを確認しましょう。

例えば、設計業務の初期段階でコスト削減を実現したいなら、発注履歴や調達価格の確認機能、設計時間短縮なら類似図面検索機能が有効です。

また、システム形態において、クラウド型は初期費用を抑えられるメリットに加えて、24時間365日の監視と最新セキュリティ、自動アップデートなどの機能が搭載されています。

一方、オンプレミス型は、自社環境で柔軟にカスタマイズできますが、初期費用や維持費が高く、過度なカスタマイズは将来的にレガシーシステム化するリスクも伴います。双方を比較し、導入の容易さや運用負荷、最新機能への追随性を考慮すると、クラウド型がおすすめです。

ベンダー選定では、自社課題を理解し共に解決策を考えてくれる担当者の存在も重要な選定ポイントです。

段階的に導入する

設計DXを一度に全面導入すると、業務が混乱してかえって生産性が低下するリスクがあります。そのため、段階的な導入アプローチを検討しましょう。

まずは試験的な導入からスタートし、その後デジタルツールの使用範囲を徐々に拡大していきます。この段階では、部門内でのノウハウ共有を重視し、メンバー全員が新しいツールや業務プロセスに習熟できるよう支援します。最終的には全社展開へと移行し、他部門との連携を強化していきましょう。

このように段階を踏んで導入することで、社員の理解度や習熟度に合わせた無理のない展開が可能です。また、各段階で得られた課題や改善点を次のステップに活かすことで、より効果的な設計DXの実現につながります。

設計DXの成功事例

この章では、キャディ株式会社が提供している「CADDi Drawer」の導入事例を2つ紹介します。

日新電機株式会社:CADDi Drawerで設計DXを加速 ― 属人化解消と年間7000時間の工数削減を実現

課題・背景

日新電機株式会社では、設計業務における下記の課題を抱えていました。

課題 内容
図面検索の属人化
  • 既存の図面検索システムでは図番でしか検索できず、ベテラン設計者以外は図面を探し出すことが困難
  • 過去の実績を知るベテラン設計者でしか作業できず、若手設計者が必要な情報を検索することが難しい状況
設計業務以外の業務の負担増
  • 図面検索に時間がかかり、設計者が本来の業務に集中できていない状況
  • 図面を探すなど、設計以外の業務に時間を取られ、本来の業務時間を圧迫

取り組み内容

課題を解決するために図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」の導入を決定し、下記のような取り組みを行いました。

取り組み 内容
推進チームの編成
  • 導入推進チームを編成し、現場の意見を吸い上げながら導入を進めた
  • 現場の設計者が実際にシステムに触れる機会を設け、操作方法を分かりやすく解説する動画を作成
経営層への打診
  • 経営層に対し、導入効果を具体的な数値(業務削減効果)で示し、導入の承認を得た
  • 既存システムがある中での追加投資に対する懐疑的な意見もあったが、現場からの強い要望と具体的な効果予測を提示することで、導入の必要性を粘り強く訴え、理解を得ることに成功した

成果

CADDi Drawerの導入により、下記のような成果を上げています。

成果 内容
大幅な工数削減
  • 設計工数全体で年間7000時間(見込み)の削減効果
  • 新規図面作成が1〜2割抑制され、関連部署を含めた会社全体の工数削減にも貢献
  • 図面検索にかかる時間が8割~9割削減
技術継承の促進と業務効率化の実現
  • 設計検討資料の検索性が向上し、有識者への聞き込みが不要になった
  • 属人化が解消され、組織全体のDX推進や文化変革にも寄与

出典:「日新電機株式会社様」CADDi

株式会社アルファーシステムズ:過去図面は「探せない」から「活かせる」へ。CADDi Drawerで挑む技術継承とDX推進

課題・背景

株式会社アルファーシステムズは、下記のような課題を抱えていました。

課題 内容
技術継承が進まない
  • 過去図面の活用が個人裁量に委ねられ、統一されたルールやプロセスが存在しな
  • 30代と50~60代が多く、世代間ギャップが存在している
設計工数やミスの増大
  • 設計情報が探しにくく、作図工数の増大や品質面の課題を引き起こしていた
  • 設計から部品表への転記ミスが発生し、1~2週間の遅延が発生

取り組み内容

課題を解決するために、CADDi Drawerの導入を決め、下記のような取り組みを行います。

取り組み 内容

CADDiの機能を応用

  • CADDi Drawerの機能を応用し、部品表チェッカーを自社開発した
  • CADDi社のカスタマーサクセスチームと連携し、週次の定例ミーティングを通じて導入を推進した

成果

CADDi Drawerの導入により、下記のような成果を出しています。

成果 内容
設計業務の標準化
  • 部品表チェッカーにより、部品と組図の整合性をより早く正確に担保できるようになった
  • 若手設計者を中心にCADDi Drawerの活用が進み、「CADDi Drawerで探す」という工程が業務に加わった
DX推進への可能性 キャディ社の伴走支援により、社内だけでは困難だったDX推進を着実に進めることができた

出典:「株式会社アルファーシステムズ」CADDi

まとめ

設計DXは、製造業の競争力を高める重要な取り組みです。人材不足や技術伝承の課題を抱える日本の製造業において、設計DXは避けては通れない道となっています。

設計DXを導入することで、設計業務のリードタイム短縮による生産性や品質の向上などのメリットが得られるでしょう。一方で、設計DXの目的が明確ではなかったり、設計DXを推進するための適任者がわからなかったりなどの課題も存在します。これらの課題を克服するためには、経営層を含めた全社的な目的の共有と、小規模なプロジェクトからの段階的な導入が有効です。

具体的な取り組みとして、CADDi Drawer(キャディドロワー)の導入がおすすめです。CADDi DrawerはAIを活用した図面検索機能により、設計に必要な過去図面を瞬時に検索できます。また、図面の関連情報や資料を紐付けできるため、設計段階での不良箇所や設計ミスを早期に発見でき、手戻りや不良品発生リスクを大幅に軽減できます。

設計業務のリードタイム短縮や品質向上を目指す企業様は、ぜひCADDi Drawerの導入をご検討ください。

キャディ編集部

Authorキャディ編集部

製造業に特化した記事を執筆しています。技術の最新トレンドや業界の動向、生産効率の向上に関する実践的なTipsなど、みなさまが現場で活かせる情報を提供することを目指しています。また、製造現場の課題解決や改善に役立つツールやリソースの紹介も行っています。業界のエキスパートとのインタビューや成功事例の共有を通じて、製造業の未来を切り拓くサポートをしてまいります。