「売上250億円を目指す」。水、大気、ガスという社会インフラを支える計測器メーカー、東亜ディーケーケーが掲げた新たな成長戦略。その中核を担う狭山インテグレーションセンター(以下:埼玉事業所)では、開発と生産が一体となった、迅速で高品質なものづくり体制の構築が急務とされていました。しかし、その理想の前に立ちはだかっていたのが、部門間に存在する長年の“見えない壁”でした。
取締役であり、埼玉事業所を率いる工藤氏は、当時のもどかしさをこう語ります。
工藤氏
「生産現場には『もっと早くこうしていれば』『設計する前にこう作ってくれれば』という声なき声がありました。しかし、それを待っているだけでは物は良くならない。開発からの指示をただこなすだけの一方通行の関係性を、どうしても変える必要があったのです」
この課題は、設計側も同様でした。担当機種の情報には精通していても、他機種の膨大な図面資産は、まさに宝の持ち腐れ。情報を得るには「知っていそうな人に聞く」しかなく、その人がいなければ探すことすらできない。 この属人化こそが、全部門が一体となって目標へ向かう上での大きな足かせとなっていました。






