製造業AIデータプラットフォーム CADDi

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社名
株式会社モリタアンドカンパニー
業界
ばね製造機械など各種専用機
事業内容
ばね製造機械(熱間コイルばね製造機械、冷間コイルばね製造機械、板ばね製造機械、スタビライザーバー製造機械)、電気電子部品製造機械、航空機部品製造機械、樹脂製梱包材製造機械など各種専用機の設計・製造販売。協働ロボットTechManの輸入販売
株式会社モリタアンドカンパニー

事例 CADDi Quote

月間1,425分の業務工数削減や約429万円の原価低減を実現!部署の“危機”を救ったCADDi Quoteで属人化解消を超え、「採用条件緩和」という経営変革へ

導入前・導入後

①業務体制:見積・手配業務が特定の担当者に集中。担当者不在時には業務が完全に停止するリスクを抱えていた。②採用活動:専門的な加工知識を持つ「機械加工の経験者」であることが「人柄重視」に加え採用の必須条件だった。③見積プロセス:手間がかかるため、相見積もりは限定的。発注の意思決定プロセスも記録されず、ブラックボックス化していた。

①業務体制:担当者不在時でも、チーム全員が進捗を把握し、業務を代替可能に。自然な業務分担が実現した。②採用活動:採用条件を「人柄重視」のみに緩和することに成功。DX推進企業としてのアピールにも繋がり、採用競争力が向上。③見積プロセス:全見積依頼が容易になり、毎週のように相見積もりを実施。発注に至るプロセスがデータとして蓄積され、次の意思決定に活用できるようになった。

インタビュー

導入に社内から反発も。逆境から始まった調達改革の挑戦

 

以前から製造業AIデータプラットフォームCADDiを導入・活用していたモリタアンドカンパニーが、「見積のアプリケーションもある」と聞き、自然な流れで導入を決めたのが、製造業AI見積クラウドCADDi Quoteだった。しかし、生産管理セクションでメイン担当を任された、生産本部製造部グループリーダーの水野氏の第一印象は、決してポジティブなものではなかった。

 

水野氏
「10年前に顧客が導入した同様のWebシステムを使った経験がありましたが、正直、そのときの機能より特段優っているとは思いませんでした」

 

既存の発注システムに慣れ親しんだ社内からの反応も厳しく、特に一部のメンバーからは「使いづらい」などと猛烈な反発を受けたという。

 

逆境からのスタートだったが、水野氏は諦めなかった。会社として大きな投資をしているという事実、そして担当者として任命された責任感から試行錯誤を続けた。キャディのCSによる伴走支援の下、CADDi Quoteが驚くべきスピードで機能改善を重ねていく様子を目の当たりにし、その更新内容を毎週のように粘り強くチーム内外に共有。「こんなことができるようになった」「ここがすごく便利だよ」と、その価値を説いて回った。

突然訪れた2週間の業務停滞。危機的状況がチームを変えた

 

向かい風の中で奮闘を続けるチームに、予期せぬ事態が襲いかかる。手配業務のメイン担当者であった岡本氏が、新型コロナウイルス感染により突然1週間の不在。周りのメンバーは問い合わせが来ても状況が分からず、業務は滞った。さらに、ようやく復帰すると思われた矢先、身内の不幸が重なり、さらに1週間不在が延長。合計2週間、主要業務が完全にストップするという危機的状況に陥った。

 

水野氏
「これは大変な事態だ、と。納期のある案件も残っており、どうしようかと頭を抱えました。そこで、藁にもすがる思いで『一度CADDi Quoteを使ってみよう』という話になったんです」

 

使ってみて、チームは驚いた。誰が、どの案件を、どこまで進めているのかが一目瞭然だったのである。これまで岡本氏しか把握していなかった情報が共有され、残されたメンバーでもスムーズに業務を引き継ぐことができた。この経験をきっかけに、当初は導入を渋っていたメンバーの一人である吉川氏が「意外と便利だよ。みんな一度使ってみようよ」と口にした。この後、社内の空気が劇的に変わり、CADDi Quoteの活用が一気に進み始めることになる。

チーム全員が実感した「三つの価値」。月間1,425分の業務工数削減や約429万円の原価低減を実現

 

危機を乗り越えた経験は、チームメンバーそれぞれにCADDi Quoteの具体的な価値を実感させるきっかけとなった。

 

 

1.「誰がどこまでやったか」が見える、進捗の可視化

 

CADDi Quoteによる進捗状況の可視化に、最も大きな価値を感じていたのは吉川氏だった。

 

吉川氏
「やはり、誰がどこまでやっていたかが分かるのが一番です。私や水野が『ここまで見積依頼したよ』と連絡しておけば、岡本がそれを見て『回答が来たから、こっちで進めておきます』というように、状況が見えるのがいいですね」

 

この「状況の見える化」は、それまで岡本氏に集中しがちだった業務負荷の分散を促した。

 

水野氏
「今では吉川が本当に普通に見積手配をやってくれるようになり、業務の流れがものすごく良くなりました。自然に業務が分担され、属人化の解消に繋がっています」

 

 

2. ミスが減り、プロセスが資産になる

 

ベトナム出身のバオ氏は、工数短縮やミスの削減、そして「プロセスの資産化」という新たな価値を語る。

 

バオ氏
「以前の調達業務では、メールを書き、図面を探して添付して…と手間がかかり、会社名やアドレスの間違いがないか、ものすごく煩雑なチェックも必要でした。今は本当に気軽に発注プロセスを処理できます。そして何より、発注のプロセスが分かるようになったのが大きい。例えば『A社1200円、B社1500円、C社1000円で、結果C社に発注した』という経緯や判断の根拠がデータとして残る。これが次の発注時の判断材料になります」

 

 

3. 専門知識がなくても使える、操作の簡易性

 

加工の専門知識が深くないという岡本氏も、CADDi Quoteの使いやすさを評価している。

 

岡本氏
「私自身は図面や加工の知識が深いわけではないのですが、それでも使いやすいです。操作がすごく簡単で楽なので、誰でも難なく使えると思います。わざわざ時間をかけて図面を探すということもなくなりました」

 

具体的なCADDi Quote導入の効果としては、月間1,425分の業務工数削減を達成。年間では約115万円の削減効果を見込む。また、最安サプライヤーへの発注の観点で、原価コスト約429万円の削減効果も現れている。

価値は「業務効率化」の先に。採用条件をも変えたデータ活用の力

 

CADDi Quoteがもたらした「属人化の解消」は、同社の経営、特に「採用」という重要課題にまで大きなインパクトを与えた。

 

従来、同社の見積・手配担当者の採用は「人柄重視」に加え、図面を見て加工時間を査定できる「機械加工の経験者」であることが必須だった。しかし、AIによるサプライヤー選定の補助などにより、専門知識がなくとも標準以上の成果が出せるようになった。

 

水野氏
「この変化を受け、採用条件を『機械加工の経験者』から『人当たりの良さ』へと緩和する、という大きな決断を下しました。結果、新たな人材の採用に成功し、また面接で実際にCADDi Quoteを触ってもらったことが入社の決め手の一つにもなりました」

個の力が輝くDXへ。社員のポテンシャルを解放する製造業AIデータプラットフォームCADDi

 

CADDi Quoteによる業務変革と並行し、同社ではCADDiを舞台にした、ある画期的なイノベーションが生まれていた。主役は上述のように、自身の不在が改革のきっかけとなった、手配業務のメイン担当者・岡本氏だ。

 

マクロ作成を得意とする岡本氏は、社内の「組図を見ながら、その構成部品図を一覧で見たい」という声に応え、CADDiのアプリケーションである製造業データ活用クラウドCADDi Drawer上のデータを活用。

 

組図から部品図へ、そして部品図からそれが使われている組図へと、双方向に参照できる画期的な機能を実現するマクロを開発したのである。これまで分断されていた図面情報を見事に連携させ、業務効率を飛躍的に向上させた。

 

この素晴らしい成果は、普段は挨拶を交わす程度の兼廣社長の耳にも届いた。水野氏がこの取り組みを報告すると、社長は「すごい」と称賛。岡本氏のデスクに立ち寄って「素晴らしい取り組みですね。これからも頑張ってください」と激励の言葉をかけたという。岡本氏の主体的な活動と功績が、経営トップに認められた瞬間だった。

 

このエピソードは、兼廣社長が常々語っていた「世界の中小企業のロールモデルになる」、そして「(社員をはじめとした)人の可能性を最大化したい」という想いを、まさに体現するものだった。CADDi QuoteやCADDi DrawerのベースであるCADDiは、単に業務を効率化するだけでなく、社員一人ひとりが持つ潜在能力やアイデアを引き出し、形にするためのプラットフォームとして機能し始めている。

「CADDi Quoteがないと仕事が進まない」―調達を超えた全社変革の核へ、未来への展望

今やチームにとって、CADDi Quoteは不可欠なアプリケーションとなった。

 

バオ氏
「もうCADDi Quoteがないと、なかなか仕事が進められません。生産管理のメンバーの間では、皆これが一番いいソリューションだと思っているからこそ使っているのだと思います」

 

この成功体験の裏側には、ユーザーの声に真摯に耳を傾け、改善を重ねてきたキャディとの密な連携があった。同社特有の図面番号の読み取り間違いといった課題に対しても、キャディのカスタマーサクセス部門の担当者が日々現場で密に伴走し、裏側で自動置換の仕組みを構築するなど、迅速に対応してきた。

 

水野氏は未来をこう見据える。

 

水野氏
「キャディが主催するイベントで他社さんの話を聞くたびに、大きな刺激を受けています。今後は製造業AIデータプラットフォームCADDiの活用を全部署に広げ、図面だけでなく写真やドキュメントなども含めた様々なデータをCADDi上で集約していきたい。AIを本格的に活用できる状態にいち早く移行できるよう、準備を進めていきます」

 

一度は「使いづらい」とまで言われたアプリケーションが、チームの危機を救い、採用戦略を変え、そして会社全体の変革を牽引するエンジンになろうとしている。彼らの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

 

 

── 兼廣明生 代表取締役社長のメッセージ ──

 

CADDi Quoteの導入は、単なる業務効率化ではなく、我々の『人の可能性の最大化』という理念を体現する取り組みになりました。本件については、水野を筆頭に生産管理のメンバーが本当によく頑張ってくれています。特に、岡本のマクロ開発は、まさに社員一人ひとりが持つ潜在能力が解放された好例です。

 

私たちが目指す『世界の中小企業のロールモデル』への道は、このように社員が自ら挑戦し、成長できる環境づくりから始まります。今後も、会社全体で、DX等の様々な挑戦をすることを通じて、社員と会社の可能性を広げ、製造業、社会全体の未来を切り開く一助となれればと考えています。

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