業界トップレベルのアルマイト処理技術で、多くの顧客から信頼を寄せられるイズミテクノ。しかし、その輝かしい実績の裏で、同社は事業の成長を阻む、深刻な経営課題に直面していた。DXプロジェクト推進責任者である上島氏は、当時の状況をこう語る。
上島氏
「一つは、見積に莫大なリソースがかかり、思うような営業活動ができていないこと。二つ目は、人材の育成に非常に苦慮していたことです。この二つの課題に対して、何とか対応するしかない、という状況でした」
その言葉を裏付けるように、プロジェクト推進兼現場の営業担当者である今井氏は、見積業務の過酷さを吐露する。
今井氏
「日によって枚数は変わりますが、年間でならすと大体10,000件ほどになります。多い日には1日で100件を超えることもありました。見積できる人数も限られていたため、正直なところ、私は外回りもできませんでした」
本来、顧客と向き合い、新たな価値提案を行うべき営業部門が、実質的に内勤の見積対応チームと化してしまっていた。この「守り」に忙殺される状況が、もう一つの課題である「人材育成の停滞」にも繋がっていたのである。





