3年前、展示会で製造業データ活用クラウドCADDi Drawerと出会った瞬間、同社でDXを推進する剱持氏は「図面などの技術資料を取り扱う会社にしてみれば、それはもう福音でしかない」と感じたという。製造業AIデータプラットフォームCADDiは、点在する情報を構造化し、統合。CADDi Drawerをはじめとしたアプリケーションでデータ活用を実現するプロダクトである。 多くの企業が変化を嫌い、導入に二の足を踏む中、富士油圧精機が迅速な意思決定を下せた背景には、独自の捉え方があった。
剱持氏「多くの方は、こうしたツール導入を設備投資だと誤解されています。 我々が早い段階で気づいたのは、これは設備投資じゃない、『スーパーエリート社員を1人入れるようなものだ』ということです。 24時間いつでも誰の要求にも瞬時に答えを出し、知識を持ったまま辞めることもない。 そんな社員をいくらで雇いますか、という話です」
同社は短期的な費用対効果をあえて問わず、まず1年かけて社内に定着させることを最優先した。 それは、CADDi Drawerは目先の業務改善ツールではなく、会社の未来を支える「インフラ」になると確信していたからに他ならない。 この「30年来欲していた解決策を得た」という感覚こそが、変革の原動力となった。