世界最先端のモノづくりを成し遂げるため「ひとつのSUBARU化」を進め、バリューチェーンデータの全社標準化を目指す
株式会社SUBARU
- 設立
- 1953年(昭和28年)7月15日(創業:1917年(大正6年5月))
- 従業員数
- 17,347人(連結会社 合計37,693人)(2024年3月31日現在)
- 売上高
- 47,029億円
- 事業内容
- 【自動車】自動車ならびにその部品の製造、修理および販売 【航空宇宙】航空機、宇宙関連機器ならびにその部品の製造、販売および修理
- お話いただいた方
-
コストイノベーション推進部 EP企画 主査 井戸 正照氏
EP企画 第一担当 担当 松村 圭氏, 大谷 祐司氏, 高橋 海都氏, 松岡 裕征氏, 榎本 匡志氏, 山田 琴枝氏
Before
図面に関する情報を設計部門に問い合わせても、多忙により返答が1週間後ということも。
After
問い合わせ不要で情報を検索・収集できるようになり、約数百時間/月の非生産的作業の削減に成功。
Before
図面に関する情報を設計部門に問い合わせても、多忙により返答が1週間後ということも。
After
問い合わせ不要で情報を検索・収集できるようになり、約数百時間/月の非生産的作業の削減に成功。
100年に一度の自動車産業の変革に対応するため、生産性の向上が急務に。
現在、自動車産業は異業種からの参入なども含めた100年に一度の変革期にあると言われ、CASE(Connected、Autonomous/Automated、Shared、Electric)とも表される4つの構造変化が起こっている。製品だけでなく、製造方法の改革も求められる中、「新経営体制における方針」を発表した株式会社SUBARU。重要なテーマの一つである「ひとつのSUBARU化」を推進し、柔軟でスピード感を持った風土・体制に立ち返り、製造・開発・サプライチェーンを高密度に繋げることによるモノづくりの生産性向上を掲げている。こうした中で、コストイノベーション推進部はビジネスモデルを含む原価に関する課題の形成・企画を中心に、組織全体に横串を通す部門として新設された。
SUBARUでは、新経営体制の下で「モノづくり革新」と「価値づくり」において世界最先端であることを目指している。「モノづくり革新」においては、各部門の各組織が自部門の領域において、各々の目標をリレー方式で達成するという現在の状態を変え、手番、部品数、工程を1/2にする取り組みを進めている。その一つが、非生産的な作業の削減である。
画像出典:https://www.subaru.co.jp/outline/about/policy/
これまで、設計部門で作成された図面は後工程の調達部門、製造部門等でも必要とされる一方、既存のシステムでは品番や品名、設計通知書ナンバーなどの基本情報がなければ検索ができなかった。多忙な設計部門に問い合わせをしても回答に1~2週間かかることも多く、問い合わせの度に業務が停滞していた。また設計部門内でも、異なる領域の設計者や、新人・経験の浅い担当者は、図面を探し出すのは困難だった。
図面データを部門横断で可視化し、活用することにより、全社で約数百時間/月の非生産的作業の削減に成功。
過去の資産である図面を活かし、非生産的な作業を減らす方法を検討していたSUBARU。図面データ活用クラウドのCADDi Drawerがその糸口になり得ると考えた。コストイノベーション推進部の松村氏は導入の経緯を次のように語った。
「私は20年ほど設計の経験があります。設計の仕事の中でも図面を探す時間は多く、時には成果と結び付き、評価をされることもありましたが、図面を探す時間が無ければ、より付加価値を生む仕事ができたと考えています。CADDi Drawerは役員からの紹介で知りましたが、自分の経験から、すぐに活用のイメージが湧き、導入すべきだと推進者側に回ることが出来ました。」
CADDi Drawerの導入後、図面の探索および問い合わせにかかっていた時間が、全社で1ヶ月あたりおよそ約数百時間削減された。今後、各部門での活用が進むことで、その削減効果は数倍に及ぶことが予想されている。
また、コストイノベーション推進部の井戸氏は、CADDi Drawer導入の効果について次のように話す。
「図面や製造に関わるデータを扱うソリューションでは、データを沢山集めて貯めていくだけのものが多いですが、CADDi Drawerは、データをどう分析するか、どう活かすかというところまで同じシステム上で行えます。例えば、値段が違うAとBの類似図面において、何がコストの変動要因になっているのか、技術的な観点で検討するための過去情報を得ることができます。このように貯めたデータをどのように活用するかというソリューションに重きが置かれていることが大変良いと思いました。これまでは図面に書かれている内容に対して何か知りたいときは、その都度設計者に問い合わせるしか知る術がありませんでしたが、今やCADDi Drawerは、図面を作る側と使う側、過去と未来をつなげるツールとしてなくてはならないものとなりました。」
「ひとつのSUBARU化」を掲げ、CADDi Drawerを全社で活用し、世界最先端のモノづくりの実現を目指す
導入は、人材育成にも効果があった。以前は、異なる領域の設計者や、新人・経験の浅い設計者には、図面を探すために図番まで教える必要があった。導入後は、品名や素材などの図面に記入された文字もキーワードにして検索できるので、問い合わせ不要で自ら図面データを探し出すことが可能になった。
松村氏
「今までは図番が分からないと図面を検索することができず、設計部門に問い合わせをしたくても、その問い合わせ先がどこになるのかということから確認する必要がありました。今は図番が分からなくても部品名で検索することができます。例えば『バンパー』と入れれば瞬時にその図面を見つけることが可能となり、情報を入手しやすくなったので、検討や判断に参考に出来る情報量が導入前よりも圧倒的に増えました。また、自分で調べて情報を得られるサイクルが学習になるので、CADDi Drawerを使っている人は技術力が確実に上がっています。導入による新たな付加価値の創出や、創造力の進化、人材育成に対する効果は計り知れないと感じており、今後はDrawerを起点にコミュニケーションが活性化することに期待したいと思っています。企画から構想、ものづくり、アフターまで、サプライチェーン全体で全員が使っている環境を目指したいです。」
現在、コストイノベーション推進部が中心となって、社内へCADDi Drawerに関する情報発信を積極的に行っている。これによる共感から、積極的に活用する人が徐々に増え、その利用者たちがキーマンとなって利用の促進を推進している。
コストイノベーション推進部の大谷氏は、活用状況を次のように語った。
「利用者にヒアリングをすると、もうCADDi Drawerなしの業務は想像ができない、との声も上がっています。感度の高い方は、価値を理解して積極的に活用してくれています。これからもっと活用部署を広めることで、古い体制を変革して理想とする生産性の高い仕事の仕方を実現できると考えています。」
SUBARUでは「ひとつのSUBARU化」を掲げている。この実現に向けてCADDi Drawerが全社で当たり前に使えるものとして広げていくことを考えている。業務において最初に立ち上げるツールがCADDi Drawerでありたい。設計や製造部門に加え、子会社や海外の関連会社、サプライヤーも含め、グループ全体で活用することで、新経営体制に掲げる「ひとつのSUBARU化」による世界最先端のモノづくりを成し遂げようとしている。