誰でも短時間で類似図面が検索できるようになり、紐づけられた発注実績で最適なサプライヤーを選定。調達価格ブレも解消。
樫山工業株式会社
- 設立
- 1951年1月10日
- 従業員数
- 連結 1374名、単独 801名
- 売上高
- 連結 487億円、単独 379億円
- 事業内容
- ドライ真空ポンプ、水封式真空ポンプ、海水ポンプ、スノーマシン、スキー場開発、ワイナリービジネス
- お話いただいた方
-
生産統括本部 調達部 副部長 仲谷 功太郎氏
生産統括本部 調達部 原 京平氏
Before
設計や調達で属人化が進み、新図が多く作られ、調達価格に大きなブレが生じることがあった。
After
類似図面と発注実績を誰でも直ちに探すことが出来るようになり、業務効率化、原価低減、標準化推進が達成される。
Before
設計や調達で属人化が進み、新図が多く作られ、調達価格に大きなブレが生じることがあった。
After
類似図面と発注実績を誰でも直ちに探すことが出来るようになり、業務効率化、原価低減、標準化推進が達成される。
図面を探すことが困難で、設計、調達業務の属人化が進む
樫山工業株式会社は、1986年に主力製品となるドライ真空ポンプの開発に成功し、多くの真空機器の製造・開発を行ってきた。「速く 少なく 簡単に」を社内全体の行動指針として掲げる樫山工業の製品は、業界ニーズに素早く対応することにより市場で高い評価を受けている。ドライ真空ポンプの業界シェアは、世界でトップクラスに位置しており、半導体や液晶パネルの製造では必要不可欠な存在だ。
樫山工業では加工部門を持ち、製品の性能を決める重要なパーツについては自社で加工を行ってきた。それ以外の部品は様々なサプライヤーへ発注している。1台の製品に使われる部品数は多いもので100種類にもなり、全種類の製品の部品を合計すると、1万5千種類もの部品が常時取り扱われてきた。また、樫山工業で製造する製品は、ベースとなる製品に対して、お客様の仕様に合わせた一品一葉の特殊品設計が多く行われる。それぞれのお客様ごとに図面が作成されるので、日々膨大な図面が作られていた。
図面は近年導入された図面管理システム内に保存されている。しかし、図面の詳細は設計担当者や、発注に関わった調達担当者しか分からない状態であり、過去の類似案件の図面を探すには、担当者に聞くか、予測して1枚ずつ見ていくしか方法がなかった。該当図面の検索に膨大な時間が必要となる。さらに、発注実績のデータと図面データは別のシステムで管理されていたため、該当図面が見つかったとしても、図面が使われた発注履歴を探すために発注管理のシステムを新たに開く必要があった。
発注は本来、複数のサプライヤーを比べ、最適なサプライヤーを選択することが望ましい。しかし、納期優先の案件も多く、選択は調達部担当者の経験に頼る部分が多くなっていた。このため、発注業務の属人化が進み、同じような案件でも、調達価格に最大で2、30%ものブレが生じることがあった。また、設計部門においても、検索に時間がかかるので、使用可能な類似案件の図面を使わず、新図を作成していることが多かった。過去の図面や知見の活用は設計者の経験に頼ることになる。こちらでも属人化が進んでいた。
図面の検索が誰でも短時間で出来るようになり、属人化、調達価格ブレが解消
樫山工業では、設計、調達の脱属人化や調達価格のブレ削減、部品共通化による、業務効率化、原価低減、標準化推進を考えていた。半導体需要増大により、ドライ真空ポンプの需要も今後更に拡大していく。ニーズへの素早い対応のためにも、対応が急務であった。
新たなシステムを探していた樫山工業は、図面データ活用クラウドCADDi Drawerを提案される。トライアルで使用した結果、導入を決定した。「とても使いやすかった。既存の図面管理システムで手の届かなかったところが、CADDi Drawerだとできたのは、導入の決め手の一つです。」と原氏は導入の経緯を語った。
導入により、調達部門の業務効率は大きく改善した。CADDi Drawerでは、登録した図面の備考欄に記載された内容でもキーワード検索ができる。これにより、類似図面を探す時間は、聞いたり、予測して見て探していたりしていた時と比べ、圧倒的に短縮された。誰でも容易に探すことも出来る。検索された類似図面と発注実績が紐づけられているので、システムを何度も行き来する必要も無くなった。これにより、手配する部品の情報を得てから、サプライヤーを選定して最終的に発注を行うまでの時間は、平均で60%以上削減された。
直ちに検索できることにより、経験に頼ることなく、誰でも過去の実績値をもとに最適なサプライヤーを選定することも出来るようになった。調達価格のブレが無くなり、調達コストを抑えることも出来る。また、類似部品を活用することが容易になったことによる効果もある。以前はロット数を増やすことによる量産効果でコストダウンをすることが中心だったが、より価格が抑えられた類似部品への変更や、部品の共通化などによるコスト削減も可能になった。業務効率化、原価低減、標準化推進の目的が、CADDi Drawerにより達成されたのだ。
部門間の連携を強化し、更なる業務効率化、原価低減、標準化推進を進める
導入の効果は設計部門にも及んだ。類似図面を容易に探せるようになったことで、設計時の参考にすることができ、部品の共通化を検討できるようになった。これにより、新図作成数が削減される。新図を作成する場合にも、過去の図面が活用しやすくなった。経験の浅い設計者が過去の図面を参考に設計を進める際には、経験豊富な設計者に似た図面が無いか聞きにいくのが通常だった。CADDi Drawerを使用すれば、その手間もいらなくなる。過去の設計の知見を、どのレベルの設計者も容易に活用できるようになったのだ。
仲谷氏は、CADDi Drawerを活用した将来の展望について次のように語った。「最初は導入プロジェクトの形で、設計、調達がメインでやっていました。将来は製造や生産技術、品質保証などの部門も入れたプロジェクトとして運用していきたいと思っています。例えば、製品に何か問題があった場合には、類似部品や関連製品などに同じ影響がないか、品質保証が調査を行い各部門へ水平展開します。CADDi Drawerを使うことで、部門間でのやり取りがやりやすくなる。部門をまたいで設計方法やコスト削減を提案するような連携が取れるようになればよいと考えています。」
樫山工業は、「速く 少なく 簡単に」を今後も実践し、改善の努力と挑戦を続けていく方針だ。