目の前の誰かの負を解消し、手触り感のある仕事がしたい
――西本さんは前職でデータサイエンティストをなさっていたと聞きました。具体的にどのような仕事をしていたのですか?
自社で運営している不動産情報サイトに対して、効率的に集客するためのアルゴリズムを構築していました。限られた予算内で、どの媒体にどのくらい広告宣伝費を投資したらカスタマーの流入を最大化できるかを分析していたのです。分析結果は、マーケターが運用するプロダクトとして提供していました。
――転職しようと思った理由を教えてください。
仕事に手触り感が欲しくなったんです。前職でのステークホルダーは基本的に社内の人間で、実際にサービスを利用している顧客に対して、どのような価値を提供できているのかがわかりませんでした。
また当時所属していた部署では、「このデータがあるから、何かに活用できないか」「とりあえずやってみよう」から始まるプロジェクトが多かったんですね。つまり課題ベースではなく手段ベース。そうではなく、目の前の誰かのペインを解消するなど、課題をスタート地点にした仕事がしたい、その課題を解決するためにスキルや時間を使いたいな、と。
そんなことを考えつつ「面白そうな仕事はないかな」と転職先を探していたら、Wantedlyでキャディを見つけました。調べてみたら、製造業が抱える構造的な大きな負に正面から挑むなんて大胆な会社だなと興味が湧いて。何より、誰の課題を解決しようとしているのかが明確なところに惹かれました。
――製造業にはもともと興味があったのですか?
製造業だけでなく、小売業や農林・水産業など、生活に根ざしているモノにおけるサプライチェーンに興味がありました。僕らの生活に密接しているのに、これらの仕組みをあまり知らないことや、そこに存在している不を解かないで時代ばかりが前に進み続けることに、何となく違和感を感じていたんです。
どうせ誰かの課題を解決するなら、製造業のように身近な存在の不を解決することに貢献したいと思ったのもキャディを選んだ理由の一つです。
――そうだったのですね。ではキャディへの入社の決め手を教えてください。
大きく分けて3つあります。
1つ目が手触り感のある仕事ができそうだったから。前述しましたが、誰の課題を解決しようとしているのかが明確なため、その解決具合を実感しながら仕事に取り組めると感じました。
2つ目が市場規模の大きさ。投資金額や人、モノなど全てのスケールが大きいので、大きなインパクトが出せるだろうと考えました。
3つ目が多角的な挑戦ができること。キャディと並列で検討していた会社は、開発オンリーでスペシャリストになることを求められました。僕は開発だけでなく、フロントにも立ってビジネス的な課題解決に寄与したいと思っていたので、キャディへの入社を決めたのです。
周りの人に協力してもらいながら、実地でスキルを身につけた
――コストモデルチームでは、エンジニアリングとBizDevの両面スキルが求められます。前者は前職ですでに経験を積んでいたと思いますが、後者など持っていなかったスキルはどのように身につけていったのでしょうか?
入社時点で僕に足りていなかったスキルは2つ。
1つ目は製造工程をモデル化できるだけのドメインナレッジとキャッチアップ力。主に加工知識が求められました。必要な知識を書籍などでインプットしつつ、とにかく現場に行ってモノを見せてもらったり、人に聞いたりして学んでいきましたね。
2つ目がサプライヤーの経営層から信頼を勝ち得て交渉するBizDev的スキル。基本的には実地で学んでいきました。先輩メンバーの商談資料を見せてもらったり、同席させてもらって気づきをまとめたり。自分で商談に行くようになった当初は、その様子を録画・録音して上長にフィードバックしてもらっていましたね。
そうやって経験を積み重ねていくうちに、人との交渉に社内か社外かはあまり関係ないということに気づいて。社内での交渉は前職でもやっていたので、その経験を活かしながら相手の心を動かす方法を日々模索しています。
――上長からフィードバックをもらっていたとのことですが、特に学びに繋がった言葉があったら教えてください!
「相手の理解度やコンテキストに合わせて言葉を選ぶと良いよ」ですね。
これはデータサイエンティスト出身者のあるあるかもしれないのですが、ついITの専門用語を使ってしまうんです(笑)。相手に伝わらない言葉を使っていては、交渉がうまくいくはずがありません。
また相手に「ここが課題」と気づかせてあげるためにも、このアドバイスは有用です。
あるサプライヤーに見積りをデジタル化するサービスについて説明したら、「うちは見積り担当者が一人いて、十分に回っているから大丈夫」と言われました。現状は確かにそうかもしれませんが、その方はすでに50代。退職なさったあと、代わりになる人がいません。
前述したフィードバックを踏まえて、外から見た現状を相手の立場になってお話ししたら、「見積りが属人化していることが課題」だということに共感いただけて、サービス構築に必要な情報提供などに繋がりました。
人は目の前のことがうまくいっているうちは、課題に気づきにくいものです。ましてや日々の業務に追われていたら、5年後10年後のことを考えている暇がありません。だからこそ僕らが外から「いま当たり前にやっていることが、実は課題ですよ」と伝えてあげられたら、一緒により良い未来を作れるはずと考えています。
仲間と同じ目標達成を目指しながら、楽しく働きたい
――西本さんはキャディってどんな会社だと思いますか?
みんな、同じ方向に向かっていますよね。キャディに入社した理由は自身の成長だったり、製造業の課題解決だったりさまざまだと思いますけど、みんなが会社の目標に矢印を向けて動いているんですよ。
「えー、私がこれをやるの?」みたいなネガティブな仕事意識を持っている人はいなくて、誰かのアイディアに対して「良いね、やろう」とポジティブにすぐ取り組む感じ。一人ひとりが、目標達成のためにできることは何でもやろうとしているからこそですね。
あとはベンチャーならではのスピード感があります。3ヶ月スパンで非常に高い目標を設定しながら組織が動いているので、立ち止まっている暇がないんですよ。チームメンバーを見ていて思うのは、だからこそ成長機会が多いんだなということ。同じ期間でも、大企業と比べて打席に立つ機会が多いので、圧倒的に成長できます。
――確かにそうですね。では最後に、今後の展望を教えてください!
まずはコストモデルの事業において、対外的にアナウンスできるような成果を出したいです。まだまだ道半ばですが、着実に近づいていっている感覚はあります。
コストモデルは、サプライパートナーがきちんと利益を出せる適正価格を自動で算出し、ムダな取引きコストとバッファをなくすシステムです。製造業の大きな負を解消しようとしているキャディにとって鍵と言える事業だからこそ、近いうちに成果を出したいと考えています。
高い目標に向かっているため大変な側面もありますが、その中でも楽しく働いていたいですね。成長したい人は成長を実感し、マルチタスクを身につけたい人は何でもできるようになる。マネジメントする立場として、一人ひとりが望む自分像を実現しながら仕事を楽しめる環境を用意し続けたいとも思っています。
そうして今いるメンバーと、そしてこれから入ってくるメンバーと、ポジティブな気持ちで目標達成を目指し続けたいですね。