アサヒのワイヤーソリューショングループでは、設計図面を読み解き、盤製造支援システムによって全自動加工機で電線を加工するための配線シミュレーションデータを生成している。これによって、誰でも配線作業が可能となり、制御盤製造の効率化と脱属人化を実現させてきた。
しかし、この仕組みは若手2人のみで立ち上げているため、社内にノウハウを持つ社員がほとんどいない。そのため、過去の類似案件を探し出すには「担当者の記憶」に頼るしかなく、データ生成フロー全体の停滞を招く根本的なボトルネックとなっていた。
同グループの石井氏は振り返る。「類似の盤を探すのに、とにかく苦労していました。同僚の田中は、過去の案件を驚異的に記憶している、いわば『人間ライブラリ』のような存在。でも、田中が不在のときは誰も過去図面を探せません。結局、1から作り直したほうが早いという状況でした」
図面検索の時間が、データ生成のボトルネックとなり、スループットを低下させる。属人化の問題は、単なる業務効率の問題ではなく、製造プロセス全体にわたるリスクをはらんでいた。また、新規図面の作成には想定以上の工数と時間が必要となり、過去と同様のミスが発生したり、配線シミュレーション用のデータ供給が間に合わなかったりと、悪循環に陥っていた。




