製造業AIデータプラットフォーム CADDi

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社名
萩原工業株式会社
設立
1962年
所在地
岡山県倉敷市
業界
合成樹脂製品製造
事業内容
合成樹脂製の糸「フラットヤーン」を基軸とした産業資材、生活関連用品、建設関連製品、および各種産業機械の製造・販売
萩原工業株式会社

事例 CADDi Drawer

月370時間の工数削減だけではない。データが部門の壁を溶かし、挑戦する文化を育んだ軌跡

生産管理部 部長

伊丹 祥明

エンジニアリング事業部門 執行役員 営業部長

平野 泰弘

導入前・導入後

①ナレッジ:個人の経験と記憶に依存し、技術や情報が属人化。若手や設計未経験者は情報へのアクセスが困難。②業務効率:複数のシステムを横断する必要があり、データ検索だけで課全体で月に650時間以上の工数が発生。③組織文化:改善提案は個人レベルの工夫に留まり、活動に停滞感があった。④競争力:部門間の情報連携が不十分で、見積もりプロセスでミスや手戻りが頻発。属人的な判断による機会損失のリスク。

①ナレッジ:全社員がアクセスできるデータ・ナレッジ基盤を構築。若手が自ら情報を取得し、ベテランに頼らない業務遂行が可能に。②業務効率:データ検索時間が劇的に短縮され、課全体で月370時間以上の工数を削減。創出された時間で、より付加価値の高い業務へ集中。③組織文化:データ活用を武器に、若手から自主改善提案の「S賞」レベルの質の高い改善提案が続出。挑戦を奨励する文化が醸成。④競争力:部門横断で「同じデータ」を基に議論。データ起点の客観的な意思決定で、大型案件の最適調達などを実現。

インタビュー

「おもしれぇ、この状況をどうにかしたい」現場の課題感が生んだ、部門横断のDXプロジェクト

岡山県倉敷市に本社を構え、合成樹脂加工技術を核に多角的な事業を展開する萩原工業株式会社。同社のエンジニアリング事業部門では、長年にわたり図面検索業務の非効率性が課題となっていた。そこで検討が始まったのが、製造業AIデータプラットフォームCADDiとアプリケーションである製造業データ活用クラウドCADDi Drawerだった。

 

生産管理部 部長の伊丹祥明氏は、導入前の状況を次のように語る。

 

「2年ほど前、前任の部長が展示会で話を聞いたのが、CADDi Drawer検討の始まりでした。当時の目的は、資材課の業務改善です。類似図面の過去の購入単価や発注先といった情報を探し出す作業に、多大な労力がかかっていました」

 

同社には既存の基幹システムがあったものの、データの入力が不十分であったり、閲覧権限が役職で制限されていたりと、誰もが必要な情報にアクセスできる環境ではなかった。結果として、特定の社員のスキルや経験に頼る「属人化」が進んでいたという。

 

この課題は、生産管理部だけのものではなかった。営業部でも、顧客への見積もり提示の際に複数のシステムを横断して図面を探す必要があり、多くの時間を費やしていた。

 

伊丹氏
「生産管理と営業、双方のニーズが合致し、部門を横断してデータを資産化するためCADDiの導入を進めることになりました。一度は費用面で見送った経緯もありましたが、『残業時間を削減できる』『業務を標準化できる』という点を経営陣に説明し、最終的には企業文化でもある『おもしれえ すぐやってみゅう』の精神の下、力強く背中を押してもらえました」

 

こうして、一部門の業務改善から始まった検討は、部門の壁を越えたDXプロジェクトとして大きな一歩を踏み出した。

「おもしれぇ、この状況をどうにかしたい」現場の課題感が生んだ、部門横断のDXプロジェクト

“当たり前”が若手を動かす。「自主改善社長賞」が証明した、データ活用の新たな価値

CADDi Drawer導入後、現場には劇的な変化が訪れた。最も大きな効果は、課題であった検索工数の大幅な削減だ。

 

伊丹氏
「生産管理部では、データ検索にかかる時間が一人当たり月20時間を下回るようになりました。以前は余裕で超えていましたから、その効果は絶大です」

 

営業部の平野氏も「データを探す時間が大幅に短縮され、すぐに投資回収できると確信しました」と、その効果を認める。当初は利用に消極的な社員もいたが、平野氏が利用状況をデータで可視化し、粘り強く働きかけたことで、2〜3ヶ月後には部内全体に活用が定着した。

 

一方で、生産管理部では、特に若手社員が新しいツールを自然に使いこなし、活用を牽引していったという。

 

伊丹氏
「これまではベテランに聞かなければ分からなかったことも、若手が自分で調べて対応できるようになった。CADDi Drawerの画面を見ながら若手同士で議論している光景を目にするようになり、組織として一段階レベルが上がったと感じています」

 

この変化は、同社が推進する年間5000件超の改善提案活動にも、思わぬ好影響をもたらした。それは、単なる「件数」の増加ではなく、「質」の向上だった。

 

伊丹氏
「CADDiがなければ、成し得なかった変化だと思います。これまでの改善提案は、個人の作業の工夫といった単発なものが多かった。しかし導入後は、例えば『新規設計とされた部品の類似図面を発見し、調達先と発注量を見直してコスト削減を実現した』といった、データに基づいた質の高い提案が若手から出てくるようになったのです」

 

事実、この取り組みは高く評価され、同部署から社内表彰で最高ランクにあたる自主改善提案の「S賞」の改善提案が2度も生まれるという快挙につながった。さらに、プロジェクト全体の功績が認められ、年末には「自主改善社長賞」も受賞。CADDiの導入は、業務効率化にとどまらず、若手の挑戦を促し、企業文化そのものを活性化させる起爆剤となったのだ。

“当たり前”が若手を動かす。「自主改善社長賞」が証明した、データ活用の新たな価値

“データ”という共通言語が組織の壁を溶かす

CADDiという共通のデータ基盤を得たことは、部門間のコミュニケーションにも質的な変化をもたらした。

 

伊丹氏
「生産管理と営業が、同じ図面データを見ながら話せるようになったことで、議論のピントが合うようになりました。特に、見積もりプロセスで発生していた認識の齟齬や手戻りが減り、ミスが確実に減少しました」

 

この変化は、より大きな意思決定の場面でも効果を発揮する。最近では、ある大型案件の調達先を選定する際に、CADDi Drawerに加え、同じくアプリケーションである製造業AI見積クラウドCADDi Quoteで準備した客観的なデータを基に、生産管理、営業、さらには設計、技術部門までを巻き込んだ議論が実現した。

 

伊丹氏
「導入前は、どうしても過去の実績がある取引先が優先され、選択肢が限定的になりがちでした。データという共通言語ができたことで、部門の垣根を越え、より最適な判断ができるようになったのです」

“データ”という共通言語が組織の壁を溶かす

成功体験の先に描く、全社最適化へのロードマップ

大きな成果を上げた萩原工業だが、その歩みを止めることはない。次に見据えるのは、部門横断DXの最大の要ともいえる「設計部門」の改革だ。

 

平野氏
「営業としては、設計部門の改革をどうにか実現したい。現状では、設計者が過去の図面を探すより新規で書いた方が早いと判断することが多く、結果として新図が増え、後工程である生産管理の負荷を高めてしまっています。設計部門の3D CAD利用率が97%と非常に高いので、CADDi Drawerが3Dデータ検索に対応すれば、設計者も活用してくれるはずです」

 

また伊丹氏は、図面情報に留まらない、より高度なナレッジの共有を目指している。

 

伊丹氏
「今は図面情報がメインですが、今後はCADDiで過去の不具合や加工上の注意点といった『失敗のナレッジ』も紐づけていきたい。ベテランの頭の中にしかない暗黙知をデータとして可視化し、誰もが同じレベルで判断できる状態を作ることが、次なる目標です」

 

部門の壁を越え、データ活用を成功させた萩原工業。若手の躍進を力に変え、同社は今、全社最適化という、より大きな目標に向かって新たな挑戦を始めている。

成功体験の先に描く、全社最適化へのロードマップ
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