人手不足の対策は、人材採用よりも業務プロセスの見直しやDXによる生産性向上に活路
製造業のデジタル変革に挑むキャディ株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役:加藤 勇志郎)は、2024年4月1日より働き方改革関連法が適用される、建設業に従事する4,494名を対象に、「建設業2024年問題に関するアンケート調査」を実施しました。
■ 調査サマリー
・2023年の残業実績について、約2割が月平均で80時間以上と回答。時間外労働と休日出勤の合計が月45時間を超えた月が7カ月以上あったと答えた人の割合も約2割と、長時間労働の常態化がみられた。
・働き方改革関連法案の施行への対策について、実施していると回答したのは13%と、まだ実施できていない企業は9割近くに及んだ。検討中の対策としては採用や外注によるリソース確保よりも業務プロセスの見直しやDXによる生産性向上が重要だという。 ・働き方改革関連法案の施行により、約7割が給与減少の懸念を感じるも、待遇を見直すと答えた企業は約半数に留まる結果となった。 |
■ 調査結果
1) 建設業の従事者に、2023年の時間外労働と休日出勤の月平均の実績を確認したところ、80時間以上と答えた人の割合が21%となった。2024年4月1日より働き方改革関連法が適用されることで、時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」が原則となるが、実態として長時間労働が常態化していることが分かった。
【設問】 時間外労働と休日出勤の合計は月平均何時間でしたか?-2023年1年間の実績-(単数選択/n=4,495)
2) 時間外労働と休日出勤の合計が月45時間を超えた月がどのくらいあったのか聞いたところ、7カ月以上あったと答えた人の割合が20%となった。時間外労働時間については、労働者と事業所が合意した場合は特別条項が適用となり、例外として年720時間(月平均60時間)の時間外労働が可能となるが、その場合でも月45時間を超えられるのは年6回までとなるため、現状では違反となる可能性のある企業もみられる。
【設問】時間外労働と休日出勤の合計が月45時間を超えた月は7カ月以上ありましたか?2023年1年間の実績-(単数選択/n=4,495)
3) 働き方改革関連法案の施行に関して、勤務先企業の状況を確認したところ、「想定される業務への影響に対してすでに対策を実施している」と回答したのは13%で最も少ない結果となった。「対策を検討している」と回答したのは28%。「業務にどのような影響がでるかを把握している」が29%で、最も多かったのは「業務への影響を把握していない」で30%であった。
【設問】働き方改革関連法案の施行に関して、あなたの勤務先企業の状況を教えてください。(単数選択/n=4,495)
4) 働き方改革関連法案の施行への対策を聞いた設問では、「業務プロセスの見直しによる生産性の向上」が39%と最多となり、他の項目の倍以上のスコアとなった。「システム導入などのDXによる生産性の向上」が次いで17%。「採用によるリソースの増強」を選択したのは13%と最も少ない結果となり、人手不足の対策として人材の採用を重要視している会社は少ない結果となった。
【設問】働き方改革関連法案の施行への対策として最も重要だと思うものは何ですか?(単数選択/n=4,495)
5) 労働時間の上限規制により残業代を含む給与減少の懸念を聞いた設問では、「非常にある」「ある」「ある程度ある」と答えた人の合計が69%となり、約7割の人が給与減少の懸念があることがわかった。
【設問】働き方改革関連法案の施行による労働時間の上限規制により、残業代を含む給与減少の懸念はありますか?(単数選択/n=4,495)
【追加設問(上記設問で「あり」と答えた方のみ)】働き方改革関連法案の施行に関して、あなたの勤務先企業の状況を教えてください。(複数選択/n=2,357)
■ 解説
時間外労働の上限規制が適用される2024年問題について、建設業の実態を調査したところ、2023年の実績としては残業時間が平均で80時間以上の層が2割、時間外労働と休日出勤の合計も月45時間を超えた月が7カ月以上あったと答えた人の割合も約2割と、長時間労働の実態がみられました。これは建設業においての構造的な職人不足と東京オリンピック以降続く建設ラッシュにより、まだまだ続くと言われています。現場労働力の不足に注目が集まりがちではありますが、管理業務においても、細かい部品の手配や納期遅延が波及し全体スケジュールの変更や、実際に工程を進めていく中での設計見直しといった業務負荷も大きくなっています。
今回の調査のとおり長時間労働が常態化する建設業界において、4月より施行される働き方改革関連法案順守への対策は重要かつ喫緊の課題といえます。また、著しく短い工期での契約を禁じるなど、今後の国土交通省による規制強化の動きにも注目しなければいけません。既に対策を取っている企業では、内作化による現場業務量の低減、DX、特に3DモデルやBIM(Building Information Modeling)との接続による情報連携の効率化、アウトソーシングによる事務系調整業務の外部化など、工程の合理化が主要施策として挙げられています。
キャディでは、部品調達プラットフォーム「CADDi Manufacturing」において、プラント・設備業界向けに資材(配管、製缶品、架構)・内作ユニットの調達、資材の工程進捗の把握やスケジュールへの反映、顧客システムへの接続といったDXの推進、製作図作成・検図といった一部業務の代替を束ねる統合ソリューションにより、生産性向上に向けた支援をしています。改革の実現に向けては、法令順守を主眼に置く本社と、実案件の予算・遂行責任を持つ現場との間に生じる矛盾に向き合い、現場の実利を踏まえた実効性のある解決策を創出することが重要だと考えます。
Manufacturing事業本部長 執行役員 正林 嵩教(しょうばやし たかのり)
キャディ入社後、社内オペレーションや業務システムの統括、プラント・設備事業の統括を経て現職。入社以前はコンサルティングファームにて製造業大手の事業戦略策定、M&A、営業・SCM改革など幅広いテーマを経験。 |
■ 調査概要
調査名称:建設業2024年問題に関するアンケート調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2024年 1月 30日(月)〜 2月 6日(月)
調査対象者:『建設業(デベロッパー、ゼネコン、サブコン、工事会社、商社)』にお勤めと回答した4,494名
■ キャディ株式会社について( https://caddi.com/)
キャディは「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに、製造業の要である調達領域のイノベーションに挑んでいます。部品調達プラットフォーム「CADDi Manufacturing」では、メーカーの図面を独自のテクノロジーを駆使して解析し、品質・納期・価格が適合する加工会社を世界中から選定。製造・検査・納品を一貫して担い、サプライチェーン変革のパートナーとして支援します。2022年6月に図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」の提供を開始。図面を独自のアルゴリズムで解析し、形状・材質・部品名などから、必要な図面を瞬時に検索。図面データの活用を軸に、DXの実現を支援します。現在日本をはじめ、ベトナム・タイ・アメリカに進出し、世界9拠点で事業を展開しています。2023年7月にシリーズC資金調達を発表し、累計調達額は217.3億円にのぼります。
<会社概要>
本社所在地: 東京都台東区浅草橋4-2-2 D’sVARIE浅草橋ビル(総合受付6階)
代表者 : 代表取締役 加藤勇志郎
設立 : 2017年11月9日
資本金 : 1億円(資本準備金含み、217.2億円)
事業内容 : 図面データ活用クラウド「CADDi Drawer」および 部品調達プラットフォーム「CADDi Manufacturing」の開発運営
URL : https://caddi.com/