製造業DXツールとは?解決できる課題や導入状況・事例を解説
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目次
製造業では人手不足や生産性の低下、技術継承の問題など、さまざまな課題を抱えています。さらに、これらの課題は個別に存在するのではなく、相互に関連し合って複雑化しているため、解決が困難になっているのが現状です。
このような状況を打開する手段として、DX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が注目されています。DXに伴っては、ツールを用いることが1つの手段として効果的ですが、DXツールを導入することで、業務効率化や生産性向上、技術継承を実現できます。
しかし、実際にDXツールを導入したものの、期待した効果が得られなかったり、かえって現場の混乱を招いたりするケースも少なくありません。
この記事では、製造業のDXに役立つツールについて、解決できる具体的な課題や選び方のポイント、主要なツールの種類まで解説します。
製造業向けのDXツールとは?
前提として製造業DXとは、デジタル技術を活用して製造現場の業務プロセスを変革し、生産性向上やコスト削減を目指す取り組みです。DXではデジタル化によって、紙やアナログの作業をデジタルに置き換え、収集したデータを分析して意思決定に活用し、従来の仕事の進め方を抜本的に見直します。
そうした製造業DXの一環として、AI技術などを搭載したツール(DXツール)が活用されています。
製造業でのDXツールの導入状況
製造業の各企業でどのようにDXツールが導入されているかを調査したレポートによると、基本的なデジタル化から高度なシステム導入まで、さまざまな取り組みが進められています。
最も導入が進んでいるのは「紙媒体のデジタル化」で、約半数(49.8%)の企業が実施。続いて「営業・会議のオンライン化」が46.3%と高い導入率を示しています。これは、業務の基本的なデジタル化が着実に進んでいることを表しています。
出典:「製造業ミドル・シニア層の意識調査」CADDi
一方で、より高度なデジタル化については導入にばらつきが見られます。例えば「基幹システム・業務システムの導入」は33.5%、「データの分析と活用」は26.4%にとどまっています。このように、基礎的なデジタル化は進んでいるものの、より進んだDXツールの導入はこれからという状況です。
また、注目すべき点として、約4分の1(24.1%)の企業が「上記のどれも導入していない」と回答しており、企業間でのデジタル化の格差が浮き彫りになっています。
製造業向けDXツールの導入で解決できること
製造業DXツールを活用することで、これまで非効率化していた業務の改善が期待できます。この章では製造業DXツールで解決できることを紹介します。
情報共有の非効率性や無駄な検索時間を短縮できる
製造業DXツールを導入することで、社内に散在していた情報を一元管理できるのが特徴です。2024年ものづくり白書によると、DX化による成果として「情報共有の促進」が53.7%と最も高い数値を示しています。
具体的には設計図面や作業手順書、発注実績、不良品情報などをデータ化できます。これまで部署ごとにExcelや紙で管理していた情報をシステム化することで、リアルタイムな情報共有や検索時間の削減など、さまざまな業務を効率化できるでしょう。
特に製造現場では、関係部署が同じデータを共有することで、生産計画の精度向上や在庫の適正化にもつながります。
※参考:「ものづくり白書2024」経済産業省
生産性の低下や属人化を解消できる
製造業DXツールの導入は、生産性を大きく向上させる効果があります。まず、図面や関連情報のデータを一元化することで、情報検索にかかるなどの非生産的業務を大幅に改善できます。
また属人化している業務が課題でしたが、DX化によってベテラン作業者の持つ暗黙知をマニュアルとして形式化できます。若手作業者でも一定水準の作業品質を維持できるようになり、技術継承の課題解決にも貢献します。
このようにDXツールを活用することで、人力での作業負担を減らせるため、人員不足による残業時間の増加を抑制でき、限られた人員でも効率的な生産体制を維持できるようになるでしょう。結果として、人手不足が深刻化する中でも、安定した製造オペレーションを実現できます。
製造業向けDXツールの選び方
製造業向けのDXツールはさまざまな種類がありますが、自社の課題に合ったツールなのか、操作しやすいのかなど、選定方法に気を付ける必要があります。この章では製造業向けのDXツールの選び方や注意点を解説します。
自社に合った機能が揃っているか
製造業向けDXツールを選定する際は、自社の課題解決に必要な機能が備わっているかを確認しましょう。自社の環境や課題に合ったシステム選定をしないと、思うような導入効果を得られない可能性があります。
特に注意が必要なのはデータ入力の方法です。手入力が必要なシステムでは、入力ミスや表記ゆれが発生しやすく、かえって業務効率が低下する恐れがあります。そのため、自動でデータを取り込める機能やバーコードによる読み取り機能など、人的ミスを防ぐ仕組みが備わっているかを入念にチェックしましょう。
操作はしやすいか
DXツールは、現場の従業員が直感的に操作できるユーザーインターフェース(UI)かも確認しておきましょう。複雑な画面構成で目的の機能を見つけにくいと、業務効率化がかえって低下してしまう可能性があります。特に製造現場では、PCスキルに個人差があるため、シンプルな操作性が求められます。例えば、タブレット端末で図面を確認しながら、タッチ操作で作業記録を入力できるツールなら、現場での受け入れがスムーズです。
また、操作方法の習得に時間がかかると、教育コストが増加するだけでなく、一時的な生産性低下も懸念されます。導入前のトライアル期間を設けて、実際の使い勝手を確認することをおすすめします。
かかる費用を把握しておく
製造業DXツールの導入費用は、初期費用やランニングコストなど、数百万円~数千万円程度が必要です。これらの費用は、企業の規模や導入するシステムの機能によって大きく変動します。また、データ移行作業やカスタマイズ、社員への教育研修などにも追加費用がかかります。
製造業DXに活用できるツール例
製造業DXに活用できるツールにはさまざまなものがあります。以下では、設計や調達、製造などに役立つツール例を紹介します。
PLMシステム
PLM(製品ライフサイクル管理)システムは、製品に関わる全ての工程を包括的に管理するシステムです。企画から開発、製造、販売、アフターサービス、そして廃棄までの製品ライフサイクル全体を管理対象としています。
PLMシステムには多彩な機能が搭載されており、3D CADデータや設計図面などの製品データを一元管理できます。また、開発スケジュールの進捗管理や担当者間の情報共有、設計変更の履歴管理なども可能です。さらに、製品仕様書やマニュアルなどの文書管理機能も備えており、承認プロセスや版管理を効率的に進められます。
PDMシステム
PDM(製品情報管理)システムは、設計図面やCADデータなど、製品開発に関わる情報を一元管理するシステムです。設計・開発データの一元管理機能により、最新の設計情報を共有でき、承認プロセスもシステム上で効率的に進められます。さらに、製品を構成する部品のコストや調達先の情報も一括管理できるなど、開発業務の管理業務の効率化が図れます。
ERPシステム
ERP(企業資源計画)システムは、企業の経営資源を統合的に管理するシステムです。製造業向けERPには、生産、販売、購買など、各業務を効率的に管理する機能が備わっています。
例えば、生産管理機能では、需要予測に基づく生産計画の立案や、部品表(BOM)の作成、生産実績の管理が可能です。販売管理機能では受注から請求までの販売業務を一元管理でき、購買管理機能では原材料や部品の発注・調達を効率的に進められます。
また、品質管理機能により製品の品質基準や検査実績を管理でき、原価管理機能では標準原価と実際原価の差異分析なども行えます。これらの機能により、業務効率化や意思決定の精度向上が実現可能です。
MES
MES(製造実行システム)は、生産ラインの各製造工程と連携し、在庫状況や工程の進捗をリアルタイムで把握するシステムです。生産計画に基づいた作業スケジュールの設計ができたり、システムを通じて現場作業員への指示出しを行えたりします。
その他、生産設備や工具などの生産資源の配分・監視、作業指示書や図面などの文書管理、設備の保守・保全管理があります。また、測定データのリアルタイム分析による品質管理や、作業者の状況監視による最適な人員配置も可能できるなど、生産現場を広範にわたって支援するシステムです。
SCMシステム
SCM(サプライチェーンマネジメント)システムは、仕入れから製品の配送までを最適化する管理システムです。サプライチェーン全体の情報を一元管理することで、市場の変化に迅速に対応できます。
SCMシステムの機能は、「予測・計画」、「実行」、「評価・モニタリング」の3つに大別できます。
予測・計画系の機能では、需要予測や調達計画、製造計画などを立案できるなど、効率的なサプライチェーン管理の実現に活用可能です。
実行系の機能では、受注管理や生産管理、物流管理などの実際の業務を管理できます。評価・モニタリングでは、運営効率やコスト効率を分析し、改善点を把握できます。
従来は個別に管理されていた需要予測・部品調達・生産管理などの一連のプロセスを統合的に管理することで、無駄なコストの削減や業務の効率化、人員配置の最適化が可能です。
EAM(設備資産管理)システム
EAM(設備資産管理)システムとは、工場の設備や資産を一元管理するシステムです。設備の計画・調達から保守・リスク管理まで、資産のライフサイクル全体を管理できます。
EAMシステムの主な機能は、設備資産データのリアルタイム収集と分析です。また、収集したデータをもとに保守計画を自動で立案し、最適な時期にメンテナンスを実施できるようにサポートする機能もあります。
また、故障の予兆を事前に検知して計画的な予防保全が可能になるため、突発的な設備停止を防げます。作業者の作業計画や日程調整も自動化されるため、現場の生産性が向上するでしょう。
APM(設備資産パフォーマンス管理)ツール
APM(設備資産パフォーマンス管理)ツールとは、設備の稼働状況をリアルタイムでモニタリングし、資産のパフォーマンスや保守点検の効果を最適化するためのシステムです。製造現場の設備管理をデジタル化することで、効率的な設備管理を実現します。
APMツールの主な機能は、予知保全に必要な過去データの分析です。また、各設備のパフォーマンスを可視化し、作業プロセスの自動化と分析を行えます。
APMツールを導入することで、設備の可用性と信頼性が向上し、突発的な故障による運用リスクを低減できます。また、適切なタイミングでの保守点検により、メンテナンスコストを抑えられるでしょう。
製造業でのDXツールの導入事例
最後に、製造業でのDXツールの導入事例を2つ紹介するので、ツール導入の効果をイメージするうえでご参考にしてください。
日新電機株式会社:製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer」の導入で、設計工数を年間7000時間削減
課題・背景
電力機器や設備などの製造・販売を手がける日新電機株式会社の開閉機器部門では、設計業務効率化の課題を抱えていました。既存図面の流用による工数削減を目指していましたが、従来の図面検索システムでは図番でしか検索できず、図番を知らなければ探すことが困難でした。そのため、ベテラン設計者でなければ過去の図面を探せないという属人化が進行。設計者は本来の設計検討業務よりも、図面探しに多くの時間を費やす状況となっていました。
成果
この課題を解決するため、製造業データ活用クラウド「CADDi Drawer」を導入。CADDi Drawerは情報の検索性・活用性が高いのが特長で、導入により過去の図面の検索時間は8〜9割の削減を実現。また、新規図面作成も1〜2割抑制され、設計部門だけでなく、製造や調達部門での業務効率化にもつながりました。さらに、システム上で技術資料の細部の情報まで参照できるようになるなどの変化も現れました。
出典:「日新電機株式会社様」CADDi
富士油圧精機株式会社:AI見積クラウド「CADDi Quote」の導入で、見積業務を平均60%削減
課題・背景
自動省力化機械の開発・製造・販売を行っている富士油圧精機株式会社では、調達部門の見積業務において、経験と知識に基づく判断が不可欠であり、業務の属人化が大きな課題となっていました。特に見積先の選定や価格交渉において、担当者の経験に依存する状況が続いていました。
成果
この課題を解決するため、AI技術を活用した見積クラウド「CADDi Quote」を導入。このシステムは、過去の見積実績データをAIが分析し、案件ごとに最適な見積先を自動で選定する機能を備えています。さらに、サプライヤーとの受発注業務をクラウド上で一元管理できる仕組みも実装されています。
システム導入から2か月という短期間で、見積業務の所要時間が平均60%削減されました。また、新規サプライヤーの開拓が進み、調達先の選択肢が拡大。さらに、取引先であるサプライヤー側の見積回答スピードも向上し、調達業務全体の効率化が図られています。
出典:「富士油圧精機株式会社」CADDi
製造業でのDX推進を成功に導くポイント
製造業のDX推進を成功させるには、デジタルスキルを持った人材の確保や効果測定などが必要です。この章では、製造業DX推進を成功に導くポイントを解説します。
DXを推進できる人材を確保する
IT人材不足の深刻化は、製造業のDX推進における大きな課題となっています。経済産業省の調査によると、IT人材の不足は2016年時点の約17万人から2030年には約79万人まで拡大すると予測されています。
このような状況下で製造業のDX推進を成功させるには、社内の課題を正確に把握し、適切な解決策を見出せる人材の確保が不可欠です。具体的には、各部門へのヒアリングを通じて現場の課題を的確に収集できる人材やそれらの課題をベンダーと協議して最適なソリューションへと落とし込める人材が求められます。このような人材がDX推進の中核となり、現場のニーズと技術的な解決策を結びつけることで、実効性の高いデジタル化を実現できます。
さらに、組織全体でDXを推進するためには、AI活用事例の情報収集や他社のDX取り組み事例の研究が重要です。特に、業界内での成功事例や課題解決方法を定期的に調査し、自社の取り組みに活かすことで、より効果的なDX推進が可能となります。
※参考:「IT分野について」経済産業省
まとめ
この記事では製造業でのDXツールについて解説してきましたが、前提として製造業のDXを進める上では、自社が保有するデータを誰でも使いやすい形に整理することも大切です。過去の図面や仕様書、不具合情報などが社内の各システムに散在していて必要な時に活用できない状態では、業務効率の低下を招きます。
そのため、例えば検索性の高いデータプラットフォーム上に情報を集約し、必要な時に瞬時に参照できるようにするなど、データを活用できる仕組みを構築しましょう。こうした基盤があれば、製造業DXを円滑に進めやすくなります。
特にデータ活用や属人化解消などの課題を解決したい企業様には、CADDi Drawer(キャディドロワー)の導入がおすすめです。各部署に分散しているデータや図面情報を一元管理することで、部門間を越えたスムーズな情報共有が可能になります。また、煩雑な図面検索にかかる時間を削減することで、リードタイム削減につながり、他業務への作業に人手を回せるなど、製造業の業務効率化を支援します。業務のDX化をお考えの企業様はぜひ、導入をご検討ください。