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モジュール設計とは?メリットや図面管理の課題解決までを解説

モジュール設計とは?メリットや図面管理の課題解決までを解説

モジュール設計とは?メリットや図面管理の課題解決までを解説

製造業において「流用元図面が見つからず毎回ゼロから設計」「設計変更の影響範囲が特定できず手戻りが発生」「類似部品が散在し設計資産を活用できない」といった課題に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。流用設計を試みても、適切な元図面の特定に時間がかかり、結果的に新規設計と変わらない工数を要するケースも珍しくありません。

 

この問題の原因は、設計データが属人的に管理され、部品や機能の関連性が体系化されていないことにあります。解決策としては、設計資産をモジュール単位で整理し、機能や形状の類似性を可視化することで、効率的な設計の再利用を実現することです。

 

この記事では、モジュール設計の基本概念から具体的な実装方法まで解説します。流用設計の課題や、モジュール化によるメリット、導入時の注意点などを紹介するので、自社のモジュール設計の導入にお役立てください。

 

適切な形でモジュール設計を導入できれば、設計工数の削減と品質向上が期待できます。

モジュール設計を成功に導く

「流用元図面が見つからず結局ゼロから設計」「モジュール化したいが図面の関連性が不明」そんな課題でモジュール設計の効果を実感できずにいませんか?モジュール設計で効果を得るには、設計資産の体系的な管理と検索性向上が必要です。

「CADDi Drawer」なら、AIが図面を自動解析し、類似形状や機能別にモジュール候補を抽出。設計履歴と関連性を可視化することで、効率的なモジュール設計と設計資産の最大限の活用を可能にします。

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目次

モジュール設計とは

モジュール設計とは、製品やシステムを構成する要素(機能部品、部品群など)を「モジュール」という単位に分割し、それぞれのモジュールを組み合わせて多様な製品バリエーションやシステムを効率的に開発・生産する設計手法です。

分かりやすく言うと、あらかじめ共通化・標準化された「部品のセット」や「機能単位」を作り、それをプラモデルのように組み合わせることで、さまざまな製品をスピーディーに作り出すイメージです。

この手法により、特定の機能を持つ部品群を独立した塊として扱えるため、設計の再利用性が高まり、開発効率や生産効率の向上、コスト削減、品質安定などのメリットが期待できます。特に製品ラインナップが多い製造業において、高い効果が期待できます。

例えば、自動車のプラットフォームやPCの内部部品などがモジュール化の代表例と言えるでしょう。

モジュール設計を実現する方法

モジュール設計の概念を理解しても、実際の運用では「既存設計資産の関連性が不明」「モジュール候補の特定が困難」といった課題に直面します。CADDi Drawerなら、AI技術で類似図面を自動分類し、モジュール化に適した設計パターンを抽出。効率的なモジュール設計の実現を支援します。

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流用設計における問題の整理

流用設計における課題は、主に「流用モデル」と「派生モデル」に起因します。まずは、それぞれの定義を確認しましょう。

  • 流用モデル:既存製品を基に新たな改良設計を加えたモデル(製品)のこと
  • 派生モデル:流用モデルに顧客の特定要求や仕様を反映させ、さらに改良を加えたモデル(製品)のこと

この定義からも分かるように、流用設計における課題の多くは「派生モデル」に起因します。

流用モデル、派生モデルへの改良の流れ

例えば、5年前の製品が流用モデルであった場合、現在の製品はその派生モデルとして開発されたものです。この派生モデルの利用によりさまざまな問題が発生するケースがあります。 現状、これがさらに複雑な状況を生み出す一因となっています。

その理由のひとつは、流用モデルから派生したモデルが多岐にわたり、数十種類にも及ぶ場合があることです。その結果、どのモデルがどの仕様になっているのかを一目で把握することが難しくなっています。 設計者は多くの派生モデルを前にして、仕様を確認するために膨大な量の図面を逐一確認しなければならない状況に陥りがちです。

このような混乱が、設計効率の低下を招いています。

派生モデルの問題点

派生モデルは、 流用モデルに改良を重ねた図面を基に新たに設計されますが、その結果、どの部分が改良箇所なのか、またどの部分が特定の顧客だけの要求によって変更されたのかが分からなくなってしまうことがあります。 これにより、派生モデルの仕様詳細が設計担当者以外には把握しづらくなり、修理やさらなる設計変更時に大きな支障をきたす可能性があります。

このように、適切な仕組みのない状態で流用設計を行うと、重大な品質問題を引き起こすリスクが高まります。 本来であれば流用設計を円滑に実施できるよう、バリエーションの管理や特定顧客の要求仕様の整理を徹底し、どの設計者でも迅速かつ容易に流用元が選定できる仕組みを整える必要があります。

モジュール設計が製造業にもたらすメリット

モジュール設計が製造業にもたらすメリットは、多岐にわたります。以下では、コスト削減、品質向上、納期短縮などの観点から、それぞれを詳しく見ていきます。

設計効率を向上できる

モジュール設計を導入することで、設計作業の効率を向上させることができます。これは、 設計の再利用性が高まるためです。

一度設計したモジュールを他の製品に流用することで、新規設計の手間を減らせます。また、分業化が可能になる点も大きなメリットです。各モジュールを別の担当者やチームで設計できるため、複数の工程を並行して進められるようになります。

開発・製造コストを削減できる

モジュール設計の導入により、部品の共通化が促進されます。これにより、 必要な部品の種類を減らすことができ、製造コストの削減に繋がります。

さらに、部品の共通化に伴い在庫管理も効率化され、部品の在庫削減も可能になります。これらの効果により、全体的なコスト削減を実現できます。

製品品質を安定・向上させられる

モジュール設計では、設計段階で繰り返し使用するモジュールを標準化するため、品質のばらつきを抑えることができます。

また、モジュール単位での試験や検証が可能となり、各機能の信頼性を向上させることができます。結果として、製品全体の品質が安定し、顧客満足度の向上にも繋がります。

開発リードタイムを短縮できる

モジュール設計を活用することで、開発に要する時間を短縮できます。

設計の一部を既存のモジュールで補うことで、新規設計が必要な範囲を限定し、開発プロセスを効率化できます。これにより、新製品の市場投入までのスピードを速めることができ、競争優位性を確保することが可能です。

図面・部品管理と部門間連携を強化できる

モジュール設計を成功させるためには、図面や部品情報の整理が必要です。

設計情報が統一されていない場合、モジュールの選定や流用に時間がかかり、結果的に設計効率が低下してしまいます。

図面管理を行い、部門間で情報を適切に共有する体制を整えることで、モジュール設計のメリットを引き出しやすくなります。

モジュール設計の落とし穴!導入・運用で直面しうる課題と間違った運用

設計現場でよく耳にする「設計の負のスパイラル」という言葉があります。間違ったモジュール設計や運用によって、不具合が生じ、設計工程全体の悪循環をもたらす可能性もあります。モジュール設計の導入や運用で直面する課題について解説していきましょう。

モジュール化自体の難しさ

モジュール化は有効な設計手法ですが、その導入や運用にはモジュール化自体の難しさによる課題があります。

例として、 受注生産の企業では「標準機」を設け、それを基に設計を進めるルールを作ることがあります。しかし、設計者は過去の似た製品を流用することが多く、標準機が使われないケースが少なくありません。

その理由は、標準機を使うと設計変更や追加作業に多くの時間がかかることが挙げられます。

この問題は、モジュールの設定が現場の実状に合っていないことに起因しています。標準機を固定的に設定するだけでは、多様な受注に対応することは難しいからです。

重要なのは、どのような受注にも柔軟に対応できる「組み合わせ設計」を可能にすることです。モジュールを多様化し、現場で活用しやすい仕組みを構築することで、効率的かつ実用的な設計環境を実現可能です。

既存の図面・部品情報が整理されていないと、モジュール設計は機能しない

モジュール設計を機能させるには、既存の図面や部品情報が整理されていることが前提です。情報が分散していたり検索性が低いと、設計者は流用元を探すのに時間を浪費し、効率的な設計ができなくなります。また、仕様や改良履歴が不明確なまま設計を進めると、エラーや手戻りが発生しやすくなります。

理想的な状態は、図面や部品情報が一元管理され、検索や参照がスムーズに行えることです。さらに、各モジュールの適用範囲や依存関係が明確で、誰でも正しい選択ができるルールの整備も必要です。これにより、設計ミスやムダを防ぎ、モジュール設計のメリットを引き出しやすくなります。

現場での「モジュールが使えない」「選べない」といった問題

モジュール運用における課題として、「使えない」「選べない」といった問題が挙げられます。

モジュールには多くのバリエーションや変更可能な寸法が含まれますが、それらの選択や基準が明確でない場合、設計者が誤った仕様を選んでしまう可能性があります。

例えば、シャーペンを例に考えてみましょう。消しゴム付きのシャーペンを設計する際、消しゴムを受けるための部品が必要です。しかし、設計者がその部品の必要性を見落とすと、組み立てや製品仕様に不具合が生じます。

このようなミスは、3DCADで組み立て時に発覚して修正できる場合もありますが、部品の手配が進んでいると手戻りやムダな工数が発生します。

こうした問題の原因は、 モジュール運用の基準や選択ルールの不備です。

基準がなければ、設計効率向上のために構築したモジュール化の仕組みが機能せず、かえって手間やコストが増加してしまいます。

さらに、モジュールを整備している企業でも、3DCADを活用してモジュラー設計に取り組む過程で、従来の流用設計に戻ってしまう事例が見受けられます。

その背景には、設計担当者から「3DCADでモデルを作るには多くの変更が必要で、2DCAD時代より時間がかかる」といった声があることが分かっています。

このような状況では、3DCADやモジュール設計の導入が本来の目的を果たしているとは言えません。運用基準の整備や選択ルールの明確化など、問題点を整理しながら具体的な改善策を検討する必要があります。

顧客の多様な要望に応えきれないケースがある

受注生産の企業でモジュール化を進める際、「すべての顧客要望に応えられなくなり、受注が減るのではないか」といった懸念が挙がることがあります。しかし、すべての要望に応えることが最善ではない場合もあり、対応には工夫が必要です。

顧客の要望に合わせて構造を変更すれば、新たな図面や加工方法が必要になり、そこから不具合やクレームが発生する可能性も高まります。そのため、同じ機能を持つ部品や形状で代替できる場合には、標準化されたモジュールを活用する方向で顧客に説明し、納得してもらうことが重要です。

モジュール構成を考える際には、過去の受注で対応した顧客要望を反映した仕様を網羅しつつ、今後受注の可能性が低い仕様については排除することがポイントです。このように決められた仕様の中から顧客に選んでもらう形にすることで、企業側の設計負担を減らしつつ、顧客のニーズにも対応できます。

図面管理の改善が、モジュール設計成功に繋がる理由

図面管理の改善はモジュール設計の成功に直結すると言えます。設計現場が混乱しないような仕組みを構築することで、モジュール設計による効率化の効果をより高めることができるのです。

図面管理ができていないとモジュール設計でつまずく理由

特に受注生産を主とする会社では、受注生産のためモジュラー設計のようにあらかじめ図面を準備していない、もしくは顧客ごとの要望が異なるため、流用設計の概念はないという企業も多いです。このように、モジュラー設計の導入を避けているケースもあります。

このような企業の設計現場を観察すると、設計者が保管されている複数の図面一式を取り出し、どの図面を参考にすべきか悩みながら作業している姿を目にします。この「参考にする」という作業は、実質的に流用設計に近い行為ですが、明確な管理方法が整備されていないため、設計者個人の判断に頼ることになります。

結果として、過去の図面を参照し、流用可能な部分を探しながら設計を進めることになりますが、このプロセスには膨大な時間がかかります。特に図面が整理されていない場合、どの図面が使用可能で、どの部分が流用に適しているのかを把握するだけで多くの時間が浪費されます。このように図面管理が整備されていないと、モジュール設計を導入しても十分な効果を発揮しにくいのです。

理想的な図面管理の状態とは?

理想的な図面管理の状態とは、過去に使用した図面が明確に分類・整理され、必要な情報に迅速にアクセスできる仕組みが構築されていることです。

多くの企業ではコア技術や強みとなる技術・構造部分について、毎回同じ図面を使用していることが多くあります。同じ図面が頻繁に使用されているのであれば、その部分を「モジュール」として定義し、それを流用することで設計効率を大幅に向上させることができます。

理想的な状態では、図面やCADデータが機能ごとにモジュール化され、設計者が容易に選択・流用できるように整備されています。さらに、そのモジュールの適用条件や依存関係が明確に記載されていることで、設計ミスや手戻りの発生を防ぐことが可能となります。

このような仕組みを整えることで、設計者は無駄な作業を減らし、より効率的に製品開発を進めることができるのです。

まとめ

製造業において「流用元図面が見つからず結局ゼロから設計」「設計変更の影響範囲が特定できない」「類似部品の散在で設計資産を活用できない」といった問題は、開発効率や競争力の低下を招く一因となっています。従来の属人的な図面管理では、モジュール設計の効果を最大化することは難しいです。

この課題を解決するには、設計資産の体系的な整理と関連性の可視化が必要です。AIによる図面解析と自動分類により、類似形状や機能別にモジュール候補を特定し、設計資産の再利用性を飛躍的に向上させることで、モジュール設計で効果を得やすくなります。

適切なデータ基盤の構築により、設計効率化と品質向上が可能になるでしょう。

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キャディ編集部

Authorキャディ編集部

製造業に特化した記事を執筆しています。技術の最新トレンドや業界の動向、生産効率の向上に関する実践的なTipsなど、みなさまが現場で活かせる情報を提供することを目指しています。また、製造現場の課題解決や改善に役立つツールやリソースの紹介も行っています。業界のエキスパートとのインタビューや成功事例の共有を通じて、製造業の未来を切り拓くサポートをしてまいります。