岡山県倉敷市に本社を構え、合成樹脂加工技術を核に多角的な事業を展開する萩原工業株式会社。同社のエンジニアリング事業部門では、長年にわたり図面検索業務の非効率性が課題となっていた。そこで検討が始まったのが、製造業AIデータプラットフォームCADDiとアプリケーションである製造業データ活用クラウドCADDi Drawerだった。
生産管理部 部長の伊丹祥明氏は、導入前の状況を次のように語る。
「2年ほど前、前任の部長が展示会で話を聞いたのが、CADDi Drawer検討の始まりでした。当時の目的は、資材課の業務改善です。類似図面の過去の購入単価や発注先といった情報を探し出す作業に、多大な労力がかかっていました」
同社には既存の基幹システムがあったものの、データの入力が不十分であったり、閲覧権限が役職で制限されていたりと、誰もが必要な情報にアクセスできる環境ではなかった。結果として、特定の社員のスキルや経験に頼る「属人化」が進んでいたという。
この課題は、生産管理部だけのものではなかった。営業部でも、顧客への見積もり提示の際に複数のシステムを横断して図面を探す必要があり、多くの時間を費やしていた。
伊丹氏
「生産管理と営業、双方のニーズが合致し、部門を横断してデータを資産化するためCADDiの導入を進めることになりました。一度は費用面で見送った経緯もありましたが、『残業時間を削減できる』『業務を標準化できる』という点を経営陣に説明し、最終的には企業文化でもある『おもしれえ すぐやってみゅう』の精神の下、力強く背中を押してもらえました」
こうして、一部門の業務改善から始まった検討は、部門の壁を越えたDXプロジェクトとして大きな一歩を踏み出した。